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リトルストーリー
2018.06.23

甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン #4「仙台」


なにより好きな、まち歩き。
古風でけなげな喫茶店。物語を秘めた建物。見目麗しい甘味の誘惑。
動物の形をした食べ物。暮らしになじむ手仕事。
まちの中には、たくさんの好きが潜んでいる。
歩いて、立ち寄り、歩いて、立ち止まり、歩いて、休んで、また歩く。
さあ、今回は、どのまちへ?
キャラバンの途中、どんな物に、出会えるでしょう。

 
 
#4「仙台」

 
初めての、“こけし旅”に出たのは、もう20年近く前のこと。全国各地に根付くお菓子や、昭和の時代に流行したおみやげものに心を惹かれ、あちらこちら旅するようになった頃でした。盛岡へ行くのも、鳴子へ向かうのも、起点は仙台。その後も何度かこけし旅の途中、仙台に立ち寄り、お菓子を買ったり、お茶をしたり、老舗食堂や居酒屋で過ごしたり。ところが先ほど調べてみると、頭の中の仙台地図で、“お気に入り印”が付いていた店の多くが、すでに店じまいしていると判明。イノダコーヒが飲める喫茶店「ニューエレガンス」。菅原克己の詩に曲をつけ、高田渡も歌に歌った洋食店「ブラザー軒」。包み紙のデザインが好きだった洋菓子店「KENZO」。もっと通っておけばよかったと思うも、時すでに遅し。いつかの旅の記憶をあらためて思うのです。
 
あるときは仙台に、お菓子の旅に出たこともありました。「売茶翁」「森の菓本舗」「円菓」「元祖仙臺駄菓子本舗」「白松がモナカ本舗」などを中心に巡る旅。途中途中、気になるお菓子も買い込んで、両手に大荷物。パッケージに、やなせたかしさんによる「ずんだ」くんと「もちこ」ちゃんが描かれた「北上京だんご本舗」のずんだもちは、駅ビルで気軽に購入できるので、帰りの新幹線の中で。仙台と言えば、牛タンや笹かまのイメージが色濃くありますが、個人的に仙台は、お菓子がおいしいまち。電話番号非公開で、黒糖味の「みちのくせんべい」で名高い「売茶翁」や、元グラフィフィックデザイナーのご主人ならではの和菓子の意匠に目をみはる「森の菓本舗」は、お取り寄せできない季節の生菓子が美しいので、ぜひとも足を運んでみてください。

 
 
パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”
 
地下鉄南北線愛宕橋駅近くの荒町商店街にある「オーバルコーヒスタンド」は、ハンドドリップのフルーティーなコーヒーが人気のコーヒースタンド。カウンターには、色とりどりのドーナツがずらりと並び、テイクアウトも可能。岩手県産の食材を使ったドーナツはどれも無添加で、体に優しく安心して味わえます。
中でも愛らしいのが、くまの顔のドーナツ「マイメン」。ミルクチョコレート味の茶色いくまと、ホワイトチョコレートのしろくま、2種類の味があります。
私が食べたことがあるのは、マシュマロの耳のしろくま。表面にはココナッツ、中にはレモンクリームチーズがたっぷり。
「ケロメン」という、カエルの顔のドーナツもあります。

                           OVAL COFFEE STANDの「マイメン」

 
 
“帰り道に”ごほうびスイーツ
 

広瀬川の左岸に沿って広がり、花見の名所として知られる西公園の中。「源吾茶屋」と力強い文字の暖簾がはためく三角屋根の茶屋。創業は明治元年。昔から周囲には芝居小屋や天文台などがあったことから、仙台っ子が行楽の折に立ち寄る老舗としておなじみ。
名物は、毎朝つくお餅。口に運んで箸をひくと、ふに~っと、驚くほどよく伸びます。ずんだ、ごま、あんこなどから好みの味を選ぶことができるお餅のセット「みちのくセット」がおすすめ。青々とした枝豆の香りと、粗く砕いた豆の歯ごたえがたまらない、仙台名物のずんだの店は数あれど、雰囲気まで楽しめるのは、こちらが一番。

                                 「源吾茶屋」のずんだ餅

 
 
“ときめく手仕事”を持ち帰ろう
 
東北6県で作られ、大きく11系統に分けられる伝統こけし。宮城県には、「鳴子こけし」「作並こけし」「遠刈田こけし」「弥治郎こけし」「肘折こけし」と、5つの伝統こけしがあります。系統や作者によって、形や描彩に特徴があり、一つとして同じ表情がないのが面白いところ。昭和の時代は東北みやげの定番で、どの家庭にも、床の間や玄関などに飾られていたものですが、ここ何年かでブームが再び。イームズが自邸に弥治郎系のこけしを飾っていたことが知られてからは、モダンなインテリアとしても脚光を浴びています。
仙台では「こけしのしまぬき」で、様々なこけしを求めることができるので、色々見比べて自分好みを探してください。胴の中に手紙を入れて投函できる「通信こけし」を求めて、旅先からこけし便りを書くのも楽しいです。

                             伝統こけし (こけしのしまぬき)

 
 

まち歩きの途中に“乙女喫茶”

 
世界20カ国以上を旅したオーナーが集めた、アンティークに囲まれた喫茶店。幻想文学に登場する部屋の中に迷い込んだような、ちょっと風変わりな空間。蓄音機で音楽を聴くことができたり、ギャラリースペースやビリヤード場もあって、いつのまにかときが過ぎてしまいます。
濃さが異なるブレンドコーヒーの名前は、「ノクターン」「月の光」「カノン」「運命」と、クラシック音楽の名曲。アイスコーヒーは「愛すコーヒー」と表記されているのもご注目を。多くの人がドリンクとともに注文するのが、生クリームを添えたたい焼き。深夜まで営業しているので、夕食後に訪れても。

                          「純喫茶 星港夜(シンガポールナイト)」

 
 
立ち寄りたい“レトロな建物”

 
旅の途中に時間があれば立ち寄るのが、県立美術館や市立美術館。昭和の時代に建てられた公共建築は名建築が多く、中でも美術館は見どころあまた。展示室の美術作品とともに、存在感のある建物を存分に楽しめます。
江戸時代は仙台城の二の丸があり、戦後はGHQのキャンプが置かれた場所に宮城県美術館が完成したのは昭和56年。レトロ……というには少し新しいような気がするけれど、もうじき40歳を迎えます。本館を設計したのは、前川國男建築事務所。近代建築の巨匠・ル・コルビュジエや、アントニン・レーモンドの元で学んだ前川國男は、日本の近代建築の礎を築いた一人。東京文化会館、国立西洋美術館新館、東京都美術館はじめ、多くのビルや公共建築を手がけています。
打ち込みタイル仕上げの、ゆったり落ち着いた建物。建物の中心に位置するエントランスを起点に、展示室や講堂が配置されているのが特徴的。庭には野外彫刻が展示されています。
これまで何気なく利用していた公共建築も、床、柱、天井、窓、部屋の配置など、意識して見渡してみると、堂々とした美しさに気がつくでしょう。

                                      宮城県美術館

 
 

 


 
 
NAOTキャラバンは7/6(金)〜8(日)まで、仙台市のメリラボ(メリーメリークリスマスランド)さんにて開催!
みなさまのご来場をお待ちしております。
 
〈キャラバン詳細はこちら〉
’18 7/6 fri.〜8 sun. NAOTキャラバン2018 in 仙台


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