リトルストーリー
2018.11.23

甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン #8「名古屋」


なにより好きな、まち歩き。
古風でけなげな喫茶店。物語を秘めた建物。見目麗しい甘味の誘惑。
動物の形をした食べ物。暮らしになじむ手仕事。
まちの中には、たくさんの好きが潜んでいる。
歩いて、立ち寄り、歩いて、立ち止まり、歩いて、休んで、また歩く。
さあ、今回は、どのまちへ?
キャラバンの途中、どんな物に、出会えるでしょう。

 
 
#8「名古屋」

 
東京・関西どちらからも、日帰りでもじゅうぶん楽しめる名古屋のまち。実際に私はよく東京から、日帰りで名古屋を訪れています。
 
午前中のうちに名古屋について、まず喫茶店でひと休み。コーヒー一杯の値段で、トーストや小菓子などのおまけがついてくるのは、すっかり有名になった名古屋ならではの喫茶文化。それからお昼ごはんに、「名古屋メシ」と称される名古屋名物を。
 
ひつまぶし、きしめん、天むす、鉄板スパゲティ、あんかけスパゲティ、台湾ラーメン、味噌煮込うどん、みそかつ、手羽先……と、代表的なものだけでもこんなに。もちろんまだまだ、選択肢はあります。
 

 
それに加えて、茶処名古屋は、和菓子の名店もあまた。名古屋で和菓子というイメージはそれほど定着していませんが、和菓子好きの視点で見ても名店が多く、和菓子屋めぐりだけで一日過ごせるほど。喫茶店めぐり、名建築めぐり、壁画めぐりというように、毎回テーマを決めて楽しんでいます。
 
おやつどきには、「ライオン」や「喫茶エーデルワイス」や、二回目の喫茶店に立ち寄って、夜の酒場に備えます。
 
酒場もいい店はあまたありますが、百年続く老舗「大甚本店」の賑わいに身を置きながら、「ああ、いいまち、いい酒、いい肴だなあ」と、しみじみ名古屋を噛みしめるのが好き。和やかで気のいい名古屋の人たちと打ち解けあって、乾杯などということもよくあります。
 
名古屋の人たちと一緒に作った、『なごやのたからもの』(リベラル社)という本も出しているので、よろしければ手にとってください。
 
 
 
パンやお菓子で“全国どうぶつめぐり”
 
名古屋といえば、ういろうが名物。実はその火付け役が、明治12年創業の「青柳総本家」。昭和6年に三代目主人が国鉄名古屋駅の構内売店やホームで「青柳ういろう」の販売を始めたことで、「名古屋みやげといえば、ういろう」と言われるようになりました。
 
「青柳ういろう」の他にも、私が定番の名古屋みやげとして活用しているのが、「カエルまんじゅう」と「小倉サンド」。どちらも職人さんの手作りのおいしさに溢れているうえ、パッケージもチャーミング。
 
お菓子は、直営店や、百貨店、名古屋駅の売店などもでも購入できますが、名古屋駅に隣接する「KITTE 名古屋」1階の店舗へぜひ立ち寄ってみてください。おみやげ選びができるのはもちろん、「ひとくち生ういろう」や「青柳ういろうパフェ」「青柳ミルクセーキ」、コーヒーなどの特別メニューをイートインできます。
 
中でも個人的に気に入っているのが、名古屋銘菓としておなじみの「カエルまんじゅう」を、ミルクシェイクに浮かべた「カエルのミルク風呂」。跳躍や、「無事カエル」など縁起のいい意味合いを持つカエルは、青柳総本家のロゴマークにも使われれいます。

                      「青柳総本家 KITTE名古屋」のカエルのミルク風呂
 
 
“帰り道に”ごほうびスイーツ
 

夏だけでなく、秋も冬も春も、一年中かき氷が食べられる「雀おどり總本店」。どんなに寒い雪の日でも注文が入るほど、名古屋っ子にはおなじみです。
 
かくいう私も、名古屋散策の途中、季節関係なく、大好物の「大島(黒糖)金時ミルククリームわらび氷」を注文します。お腹に余裕があれば、「赤味噌ところてん」も一緒にぺろり。喫茶席で注文すると、どんなものにも必ず、お店の看板お菓子「一口ういろ」がついてくるのも嬉しい限り。
 
