リトルストーリー
2018.08.09

甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン #5「新潟」


なにより好きな、まち歩き。
古風でけなげな喫茶店。物語を秘めた建物。見目麗しい甘味の誘惑。
動物の形をした食べ物。暮らしになじむ手仕事。
まちの中には、たくさんの好きが潜んでいる。
歩いて、立ち寄り、歩いて、立ち止まり、歩いて、休んで、また歩く。
さあ、今回は、どのまちへ?
キャラバンの途中、どんな物に、出会えるでしょう。

 
 
#5「新潟」

 
昭和の時代からホットケーキは、家庭で作ったり喫茶店で味わったりと、おやつ界のアイドル的な存在。さらにここ数年では、パンケーキミックスが手みやげや贈りものの定番にもなりました。私も日頃からちょっとしたプレゼントに、パンケーキミックスを活用しています。
 
その火付け役と言えるのが、新潟「マリールゥ」のパンケーキミックス。マリールゥは2001年12月から、今年の6月までカフェとして営業してきましたが、現在はお店を閉じてパンケーキミックス専門のブランドに。(今は新潟市内ならば「ヒッコリースリートラベラーズ」や、新潟市美術館のミュージアムショップ「ルルル」などで求めることができます)
日頃から知人との会話の中で、「新潟といえばマリールゥ」とか、「マリールゥのパンケーキミックスが一番好き」などと耳にすると、内心とても誇らしく、心から共感するのには、特別な理由があります。マリールゥのオーナーとは20年来の友人で、若い頃のひととき、京都で苦楽をともにしていたことがあるのです。

 
マリールゥが15周年を迎えたときには、一緒に新潟でイベントを開催しました。「新潟ところどころ」と題し、雪降る中、参加者みんなでまち歩き。マリールゥを起点に、古いビルや民家などを道々探しながら進み、最初に目指したのが「新潟県政記念館」。名建築でありながら、県政の歴史を展示する施設という堅いイメージもあって、新潟市内在住者でも初めて来たという人や、小学生以来という人がほとんど。新鮮な視点で優麗な建築にみなで見惚れ、圧巻の議場では大撮影会。
 
その後は、近代建築好きの間で密かに人気の「新潟市体育館 」、明治の大商家·斎藤家の邸宅跡「燕喜館」も見学。雪のため計画より歩く距離が限られたけれど、参加者のみなさんには「当たり前に暮らしているまちが、観光地みたいに魅力的に映った」などと喜んでいただくことができました。
そのときの様子は、インスタグラムの「#新潟ところどころ」というタグで残されているので、ぜひご覧になってください。
 
新潟の文化の発信基地「北書店」に立ち寄ったり、新旧のいい店が軒を連ねる「上古町商店街」や、新潟市民の台所と親しまれる「人情横丁(本町中央市場商店街)」を歩いたり。漫画のキャラクター銅像が並ぶ「水島新司まんがストリート」では、キャラクター像の前で記念撮影。時間があれば、信濃川の水上バスから新潟のまちを眺めても。「万代シティバスセンター」などに店舗がある「みかづき」で、新潟っ子のソウルフード・トマトソースがかかった焼きそば「イタリアン」を味わうのもお忘れなく。
 
 
 
パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”
 
“パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”の例外編とでも言いましょうか。“パン”ではなく“ごはん”。それも、“お弁当“で、“どうぶつ”ではなく、“ゆきだるま”。例外に継ぐ例外をご容赦ください!新潟へ赴くたびに購入しているので、無理やりにでも紹介したかったのです。
新潟駅で駅弁を売る「三新軒」。このお弁当が生まれたのは昭和62年の8月。真夏に誕生しているだけあって、冬はもちろん春も夏も秋も、一年中販売しているのでご安心を。
 
食べ終わったあと貯金箱に変身する、雪だるま型のプラスチック容器の中身は、新潟県産コシヒカリの上に、おかずがぎっしり。鶏そぼろ、錦糸卵、雪だるま型のかまぼこ、しいたけ煮、鶏の照り焼き、山菜煮、数の子、ミートボール、こんにゃく、かにかま、うずらの卵、チェリーと、好ましいバランス。
私はいつも、事前に電話で取り置きをお願いするのですが、雪だるまは定番の白の他にも、ピンク・緑・水色・オレンジと選べるそう。
新潟駅は、新潟のおみやげや日本酒が並ぶ「ぽんしゅ館」にも直結。青木酒造「雪男」のラベルデザインが愛らしく、お弁当のおともは雪男のワンカップが定番です。(「ユキオトコサイダー」もあります)

                                 「三新軒」の雪だるま弁当

 
 
