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2018.09.16

NAOTが出会った「はたらくひと」#8 シンガーソングライター・ピアニスト 森ゆにさん


 
 
NAOT × はたらくひと の連載 第8弾 は シンガーソングライター・ピアニストの 森ゆにさん。
 
2008年よりソロ活動をスタートし、「ほぼ日刊イトイ新聞」大槻あかねさんのブログの音楽を担当する等、その活動は多岐にわたっています。NAOT NARAでもイベント企画で ライブをしていただいたこともあり、今年7月の ALPS BOOK CAMPでは演奏者&出展者同士ということでまた嬉しい再会を果たす事ができました。
 
今回はそんな森ゆにさんに音楽をはじめたきっかけ、お仕事に対する想いを伺ってきました。
どうぞご覧ください。
 
 
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ーゆにさんが音楽のお仕事をはじめられたきっかけは?昔からの夢だったとか?
 
いえいえ。本当に自然の流れに任せてこうなってるという感じなので、確固たる意志をもって今この状態にあるっていうのとはちょっと違うんです。
 
でも小さい頃、5歳の時からピアノは続けていました。
私は中学受験をして私立に進学したのですが、そこがキリスト教の学校でね。
そこでは礼拝で奉仕する聖歌隊が部活としてあったので、じゃあ歌もやってみたい!ということで聖歌隊に入ったのが歌い始めたきっかけかな。
そこから高校卒業するぐらいまでピアノや聖歌といったクラシカルな音楽を続けていました。大学入学後はポップミュージックに惹かれて、バンドをやってみたいなという気持ちになって、一般大学のバンドサークルに入り浸る生活をしていたんです。
 
 

ー小さい頃から音楽が大好きだったんですね。一度もやめようと思ったことはないんですか?
 
ピアノは何回もやめたいって思った事はあったんですよ。
例えば、小学校の4年生のときに「もうやめたい」って親に言うとするじゃないですか。
そうすると母は「じゃあ6年生までもうちょっと頑張ってみようか」と、いう感じでそのタイミングをちょっと先に設定するんです。
私のピアノの先生は個人の教室の先生だったのですが、割とスパルタでね。コンクールを夏休みに毎年受けるよう言われるんですよ。どんどん先の課題を与えられて、それに取り組まざるを得ない状況になる。あれ?やめられないぞ・・とそんな状態に(笑)
それを何回か繰り返して、気がついたら中学生、そして高校生になっても続けていましたね。
 
そうしているうちに、いつの間にかだんだん自分の弾きたいものを弾けるように。
 
だからこそ今、音楽の仕事ができています。よく母に「あの時続けておいてよかったでしょ」って言われますよ。それはなんとも..(笑)でも、感謝ですね。

 

 

ーバンド活動をされていた大学在学中にデビューされたんだとか?
 
そうなんです。はじめはローリングストーンズとかビートルズと等のコピーをやるようなバンドだったのですが、ある時、先輩がオリジナルを作ってレーベルに送ったらそれがCDデビューをしてね。
都内のライブハウスでライブするようになったのがきっかけで今の世界に足を突っ込んだという感じです。私はそこにキーボードやコーラスで参加していました。
 
バンドがきかっけでデビューはしたのですが、途中「一人でやってみたいな!」っていう想いが芽生えてソロ活動をするように。自分のピアノと歌で曲を作り始めたとき、また全然別の事務所の方がひょっこりライブの会場に来ていて曲を聴いてくださったんです。それでCDを出しませんか?という流れになって。
ソロのオリジナルCDは今までに3枚出しているんですが、最初の2枚はそのレーベルから出しています。

 
 

ーすごい。ジェットコースターみたいな展開ですね!
 今はどんなスタンスで活動されているんですか?
 
今はどこかのレーベルに所属しているというわけでなく、完全にフリーなんです。もう8年目。
ライブの依頼を受けたりするのも事務所経由じゃなくて自分宛になることもあったので。
自分の手で曲を届けていきたいなという想いが強くなりました。なので、CDを自費で作って自分で連絡を取ったお店さんに卸していくっていうやり方を取っています。
 
全国にバーッと流通していく方法というのは多くの方に知ってもらえるのでいいこともたくさんあると思うのですが、小さいお店でもすごいレビュー書いて宣伝してくださったりと、熱量を肌で感じられるんです。なるべくそういう風に顔が見える方達と一緒に頑張ってやっていきたいなっていう気持ちがあるんですよね。
 
そんな風にコツコツと長い活動の中で知ってくださる方が広がっていけばと思っています。
口伝いではないけど、ある時どこかで知ってふっとメールをくださるお店さんとかもいらっしゃいますしね。そういうのが、嬉しいです。

 
 

 

 
ーこの仕事のやりがいや原動力はなんですか?
 
