リトルストーリー
2019.02.05

NAOTが出会った「はたらくひと」#10 hanauta# 水野久美 さん


 

NAOT × はたらくひと の連載 第10弾 は 花雑家(かぞうか)・花療法士として活動をされているhanauta#の水野さん。

 
毎年12月には NAOT TOKYO にクリスマスリース教室花材販売に来てくださっていたりと、NAOTスタッフとも親交の深い方。作品の美しさはもちろん、水野さん自身の持つやわらかな雰囲気に惹かれて、毎年教室に来てくださるお客様もいらっしゃるほど。
 
普段は「花は癒し」をテーマに現在は緑の多い北鎌倉に自宅兼アトリエを構え、美しいだけではない植物の癒しの力やスピリットを伝えられているのだそう。自然体で植物や人と向き合い続ける水野さん。今回はそんな水野さんにお花に関わるお仕事をはじめたきっかけ、想いを伺ってきました。
どうぞご覧ください。
 
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ーhanauta#のお仕事をされるきっかけは?昔からお花が好きだったのですか?

 
学生時代は自分が何をやりたいのかわかっていませんでしたね。エネルギーを注ぐものが見つかっていなかったので、ふわふわしていたというか。自分をさらけ出す事が苦手な内気な人間でした。
はじめての就職先は証券業界だったのでお花とはかけ離れていましたし、営業兼窓口というお仕事でかなりハードな生活をしていました。ノルマ、ノルマで目が回る様な日々。早くここから抜け出したい!という気持ちで働いていましたね。それで、自分のことを振り返った時に、お花が好きだったことを思い出したんです。なにより人が喜んでくれることをやりたいと思いました。やっぱり、お花ってどなたにも喜んでいただけるじゃないですか。
 
はじめは会社に勤めながら、教室に通っていましたが、最終的には花屋で働いて修行しよう!と会社を辞めてこの世界に飛び込みました。それがこのお仕事をはじめたきっかけですね。

 
 
ー実店舗を持たず、現在の出展・ワークショップがメインという形にはどうやって辿り着いたのですか?
 
お花のお仕事をはじめた頃と今の仕事の形は全然違っていて…
様々な変化を経て今の形になっています。
 
独立して、自分のお店を持って仕事をする事への憧れはありました。修行時代はお店で仕事をしていたのですが、お花を仕入れてお客様をそこで待つという状態がとても歯がゆく感じていました。また、運営しなきゃとか、○○しなきゃという風にかなり肩に力が入ってしまう。お店にしばられてしまうイメージがあったので、向いていないかもしれないなと。そうでななくて、自分からどこかへ出向いて行ったり、作品を出展したり、自分で発信する方が性に合っているな!と思い、動き出したんです。
 
まずはインターネットのお花屋さんをはじめよう!と思いました。当時、全くWEBのスキルもなかったのですが、とにかく色々いじって一生懸命WEBサイトを作りましたね。ウェブショップからのスタート。オーダーされたものを自宅で作ってお届けするという形がメインで、徐々に手作り市などにリース等の作品を持っていって販売していました。
 
それを2・3年続けているうちに、人脈が広がっていきました。人とのご縁があったおかげで、合同展示会をやったり、雑誌の連載が決まったりとお仕事の幅がだんだんと広がっていったんです。
 

 

ー順風満帆ですね。今の形に落ち着いたのもそのくらいの時期ですか?
 
