NAOTの靴との出会い。
NAOTの靴と出会って知ったことや、感じたこと
そして変わったこと。
スタッフそれぞれにもその歴史があります。
第9回となる今回は、「私とNAOT」の立案者でもある、神谷にインタビュー。
「来年は何をしているか分からない、そのスタンスが心地良い」という、彼女。
過去に何を経験し、いま何を見ているのか?
そして、どんな未来を描いているのか?
もりもりっと話してもらいました。ぜひ、ご一読ください!
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誠実に、正直でいたい。その方が何事も続くと思うんです。
ーー 早速ですが、神谷さんは年上の私が見ていても、指示が的確ですごい俯瞰で見てるな〜という印象です。いま、どういうスタンスで仕事に取り組んでいますか?
俯瞰で見てる…のかな。自分自身ではそういう感覚はないんですけどね(笑)
私は基本的に、自分で動きたいタイプです。
でも、これまで自分がこんなことしたいなって思ったときに「じゃあ、こうしたらいいよ。こっちこっち!」って、ちょっと開きけかけてる扉をバン!って開けてくれる上司や先輩にたくさん助けてもらって、そのおかげで仕事を通していろんな経験が出来たんです。
なので、今度はそっち側になっていきたいなと思っています。
もちろん今も助けてもらうことばかりなんですけど、同時に「相手に伝える」ことを勉強しているところです。
ーー 2年前にNAOT オフィシャルサイトのリニューアル担当になった経験は大きかった?
そうですね。経験はなかったんですが…ある日、突然「WEB担当ね!」って言われて。
デザインを変えて、コンテンツもパワーアップさせよう!と。
何から始めればいいのか全く分からないじゃないですか(笑)
だから、ありとあらゆるホームページをとにかく見て、見て、見て…。
家でも電車でもずっと画面とにらめっこしていました。
それで、こんなのどうかなと思うものを10案ほど提案して、相談しながら作っていきました。
正解のない仕事なので、コンテンツもとりあえずやってみよう!というスタンスで。
必要な情報はきちんと伝えながら、これが靴屋のWEBサイト?と思っていただけるような、どこにもないものを作ろう!
持っていたのはその気合いだけでしたね(笑)
そのうち、あ、これやってみたいなっていうのがポツポツと出てきて。
この「私とNAOT」の企画も、お店で直接お会い出来ない方にも、NAOTを届けている私たちのことを知ってほしいっていう想いがあって提案しました。
お客様、いっしょに働くスタッフ、それからNAOTの靴、あと自分自身にも、いつも誠実に、正直でいたいっていうのが私のなかにあって。
それをお店でもWEBサイトでも、表現するときに意識しています。
何事もそうじゃないと、しんどくなって続かないと思うんです。
例えば、お店でお客さまと一緒に靴を選んでいて、こっちの方がいいんじゃないかなって感じた時には「お好みはあると思うんですけど、私はこっちの方がいいと思います!」って正直に伝えるようにしているんです。
私の実体験、たくさんのお客さまのお話や足を見せていただいて、その経験から何を伝えたいか、どうすれば伝わるのか、それを考えながらコンテンツを作っています。
ーー それは、やっぱりNAOTの靴が好きだから伝えられることですよね。今後、オフィシャルサイトはどういう風にしていきたい?
私がリニューアルに関わった時より、スタッフも増えてるからいろんな人の味を取り入れて、いろんな色を出せたらいいなって思っています。
そのために、来年はそれぞれが自分企画を持つことを計画中です!私自身も楽しみなんです。
ーー ほぉ〜
任せてもらえた結果、気付いたことなんですけど、WEBは毎日どんどん変わっていくし、新しいこともチャレンジできるので、性格に合っていたなって思います。
企画する、チャレンジするっていう仕事の取り組み方を知れたので、とても良い経験をさせてもらっています。
「楽しそう!」と思ったら、すごい勢いで手を挙げます(笑)
ーー 勤続4年目を迎えようとしているけど、仕事への考え方は変わった?
例えば、あたらしい仕事や、誰かがこんなの形にしたいなあって言ったとき、自分の中で「楽しいかも!やってみたい!」の妄想ができたら、それはもうすごい勢いで手を挙げます!
だって、逃したらもったいないじゃないですか(笑)
前職を辞める時に、先輩に言われたんですよね。
「10年後にどんな風になってるか夢を描けるっていう世界を見せてあげられなくてごめんね」って。最近それを思い出して。
年齢的にも、仕事の取り組み方なんかも見られる立場になっていることを意識するようになったかもしれません。
もちろん仕事だけではなくて、私生活も含めて。
まずは私が楽しく生きようと(笑)
ーー その先輩知らないですけど、鳥肌たちました。奥深い言葉ですね。
そうですね。これまで出会ってきた、上司、先輩には本当に恵まれてましたね。
自分自身もそうなれるように、それがいまの課題です。
百貨店勤務を経て、見えたこと
ーー 前職は百貨店勤務ですよね。もともと接客が好きだったんですか?
