ずっと履いていて
1年365日は言いすぎだけど
それくらい毎日履いてしまって、
それを8年間。
傷だらけになって、
バックルの色もこんな色やったかな。
内張りも破けてしまったし。
でも、そのひとつひとつの傷はいろんな所に行った勲章になったんだ。
そう僕の靴は天使なのだ。
誰が何と言おうとも!
あんなところ。こんなところ。
どんなところかははっきりとは覚えてないけど
この靴の傷は憶えている。
同じ色の同じ形の靴を
去年の春に新しく買った。
気持ちはまるで
髪の毛を切った日のようだし
引っ越しをした次の日の朝のようだし
はじめての彼女ができたときのよう。
初めてのデートで12時間一緒にいたときのよう。
あ、ドキドキしてる。
これは恋だね。
そして1年が経って、
今はそれもすでに傷だらけ。
靴は天使になりました。
天使の靴は羽を広げて
どこまでもどこまでも。
同じ色の同じ靴。
でも表情が全然違う靴。
どっちも愛おしい。
これはきっと恋だね。
宮川 (あ)
傷だらけの天使
