靴を履いて、旅に出る。
旅先だから、聴きたい音楽がある。
「旅で聴きたい曲」をテーマに、音楽関係者がおすすめの4曲をセレクト。
あの人は、どこにどんな音楽を連れていくのでしょう?
第六回目のゲストはドラマーの朝倉真司さん。
朝倉さんは、いきものがかり、一青窈、森山直太朗、レキシ、くるり…などなど、多くのアーティストのレコーディング、ライブに招聘される売れっ子サポートミュージシャン!!年間ライブ数は120本にものぼり、TV番組での演奏やパーカッショングループでの活動など、幅広く活躍されています。
そんな、たくさんのアーティストと音を創ってきた朝倉さんが、「旅で聴きたい曲」とは?
さあ、旅に出かけましょう!
artist: 阿部芙蓉美
title: highway, highway (視聴可)
album: 2012年 『沈黙の恋人』
四六時中移動している人生ではあるけれど、いつも旅というのとはちょっと違うよな、と思っている。
どこにいても心が動くようなことがあれば、ここにはまたゆっくり来ようとかいつか大切な人を連れてこようと思う。
いつも、いつまでも実行されない本当の旅のために、いつか旅をすることを妄想しながら、旅をしている。
一瞬立ち上って消える妄想についての、動かないロードミュージック。
そんな妄想を引き連れるだけの旅のオープニングに相応しい。
artist: Nick Lowe
title: What’s Shakin’ On The Hill (視聴可)
album: 1990年 『Party of One』
夜、知らない街を歩いていると目に入る無数のお店、穏やかな人の営み。沢山ありすぎて、一生ここに立寄ったり交わったりすることなどないのだろうと思った瞬間、死ぬまで出会うことのないであろう素晴らしい音楽や映画や本や人やあれこれがわっと頭の中に流れ込んで来て圧倒的な無力感に泣きそうになる。でも、きっとだから人生は素晴らしい。あの丘の上で起こっていることからは永遠に私は仲間はずれだ、と歌う曲を思い出す。根を生やすことが出来た場所の向こう側。
artist: The Beach Boys
title: I Can Hear Music (視聴可)
album: 1969年 『20/20』
大学時代、各地で留学している友人達を訪ねながらバックパックを担いでヨーロッパを旅しながら、所謂後期のビーチボーイズを良く聴いていた。例えば、夏のバルセロナの日陰と日向の温度差。人の優しさ。まだ作りかけの狂った建築物の筆圧の強さ。まだ私はこの町に来るべきではなかった、と思ったあの感覚を今聴いてもはっきりと思い出す。美しいカールの声と、満たされた歌詞の裏側に焼き付いた思い出。
artist: NRBQ
title: Rain At The Drive-In (視聴可)
album: 1983年 『Grooves In Orbit』
旅をしながら生きていくということは「いつか大人になったら」という想いと似ている。積み重ねていくのではなく、広く耕しながら生きていく。ゴールのない旅にはロックンロールがよく似合う。ポップと影と狂気と歴史の詰まった、今日も歩いて行くためのテーマ曲。
朝倉 真司 ・ ASAKURA Shinji
音楽家、ドラマー、パーカッショニスト 。
1996年にLOVE CIRCUSのメンバーとしてデビュー。
その後、ヨシンバ、パーカッショングループ ”Asoviva!”のメンバーとして活動しながら、
いきものがかり、一青窈、森山直太朗、レキシ、くるりなどの様々なアーティストのライブ、レコーディングに参加している。2017年9月、下北沢・本多劇場にて上演された森山直太朗劇場公演「あの城」(2018年3月映像作品化)には役者としても参加した。