特に、何がしたいというのがなくて。
就職活動するなかで、実際に働いている人と直接話ができるというセミナーに参加したんです。
百貨店って販売だけをするイメージでしたが、実際話を聞いてみるとバイヤーや広報、企画……。
さまざまな部署があって、自分がどこに配属されて何をするかも予想がつかないし、来年何をしているかもわからない。
手をあげれば別の部署にも行けるというのを知って。
わたしの中では、来年も再来年も、5年後も10年後も同じ仕事をしているというのが想像出来なくて。「10年後なにをしているか分からないっていうのが面白そう!」と思って、百貨店に就職したんです。
ーー 百貨店勤務での5年半はどんな経験を?
それこそ数ヶ月単位、一年単位で部署異動があるんですけど、なかでも週替わりのポップアップショップを担当していたときが、今思えば一番充実していたなと思います。
会社として初めての取り組みだったので、その担当になった時に「資料もない、前例もない、なにから?!」ってなって。
しかも、それに一人で取り組むことになって。
とにかく毎週毎週、お店が変わるんですよ。
毎日いろんな情報がドンドン入ってくるので、ずっと考えていましたね。
当時は目まぐるしく毎日が過ぎて大変でしたけど、振り返ってみれば、その経験が今も役に立っています。
ーー 退職した理由は?なにか新しいことをしたいとか?
うーん、明確な理由はないんです。
“10年後なにしてるか分からないって楽しそうやな”っていうのが私の根本にあったんですけど、ふと、「先が見えてしまった」と思ったんです。
多分来年こうなってて、5年後こうなっててっていうのが見えて。
環境を変えたいというかリセットしないと、と思ったんです。
何かをやりたいとかはなかったんですけど、辞めないと考える時間もないし。
で、誰にも特に相談せず、ふと辞めて。
一応、両親だけには伝えたんですけど「いいんちゃう?」という感じだったので、その日に辞めます、って伝えました。
よし!辞めよう!今や!みたいな。
ほんとに、ふと現れたんですよ、退職という選択が。
ーー ふと、っていう感覚、男前!それで辞めてから何をして過ごしていた?
有給期間が2ヶ月あったんですが、転職活動とかもせず、なにしよっかな〜って、のんびり過ごしていました。
子どもが好きなので保育園の先生にチャレンジしてみようかな〜とか。
「風の栖」との出会い
ある日、母とならまちに遊びに行ったんですけど、奈良駅に降り立った瞬間、観光気分になってすごく楽しかったのを覚えています。
自宅から数駅しか離れていないのに。
いろんなお店に遊びに行って、「風の栖」でもサボを試着したりして。
ただただ、ならまちの空気感が心地良くて、こんなところで働けたらいいな〜って。
それで、家に帰ってから、ならまちのお店のサイトをいくつか見たんです。
そしたらなんと「風の栖」でスタッフを募集していたんです!
ならまちに詳しい妹に相談したら「3ヶ月前にお姉ちゃんが好きそうな店あるでってここ紹介したやん。」と言われまして。
全く記憶になかったんですけど(笑)
そんなこともあって、なんとなく心が惹かれて応募しました。
ありがたいことに声をかけてもらって、面接に行ったんです。
ちょうど有給も消化したところで、その日に「いつから来られる?」「いつからでも」「じゃあ、○日から来てね」となって。
5日後にはお店に立っていました。
ーー それもご縁ですね。ところで、心が惹かれたのは、どういうところに?
自分の目の行き届く範囲のお店で、ちゃんとお客さまと向き合うっていうことをやってみたかったんです。
自分も使ってみて素敵だなと思うものを届けたいと思って。
百貨店時代の話になるんですけど、ダウンのブランドのポップアップショップを担当したときに、このダウンがどうしていいのかを伝えるために、サンプルのダウンを解体したんです。
解体したものを、博物館のイメージでクリアケースに入れて展示したりして。
その仕事を通じて、なぜこれがいいのか、なぜこれはこうなったのか、っていうのを深掘りすることの楽しさに触れました。
ーー 実際に働いてみてどう?その頃、奈良には「風の栖」しかなかったよね。
面接の日に「NAOT NARA」ができるっていうのは聞いていたんですけど、なんだか急に巻き込まれた感じです!
「なんだかガタガタ動き始めた船に乗ってしまった!」みたいな。スタッフもどんどん乗ってくるし(笑)
でも、今すごく楽しいんですよ。
慣れるまでは、新しいことにチャレンジするたび、船がガタガタ〜ってなったら、私も一緒にアワワワワ〜ってなっていたんですけど、今はまあそのうち落ち着くか、なんとかなるだろう、っていう感じです。
ーー 頼もしい!