“帰り道に”ごほうびスイーツ
 

“パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”に続き、“帰り道にごほうびスイーツ”までも例外編。新潟に根付く“パン”を“スイーツ”として紹介します。拙著『地元パン手帖』でも、日本のパンはお菓子と親戚関係にあるこについて触れており、独自の発展を遂げてきた日本の菓子パン。疲れたときに口にすると、心身ともにほっと和らぎます。
 
新潟県内のパン屋さんでおなじみなのが、コッペパンにバタークリームをはさんだ「サンドパン」。地域性のあるパンを研究している私が、嬉々として新潟でサンドパンを購入していると、「え、サンドパンて全国的じゃないの?」と地元の方が驚いていました。昭和の昔から新潟では定番で、時代を物語るようにどの店もレトロなパッケージ。新潟駅の駅ビル内に店舗がある「パンのカブト」のは、オレンジのストライプに弾けるような文字が入って、とりわけチャーミング。うっかりしていると夕方には売り切れてしまうので、朝のうちに求めておいたのを、ゆっくり帰り道に味わってください。

                               「パンのカブト」のサンドパン

 
 
“ときめく手仕事”を持ち帰ろう
 

いつからか「いいお店だなあ」と親しみを抱く雑貨屋さんで、自然と「エフスタイル」が作るものに出会うように。エフスタイルは、五十嵐恵美さんと星野若菜さん、新潟生まれの二人が、新潟で開設したもの作りのユニット。洋服や靴下や花かごは日常的に自分で使っているけれど、亀田縞の風呂敷は父の日や友人へのプレゼントにしたりと、贈りものにも大活躍。月曜日と土曜日の週2日(臨時休業あり)営業するショールームが新潟にできたと聞いてからは、いつか訪ねてみたいと思っていました。
 
そんな思いが叶ったのが数年前。新潟・佐渡島を旅した帰り道。エフスタイルのお二人がおすすめの「パティスリー ランプリール」でケーキを求め、アトリエにてみんなでもぐもぐ。その後ゆっくり、深く呼吸をしながら旅立ちを待つ、衣食住の道具を手にとり、買いもの。
「シナの縄の花かご」は、山北町で受け継がれる古代織物をアレンジしたもの。足を優しく包み込む「くつした工房の靴下」は、五泉市生まれ。「亀田縞の風呂敷」は、新潟市亀田に伝わる綿織物の風呂敷をバッグに仕立てています。こんなふうに、エフスタイルのショールームには、新潟県の手仕事がたくさん。新潟駅からはバスで向かうのも、遠足気分で楽しいひととき。
事前に営業日時を確認して訪ねてください。


                                  「F/style」のあれこれ

 
 
まち歩きの途中に“乙女喫茶”

 
新潟駅から徒歩数分。飲屋街の中にあるジャズが流れる喫茶店。駅についてそのまま向かい、ところどころに草花を配した店内で、ハンドドリップで淹れるコーヒーを。
カウンター席の他には、テーブル席がいくつか。小さな椅子も座り心地がいいのです。窓辺の一角は壁に舵輪が飾られていて、海にたゆたう船の中のような風景。また別の一角は、親しい人と団欒しながら過ごすのにいい山小屋のような佇まい。所々にアンティークの品々が置いてあって、一部は販売もしています。コーヒーカップも店主のセンスがきらりと光り、一つ一つの色・形がきれい。神棚には米所らしく稲穂や米俵がそなえてありました。凛とした雰囲気の女店主との会話も楽しく弾みます。


                                 「コーヒーの店 マントン」

 
 
立ち寄りたい“レトロな建物”

 
信濃川河畔の白山公園に隣接する、木造2階建て、漆喰壁、左右対称の洋風建築。竣工は明治16年。新潟県会議事堂として建てられ、内部には議場、知事室、議長室、委員室などがあります。特に、1階から2階まで吹き抜けになった議場は、圧倒的な美しさ。シャンデリアは真下から見上げると、雪の結晶のように見えます。
 
外観も、中央の塔屋や両サイドの棟の擬宝珠形の飾り、玄関の車寄せとバルコニー、白亜の建物を縁取る隅石と、見どころあまた。昭和44年に重要文化財に指定され、その後、新潟の県政を伝える博物館に。入場は無料。白山公園と合わせて、たっぷりときを過ごせます。

                                    「新潟県政記念館」

 
 

 


 
 
NAOTキャラバンは8/24(金)〜26(日)まで、新潟市の医学町ビルさんにて開催!
土日限定でマリールゥさんのカフェもお楽しみいただけますよ〜
みなさまのご来場をお待ちしております。
 
〈キャラバン詳細はこちら〉
’18 8/24 fri.〜26 sun. NAOTキャラバン2018 in 新潟
 
 
▼「甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン」 バックナンバー
 


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