風の道を


 

旅へ 
 
          
きょう 信号待ちのとき
海のようながあった
 
(海は ずっと旅をしている)
 
海辺に住む祖母が教えてくれた
貝殻も 流木も
巻き貝の中の坂道も
旅をしている海からの手紙と
 
今ごろは 海には
白い帆が 春を迎えに出ているだろう
 
――わたしも 旅に出よう
 
履きなれた あの靴で
 
は届けてくれる
新しいわたしを
 
 
 
 
詩・はたち よしこ
絵・安福 望

 


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