リトルストーリー
2018.08.23

甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン #6「松山」


なにより好きな、まち歩き。
古風でけなげな喫茶店。物語を秘めた建物。見目麗しい甘味の誘惑。
動物の形をした食べ物。暮らしになじむ手仕事。
まちの中には、たくさんの好きが潜んでいる。
歩いて、立ち寄り、歩いて、立ち止まり、歩いて、休んで、また歩く。
さあ、今回は、どのまちへ?
キャラバンの途中、どんな物に、出会えるでしょう。

 
 
#6「松山」

 
この春、3度目の松山をぶらりと歩いた。日本書紀にも登場し、日本最古と言われる「道後温泉」を起点に、温泉街や商店街のみやげもの屋を見て回る。「坊ちゃん団子」「一六タルト」「山田屋まんじゅう」「母恵夢」と銘菓の多いまちの中で、今回おやつに求めたのが「労研饅頭(ろうけんまんろう)たけうち」の、酵母菌を使った蒸しパン。ほわっとやわらかく甘さはほどよく控えめで、素朴という言葉がしっくり似合う。
 
本当は、「ことり」や「アサヒ」でアルミ鍋に甘いだしの鍋焼きうどんか、入口に坊ちゃん列車のレプリカがあり店内も列車内をイメージした「コーヒー&ステーキ 坊っちゃん」にも立ち寄りたかったけれど、お腹は一つ。夜に愛媛名物の鯛めしやじゃこ天を味わうためと、間食は控えめに。さまざまな柑橘類のジュースの店「10FACTORY」で、みかんジュースの飲み比べを楽しむくらい。食後は昭和33年創業の老舗「バー露口 」で、グラスに氷が2個入った名物のハイボールを味わうことができて満たされた気持ちに。
 
松山は早起き必須。初めての方は可能な限り「道後温泉本館」近くに泊まって、朝6時の営業少し前に朝風呂を浴びに出かけてほしい。本館屋上にあるギヤマン張りの振鷺閣から、「ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン」と鳴り響く刻太鼓の音を浴びた朝は、なんとも清々しく快く過ごせる。(刻太鼓は朝6時、正午、夕方6時と1日3回聞くことができる)入浴後は大広間の休憩室「神の湯二階席」で、お茶とおせんべいを味わうのが至福。
 
下で紹介する店や場所の他にも、「松山市立子規記念博物館」「松山城ロープウェイ」「伊丹十三記念館」などが立ち寄りどころ。みやげもの屋が多いから、道後商店街や大街道商店街と、商店街を歩くだけでも楽しい。
 
 
パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”
 
創業から70年近く。ショーケースにずらりとパンが並ぶ、昔ながらの対面販売式パン屋さん。こんがりと焼きあがったコッペパン色のテントには「純フランス式」の文字が輝く。昔から変わらず、無添加でパン作りを貫いているそう。
クリームパンやアゲパンなどの菓子パンから、サンドイッチなどの総菜パンまで、種類も豊富。食パン1枚まるごと使ったラスクや、食パンの耳を揚げた「ぱりん糖」も根強いファン多し。どうぶつの形のパンがあるわけではないけれど、パン袋には愛らしい犬の絵が。

                                     「パンの三葉屋」
 
 
“帰り道に”ごほうびスイーツ
 

こしあん、つぶあん、ごま、青のり、きなこ。5色5味の、まあるいおはぎ。箸袋の「母の手の まるみでできる はぎの餅」という言葉の通り、優しく懐かしい母の味を思い出す。
「五色おはぎ」はその名の通り、5種類セットで一人前。持ち帰りもできるだけれど、小料理屋のようでいて、女将さんが趣味のものを飾った、和やかな店内で味わうのがなによりおいしい。こぶりなので、こんなに食べられるかなという心配をよそに5個ぺろり。

                                 「みよしの」の五色おはぎ

 
 
“ときめく手仕事”を持ち帰ろう
 
「砥部焼」の里・愛媛県砥部町に生まれ、マリメッコのデザイナーとして活躍した石本藤雄氏デザインの花形が、白磁のブローチに。砥部焼の窯元「すこし屋」とのコラボレーションで、柔らかな色彩の愛らしい手仕事。
石本藤雄氏プロデュースのギャラリー・茶房「MUSTAKIVI」は、砥部町の登り窯「もぐらの窯」で作陶をおこなう作家の作品も求められる。他にも、クッション、ハンカチ、お菓子などオリジナルの商品が取り揃う。


                石本藤雄氏デザインの砥部焼ブローチ 花(MUSTAKIVIで販売)

 
 
まち歩きの途中に“乙女喫茶”

 
松山は、夏目漱石の小説にちなみ「坊っちゃん列車」と呼ばれる蒸気機関車型の観光列車が走るまち。漱石が「マッチ箱のような汽車」と形容した愛らしい列車に乗り降りするのなら、道後温泉の玄関口、伊予鉄・道後温泉駅を起点に。現在の3代目道後温泉駅は、明治44年に建てられたクラシカルな洋風建築の駅舎を、昭和61年に新築復元したもの。昨年、伊予鉄創立130周年を機に駅舎一棟まるごと「スターバックス コーヒー 道後温泉駅舎店」としてリニューアル。店内から、行き交う列車を眺めることができたり、枕木やレールを使ったカウンターにテーブル、駅の待合室をイメージした席があったりと、心踊る作り。ロマンチックに今昔が新たな景色を織りなしている。誰でも気軽に利用できるのが嬉しい。


                          スターバックス コーヒー 道後温泉駅舎店

 
 
立ち寄りたい“レトロな建物”

 
所在するのは松山城の南麓。「坂の上の雲ミュージアム」を通り過ぎ、さらに坂を上ると到着。旧松山藩主の子孫・久松定謨(ひさまつさだこと)伯爵の別邸として、昭和11年に建てられたネオ・ルネッサンス様式の洋館。陸軍駐在武官でフランスでの暮らしが長かった伯爵の好みが活かさ、社交場として各界の名士が集っていた。設計は建築家・木子七郎(きごしちろう)。コリント式の飾りを施した車寄せや玄関ホールの柱、うろこ屋根、相原雲楽が手がけた彫刻作品、アール・ヌーボーのステンドグラス、松山藩の大判・小判が使用された避雷針……と見所あまた。敷地内にはかつて夏目漱石が下宿をしていた小料理屋があり、その跡地に建つ「漱石珈琲店 愛松亭」でお茶や食事ができる。

                                          萬翠莊
 
 

 


 
 
NAOTキャラバンは9/7(金)〜9(日)まで、松山市のTHE 3rd FLOORさんにて開催!
みなさまのご来場をお待ちしております。
 
〈キャラバン詳細はこちら〉
’18 9/7 fri.〜9 sun. NAOTキャラバン2018 in 松山
 
 

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