いや、それがまだまだ。むしろ、いばらの道でした(苦笑)。
当時は何足もわらじを履いている状態だったんです。花市場で働いて、ウェディングの装花のお仕事をして、自分の仕事をやって。家に籠って委託された作品を何百個も作っていたこともありましたよ。お花以外のお仕事もしていました。
 
もちろんお仕事をいただける事はすごく嬉しかったのですが、逆にストレスもありましたね。生活と自分の理想とのギャップがあって、自分の好きな仕事で食べていくという所までには全然追いついていなかったんです。背伸びして、やらなきゃ、しっかりしなきゃという感じで結構自分を追い詰めていたなと思います。好きではじめて、やりたい事をやっているはずなのに、今思うと必死過ぎて全く楽しめていなかったな、と思います。ずっとモヤモヤしていましたね。
 
本当にやりたいことを我慢して、お金や生活の為にこの仕事をしなきゃ、こうしなきゃいけない!という事ばかりを優先していたせいで、だんだん心が追いつかなくなってしまって。。体力的にも精神的にも限界がきて、体調を崩してしまったんです。
 
それで、このままではいけないと、思い切って「人生をリセット」させてみました。

 
 

ーリセット!?波乱万丈でしたね。
 
本当に(笑)。ここでようやく自分を見つめ直す時期が来るんです。hanauta#の仕事もストップして、その時やっていた副業も全部スパン!と辞め、一人暮らしの家も引き払い、実家に帰りました。
本当に自分がやりたいと思った事をやっていこうと思って。
 
もともと自然が多いところで育ったので、自然の中で遊ぶことが好きだったんです。畑で地元の仲間とお米作りをしたり、農薬を使わないで農業したり、「食」をはじめ衣食住にまつわる事に興味をもって学んでいましたね。その翌年には東日本大震災が起こって、より自分の中で大切にしたい事、本当の豊かさなどへの気づきがすごく多い時間になりました。
 
生き方を見直したタイミングですね。それから震災のボランティアなどを経て、そろそろ自分の人生も、と思って。再び活動を始めました。それが2014年くらいだったかな。

 

 

ー本当にやりたかったことが見つかったんですね。
「はたらく」上で、水野さんが大切にされていることは?
 
花雑家(かぞうか)として大切にしている事はなるべく植物の良さを引き出してあげることでしょうか。お花をやっている方は皆さんそうだと思うんですけど。自分の我ではなく、どちらかというと我を手放して、なるべく植物がいい状態になるよう表現するという事はいつも心がけていますね。そしてなにより、自分が喜びを持って作品を生み出していきたいと思うようになりました。
無理をしないというか、楽しいと思えなくなったらそこでストップをかけるようにしています。
ワークショップでもそういったことを伝えていきたいです。
 
「教える」というより「伝える」というのが自分には一番しっくりくる気がしています。作品づくりはもちろん大好きなんですが、私はお花のアーティストではなく、「伝える人」でありたいなと。だからワークショップをする事は私の中で喜びなんですよね。
 

 

ーなるほど。昔から人前でお話しされるのは好きだったのですか?
 
全然!実はまったく真逆で…人前に出る事がものすごく苦手でした。たった3人のお客様を相手にワークショップするのにもすごく苦手意識がありました(笑)。小さい頃からピアノをやっていたのですが、人前でピアノを弾くのも苦手でいつも緊張してミスしたりもしょっちゅう。頭に血がのぼって、恥ずかしい!嫌!って自分の殻に閉じ篭もっちゃうっていう様な子どもでしたね。それで気がづいたんです、私は人前で恥をかくのが嫌なんだって。
 
でもある日、恥をかいてもいいじゃん!って開き直ってみたんですよ。恥をかいてもいいから、自分の正直は想いを恥ずかしがらずに伝えてみようと。だから徐々にというよりはある時にパーン!と振り切れたんです。そうしたらすごく楽しくなってしまってね。
 
自分から心を開いて、恥ずかしがらずに自分の心で話していたら、それに共感してくれる人たちがいて、教室でもリアクションが良くなりました。それまでのお教室はもっとテクニックを重点的に教えたり、正確に美しい作品をつくる、という感じだったんです。それも間違いではないのですが、それよりも教室はセラピー的な役割も担っているというか。今は参加する人にとって教室の時間が楽しく、心を解放してもらえるものになったらなと思っています。
 

 

