近ごろの長期休暇はバタバタと旅行へ行って
バタバタと日常に戻る。
そんなことが多くて、今回は少し立ち止まって
いろんなことを考えたり、考えなかったり。
そんな夏休みにしようと決めていた。
お店に1枚のチラシがあった。
なら国際映画祭2016のイベントのひとつとして
近くの奈良女子大学で映画がワンコインで観れると。
「国際市場で逢いましょう」
ずっと観たいなと思っていた韓国映画のひとつ。
「あなたは、お父さんの人生を知っていますか?」
と、なんともドキリとするキャッチフレーズが掲げられたこの映画は
朝鮮戦争中に父と妹と離れ離れになった主人公が
父との約束を果たすため、家長として母や兄弟を守り、
過酷な時代・環境を生き抜くその人生が描かれている。
8月に入ると日本でも戦時中を描いた映画なんかが
テレビでもたくさん放送され、“あぁ。8月15日か。”
なんてことを毎年思って、毎年ぼんやり過ぎていく。
約2時間を通していつも同じシーンに引っかかった。
主人公が幼いころ大きな船で釜山へ避難するとき
大人になってベトナム戦争に従軍し、そこから引き上げるとき
いつもだれか“人”を乗せるために、一度積んだたくさんの“荷物”を
船から下ろすのだ。
それは国民を守るためだったり、現地の人に懇願されてだったり…
場面によって状況は異なるのだけど、武器や私物を置いていく。
釜山のきれいな海と、山に密集した家々を見て
なにも知らない私は“わぁ。なんかすごい。きれいだね!”と言った。
そしたら、あの山にある家は朝鮮戦争中に釜山に避難してきた人たちが
土地がなくて山にたくさん家を建てたんだよ。それが今も残ってる。と
現地の人が教えてくれたことをふと思い出した。
私たちは学校も仕事も、恋愛も結婚も、食べ物も着るものだって
いつも選べる環境にいる。
そうやってあまりにも選択肢があって、自由だからこそ
分からなくなってしまうのかもしれない。
本当に大切なものってなんだろう。
そんな風に向き合う夏も悪くない。
(神谷)
本当に大切なもの
