師走。
部屋の大掃除をしていたら、
もうずっと開けていなかった箱の中から
36㎜フィルムがコロコロっと出てきた。
一体、いつのだろう???
写真が好きで、大学生の頃、中古カメラ屋さんでフィルムカメラを買って
いつでも持ち歩いて撮っていた時期があったっけ。
今はフィルムを一本買うのにも当時の何倍ものお金がかかるし、
もう廃盤にしているメーカーも多い。
私も今となっては仕事で撮影することはあっても、
普段は手軽なスマホでたまに撮るくらいになっていて、
フィルムカメラはすっかり引き出しの奥で眠らせてしまっていた。
見つかったフィルムは思い出せないくらい昔のものであるのはたしか。
この中にはどんな写真が…?! と急にウズウズしてきて…
すぐさま、現像しにいそいそと写真屋さんへ。
時間が経っていたので、ちゃんと写っているか心配だったが、
写真屋のおじさんは「大丈夫だったよ」と一言。
ほっとした。
家に帰っておそるおそる開けてみる。
季節も場所も全然違うが、10年ちかく前、間違いなく自分が撮った写真たちだった。
近所の公園。冬と夏に。
旅行先にもよくカメラを持っていったなあ…これはセブ島、だったはず。
友人を連れ出してよく写真を撮らせてもらったな。
その時感じた蒸し暑さとか、乾いた空気、においとか、
見るたびに忘れていた記憶がブワッ…! と思い出される。
ワクワク感、なつかしさ。
たまらず、何度も何度も見返している自分がいた。
自分への手紙は入っていないけれど、これはもはやタイムカプセルのよう。
「写真ちゃんとつづけてる?たのしんでる?」
純粋に写真が好きで、夢中で写真を撮っていた頃の自分に、
そんなことを言われているような。
フィルムだからこそ一枚一枚、丁寧にシャッターを切る。
私は時間がかかりすぎてしまったけれど、
プリントが仕上がってくるまでの間どんな写真が撮れているかわからない楽しみもある。
カメラがあると、世界をよくみるようになるってこと。
なんてことない毎日の景色が美しく見えたりもする。
そんなことを昔の自分から教えてもらったような気がした。
そう思ったら、写欲が湧いてきた。
さて、眠っているフィルムカメラを取り出してバックに忍ばせよう。
(奥口)