ーたしかに!私自身もhanauta#さんのワークショップで植物に触れて、とても気持ちがスッとした記憶があります。
 
それは嬉しいですね。
経験がない方はどうしても「綺麗に活けなきゃ」「美しくつくらなきゃ」と頭で考えてしまいがち。私はそこの意識を変えたいなって思っています。もちろんそれもお花に対する敬意だし、大切な事なのですが、人から見てどうではなく、自分が本当に楽しめているかっていうところが大切。なので、私のワークショップはマニュアルに沿って作るというより、作り方だけをお伝えして、あとは好きなものを入れていけばいいんですよ、というスタンス。そんなにかしこまらずに、「どの花材を使おう?」って自由に楽しんでいただきたいですね。どの方の作品にも必ず素敵なところがあるんですよ。
 

 


 

ーこれからやってみたいことは?
 
花を用いた植物療法の一種なのですが、私はフラワーエッセンスを取り入れたカウンセリング形式のセッションもやっているんです。自宅のアトリエでの、フラワーカードや対話を通してお一人おひとりの心に寄り添いながら、その人自身を紐解いていくというもの。これを突き詰めていきたいなと。
 
人はいろんなブロックというものを持っているんです。例えば「何かやりたいな」と思う事があったとして、そこでスッとやれちゃう人とやれない人がいるじゃないですか。やらない人は私には無理なんじゃないかとか、お金がないからとか、色々な理由を言います。そういった気持ちがブロックとなり、本当に自分の求める人生を歩めなかったりする。そこでフラワーエッセンスとセッションを通じて、その人の心のブロックがなぜ起こってしまうのかをお伝えるんです。心の傷やブロックを浄化することで本来の自分を取り戻し、自分の花を咲かせることができるよう、お手伝いをしています。
 
だから自分の世界観を作品を通じて表現するのも活動のひとつではあるのですが、それがメインではありません。「作る」事はたくさんの方がやっていますが、自分だけの表現はなんだろう?と考えた時にやっぱり「伝える」ということを大切にしたいなと思ったんです。
 
「伝える」と「癒し」が自分自身のキーワード。
その人がその人らしくいられるお手伝いをお花・植物を通して実践しているというのが今の私です。
なので、最近は「花療法士」と名乗っています。
 
 

ーすごく素敵なお仕事!水野さんは「伝えるひと」なんですね。ズバリ、やりがいや原動力は?
 
セッションに来てくださった方が、それがきっかけですごくいい方向に変わりました!と言ってくださることがあって。そんな時は本当にこの仕事をやっていて良かったなと心から思えます。
 
好きなこと・やりたいこと、もともと素質を持っているのに眠らせてしまっている人。世の中にはそれが上手くできなくて、苦しんでいる方がたくさんいらっしゃいます。そういう人が本来の自分を取り戻して、輝いていってほしいなと願っています。
 
私自身のはたらき方が今の形になるまでに、自分の事がなかなか受け入れられず、何度も行き詰って苦しんだからこそ、そう思うところは大きいですね。でもそんな不器用な自分でも変わる事ができました。自分が本当に望むことや好きなことにエネルギーを使うって本当に大事だなと感じています。
 
人を変える事はできないけれど、みんながもっと自分を表現していけるよう、背中をポンと教えてあげられるような存在になれたらなと。その人がもっと自分らしく生きられる、そんなきかっけになるようなお手伝いをお花を通じてこれからもしていきたいと思っているんですよね。

 

▲ 水野さん愛用のNAOTはIRIS ChestnutWalnut カラーの2足。普段使いから、ワークショップやイベントなどお仕事の場面でも履いてくださっているそう。「めちゃめちゃ快適で、旅にも連れていっていますよ!」とのこと。やわらかく革が馴染んでいて、もうすっかり水野さんだけの一足という雰囲気。
 
 
 

 

● hanauta# 公式サイト
 
 

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