私の好きな「夏」
朝は4時にもなれば空は明るくなり、うっすら目を覚ますと
夜明けを惜しむように遠くで鳴くヒグラシの声と、
遠慮なく朝の訪れを知らせる新聞配達のバイクの音が聞こえてくる。
夏休みの朝は、その音を聞きながらタオルケットにくるまり、
今日はどんな一日にしようかとウダウダ考えるのが好き。
地元へ帰るたびに毎年登る山がある。
その山は、高校時代に学校行事で毎年登山をしていた思い出の山。
当時は「山登りなんて…」と毎年文句を言いながら登っていたが、
下山するときには友人たちと笑いすぎて毎年腹が筋肉痛になっていた。
今年も山へ登った。今年は母と二人で登った。
山での会話は、それぞれがこの山で経験した出来事についてだった。
母も幼少時代に、親子遠足でキャンプをしたことがあると言う。
初めて聞く母の話が私にはとても可笑しくて、たくさん笑った。
「何がそんなにおかしいの」と言いながら母も笑っていた。
それでまた腹が痛くなり最後は「も〜」と言うしかなかったけど、
くだらない時間がなんだか嬉しかった。
海も良いけど、私は山が好き。
始まると長く感じるのが夏
終わると短く感じるのも夏
夏だけはなぜか「終わり」を強く感じる。そして妙に寂しい。
だけどそのぶん毎回サヨナラができるので、次の夏が楽しみなのかな
とも思う。
夏だけではないけれど、
季節にはそれぞれの温度や匂いや音、光、風があって
それを全身で感じるたびに、心に刻まれていく。
今年もまた少し夏の「好き」が増えた。
(モリ)