店内には、橋を渡した池があって、ゆったり鯉が泳いでいます。昭和の時代にはお見合いのあとの席などにも、よく利用されていたそう。栄の中心地にありながら、妙にゆったり寛げる、和みの空間です。

                「雀おどり總本店」の大島(黒糖)金時ミルククリームわらび氷

 
 
“ときめく手仕事”を持ち帰ろう
 
私が幼い頃はまだ、昔ながらの家の倉庫に眠っているのを見かけることがありましたが、今ではなかなか見かけることがなくなった、籐製の乳母車。福沢諭吉が米国から持ち帰ったのを、明治時代に日本で初めて製造販売したのが名古屋で、日泰寺には「乳母車始祖」の石碑が経っています。
 
籐製の乳母車は軽くて丈夫で、愛らしくて絵になります。荷物の運搬用だった「矢来車(やらいしゃ)」とともに、実は最近密かに見直されてきているそう。子どもを乗せるだけでなく、インテリアやお店のディスプレイとして求める人も多いとか。
 
一つ一つ職人さんが丁寧に手作りしているものを、4万円代から求めることができます。私もいつか、荷物入れに欲しいと憧れている、名古屋メイドの名品です。

                                   「早川商会」の矢来車
 
 
まち歩きの途中に“乙女喫茶”

 
“乙女喫茶”と言いながら、私がボンボンを好きな理由は、一人で、またはいつもの仲間といつもの席で待ち合わせをして、コーヒーを飲んだり、ケーキを食べたり、自邸の居間のように寛ぐ男性客が多いところ。おじさまたちが中日新聞を読みながら、笑みをたたえてケーキを頬張る姿は、なんとも幸せな風景です。
 
きっともともとは仕事途中のおじさまたちの寛ぎの場だった場所に、喫茶好きの女性がこぞって訪れるようになっただろうと思われるので、長年の常連客が築き上げた雰囲気を邪魔せぬように、そーっと過ごすように心がけています。
 
戦後焼け野原だった名古屋でボンボンの前身「山本製菓」が創業したのは昭和24年。その後、ボンボンと名を改めて昭和30年代に喫茶店をオープンし、昭和43年に今の店舗が完成しました。
 
ケーキの販売コーナーと隣接して、アメリカのダイナーのような席から、昭和の応接間のような席まで、さまざまな席がある喫茶店。内装も家具も昭和のままのモダンな雰囲気で、少し暗い照明が居心地よく、昔からよく知った店のような安心感がわき起こります。
 
シュークリームが大好物だったというのは、昭和の喜劇俳優・藤山寛美さん。お店のトレードマークのくまの絵は、一番人気のケーキ「マロン」を抱えています。
 
生菓子の他に、バームクーヘンなどの焼き菓子もあるので、おみやげ選びにもおすすめ。しなやかな女性が描かれたお菓子の包み紙も、すてきなデザインです。

                                    「純喫茶ボンボン」
 
 

立ち寄りたい“レトロな建物”

 
西は名古屋城から、東は徳川園まで、江戸時代には武家屋敷が建ち並び、明治時代にはその跡地に工場などが作られていた一帯は、「文化のみち」と呼ばれています。主税町の「町並み保存地区」には、「名古屋市市政資料館」「旧豊田佐助邸」「文化のみち双葉館(名古屋市旧川上貞奴邸)」と、見学可能な歴史的建造物がいろいろ。
 
中でも、「文化のみち橦木館」は、鳥モチーフのステンドグラスや、お菓子のようなタイルが、ところどころに散りばめられ、胸が高鳴る建物。アメリカや東南アジアに名古屋の陶磁器を輸出・販売した井元為三郎の旧邸宅で、大正末期から昭和初期にかけて建てられました。
 
「名古屋市役所本庁舎」や「名古屋陶磁器会館」、覚王山の「揚輝荘」もクラシック建築ファン必見です。

                             文化のみち橦木館(しゅもくかん)
 
 

 
 

 


 
 
NAOTキャラバンは12/7(金)〜9(日)まで、名古屋市のgallery+cafe blankaさんにて開催!
みなさまのご来場をお待ちしております。
 
〈キャラバン詳細はこちら〉
’18 12/7 fri.〜9 sun. NAOTキャラバン2018 in 名古屋
 
 

今回で「甲斐みのりさんとめぐる、NAOTキャラバン」は最終回となりました!
ご愛読いただきありがとうございました。
 
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