十年後、この靴と自分はどうなっているか楽しみ!
ーー NAOTの靴は何足くらい持ってる?
いまは、10足くらいですかね。初めてのNAOTは面接の日にお迎えしたIRIS Chestnutです。ピッタリ感が気になって、ジャストサイズよりひとつ大きいものを買ってしまって、分厚い靴下を履いていたらそれに合わせて少しゆとりが出てきてしまったんです。
革が馴染むって、こういうことか。と体感した一足でもあります。
その後、DANIELA Walnutをお迎えしたんですけど、これはもう感動ものでした。
「めっちゃいい!なにこれ!」って表現できない気持ち良さがあって、目的地の一駅手前で降りて歩きました。スキップしてたと思います。いや、ホントに。
その時に、我慢しきれずOLGAも一緒に買っちゃって。赤い靴下と合わせて履きたくて。
それがコレなんですけど、最近は柄モノの靴下と合わせることが多いです。
自分の足元をパッて見た時に、柄っとしてたらテンション上がりますよね!
サンダルは、KAYLA Matt Blackを初めて買って、これは3年目の夏を迎えました。
めちゃめちゃ軽いので、海外行くときとか、例えば違う靴履いていっても、リュックに入れておけるし。
「靴を修理する」っていう概念が今までなかったんですが、この子に出会って初めて修理もしました。
インソールを洗えるシャンプーダイレクトも、このKAYLAのために私がプライベートで探して見つけたんですが「これはイイ!みんなにもお知らせしたい!
」と思って、お店でも取り扱うようになりました。
友人と食事に行った時に、たまたま靴を脱ぐ席に案内されて、足の形がぴょんぴょんぴょん、とついているインソールを見て「あっ!洗いたい…」って思ったんです。
アレもコレもケアグッズを出してって大変なので、一つで済むものを探しました。
やっぱり自分が履き続けているから、お客さまと同じように体験できて、必要なモノを提案できるのかなぁ。と思っています。
2年目のSABRINAもこれでお手入れしています。
これは30歳の記念に買ったIRIS Oily Dune Nubukです。自分の中ではチャレンジの一足です。それまで、白か黒の靴ばっかりだったんですけど、これは経年変化が出やすい革で、10年後この靴と40歳の自分はどうなってるかなっていう自分への期待も込めて。
ーー そういう意味でのチャレンジか〜。10年後、楽しみですね。NAOTの靴を履くようになって靴に対する考え方って変わりました?
昔から履いているお気に入りのパンプスがあるんですが、たまにそれを履くと、気付くんですよ。
毎日NAOTばっかり履いていて忘れがちですが、何が違うってインソールが自分の足に沿わないことに違和感を感じました。インソールが足に沿うってことは当たり前じゃないんだって。改めて履くとNAOTの優しさに気付かされます。
あと、同じものを修理しながら3年も履くという考えはなかったので、KAYLAを修理して履いているのは私の中では新鮮です。靴って、これまでは飽きたら捨ててたんですけど、NAOTは捨てるのがかわいそうで出来ないです。
ーー 名前ついてるしね。
そうかもそうかも。靴のひとつひとつに名前がついていて「ひも靴履いていこ〜」じゃなくて「KEDMA履いていこ〜」って、愛着が沸きますね。
みんなで建てたお気に入りの一軒家に住んでいる感覚かな。
ーー では最後に、今いる場所、NAOTってどういう存在?
みんなで建てたお気に入りの一軒家に住んでいる感覚かな。
それはここで色んなことを経験させてもらえたから言えることかも。でも落ち着いているわけではなくて、まだまだ変えたいところはあってDIYしていきたいです。
ーー DIYなんですね。買ってくるんじゃなくて。
そうですね。誰かにお願いするんじゃなくてDIYですね。
改装する部屋があるかもしれないし、増築するかもしれない。みんなが訪ねてきてくれてワイワイBBQするのもいいですね。そんなイメージです。
ーー そういえば去年の忘年会、子どもと戯れる神谷さん、めっちゃイイ顔してたよ。
△昨年の弊社忘年会にて。スタッフの子どもたちと
ほんまや〜。癒された顔してる。
実はこれ、百貨店時代に一緒に仕事した人が書いてくれた似顔絵なんです。
当時私はベリーショートでこんなひっつめた髪型もしてないし、アイメイクもここまで派手ではなかったんです。
そういう印象に映ってたんでしょうね。
その頃は、心の余裕がなくってギラッギラしてたんだと思います。
でも今は心の余裕ができました。
「今日は約束があるから帰ろう。家で家族とご飯食べよう。」みたいに、メリハリをつけて働くようになりました。
10年後を楽しみに、これからもワクワクを探しながら成長し続けていきたいです。
スピーカー:神谷
インタビュアー・編集:脇阪
ー これまでの「私とNAOT」 ー
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