「働く」ってこの記事のキーワードになっているじゃないですか。
でも私のやっている音楽のCDをつくったり、ライブをしたりというのは、「働く」っていう概念と違うのではないかな?というふうに思ったりもしました。
自分の中での「働く」は何か困っている人がいて、その何かが自分ではできないから「お金払うからやって」みたいな、そういうやり取りの…需要と供給のことだと思っていて…
だから「自分は一体働いているんだろうか?」みたいなことで、もやもやっと悩むことが少なからずあります。
 
ただ自分も好きな音楽にはお金を出して聴いたりしているし、「ライブをしてほしいです」って言っていただいたり、作った楽曲をものをすごく楽しみにしてくれる人がありがたいことにいてくれる。
そういう意味では働いているし、そんな風に人から求めてもらう事自体が、自分のモチベーションになっていますね。
 
こちらから「私の音楽提供します!」みたいな感じじゃなくて、「作ってみたけどどうですかね?」とボールを投げて、それが返ってくる。聴いてくれた人とキャッチボールをしている感覚。
実際にステージでもダイレクトに反応をもらえたり、声をかけてもらったり、その場でCDを手にしてもらえたりするのを見ていると「何かしら受け取ってもらえたのかな?」と嬉しくなります。
それが活動の原動力かな。
 
 
ー活動の拠点はもうずっと山梨なんですか?
 
いえ。横浜で生まれ育って、10年間ほど東京で一人暮らしをしたあと、結婚を機に山梨へ移り住みました。今が6年目ですね。
 
ライブの場所は求めてくれる人がどこにいるかということに重きをおいているので、あまり距離は関係ないんです。機材を積んで、車でひょいっと行けちゃうし。
山梨はあくまで生活の拠点なんですよね。
 
活動のペース自体は本当に2,3歩先のことぐらいしかしか考えていなくて。
フリーという形でやっていると、広がりの速度も遅いのだけれど、ゆっくりでもこれからまた新しく出会う人がいると思うし、その人たちと地道に繋がって演奏していけたらいいなと思っています。
 
『祝いのうた』というアルバムを2015年に出したんですけど、この1年ですごくいい広がりを見せているというか。反応も貰えて、色んな所に旅立っていっているなあという実感がやっと返ってきている気がしているんです。なので出したら次!という感じではなくて、作品を作って出すのも本当に3年スパンくらいを考えています。

 

 

ーそれがゆにさんの人や作品との向き合い方なんですね。
 
そう、すごくゆっくりだけど、長く続いていく関係を大事にしたい。今はそんな気持ちです。
 
自分の曲づくりも釣り糸をずっと垂らしているような感じですしね。
「…つ、釣れない!」みたいな(笑)
 
こういう感じにしたいなというイメージはあるんだけど、それが具体的に釣れるまでにすごい時間が掛かっちゃう。もちろんひたすら考えているわけではないけれど、釣れるタイミングも様々で一年ぐらいこねくり回してる曲とかもあります。
ちょっとお蔵入りして、また出てくるみたいなのも。
 
でもやっぱり出来たときは、「できた!」って感じになっちゃうから、結局それなんですよね。
やっぱり自分で「あ、これ好き!」というのが作れたら、かなり昔に作った作品でも、今でもライブのレパートリーにずっと入っているし。
だから結局自分の好きなものを作っているだけなのかもしれません。
 
思い入れのある曲って、自分が移住とか、生活の流れが変わった時に作った曲に多かったりもします。でもおそらく別の人が聴くとその人の人生の中に取り込んだり、もちろん作った私とは全然違う心境で聴いていたりする。そういうのは面白いですよね。
 
作品は生み出したらもう、手に取る人が感じるままに受け取って貰えたらいいかなと思っています。
 
 

 

ー作品作りで意識していることは?

 
そうですね。
例えば、「私はあなたが好きです!」というのをあからさまに言うのでなく、何かそこを少しオブラートに包んだ表現をしていきたいなと。ストレートに表現するというより、伝えたいことや方向性を出しつつ、言葉を選んでいく感じですね。
メロディがあったらそこに入る言葉の数は限られてくるから、俳句を作るみたいな感じで曲作りをしています。
 
これは自分の楽曲作りにおいて、いつも頭の中ある言葉なんですけど。

 
 
「グレーでもいい」
 
 

近年、世間に飛び交う言葉たちを見ていると、○○でなければいけない、○○であるべきという傾向に胸を締め付けられる気分になることが多々あり。
でも、これだけたくさんの人がいて、いろんな意見の人がいて、簡単には白黒つけられないことばかりなのが世の中なんじゃないかと思っています。
もちろんはっきりと答えを出さなければいけない時もある、でもうまく言葉にできない時があってもいい。
 
自分のもの作りは、常にそんなグレーゾーンを大切にしていたいと思っています。

 
そして、そんな曲づくりを無理のない形で続けていきたいなと。
ワッと行くよりもじりじりとコツコツ続けるのが自分の性には合っているので、その自分の歩幅を大事にしてこのお仕事をつづけていきたいですね。
 
 
 

 

 

▲ 森ゆにさん愛用の NAOT は IRIS Chestnut。とっても風合いよく育っています。
今回はステージにも履いてくださっていました。

 
 


 
 
● 森 ゆに / mori yuni 公式サイト
 
 
 
▼ NAOTが出会った「はたらくひと」 バックナンバー
 
 

 

 


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