靴を履いて、旅に出る。
旅先だから、聴きたい音楽がある。
「旅で聴きたい曲」をテーマに、音楽関係者がおすすめの4曲をセレクト。
あの人は、どこにどんな音楽を連れていくのでしょう?
第19回目のゲストは、シンガーソングライターの寺尾紗穂さん。
『楕円の夢』『たよりないもののために』など、リリース毎に作品が注目されるシンガーソングライター、寺尾紗穂さん。
揺るぎない名盤を生み出し続けるだけでなく、もう会えない人や風景について綴ったエッセイ『彗星の孤独』など、言語表現の世界でもその才能を如何なく発揮する彼女。
独特な奥深さと優しを持つ言葉やリズムは、触れる人の心を寄り添うように温めてくれます。
そんな寺尾さんが、「旅で聴きたい曲」とは?
寺尾紗穂さん×靴屋のNAOTがお届けする、オリジナルプレイリスト。
さあ、旅に出かけましょう!
artist: Judee Sill
title: My Man on Love (視聴可)
album: 1970年 『Judee Sill』(EP)
風を感じる曲で、車窓で好きな人のこと考えながら聞きたくなります。
ジュディ・シルの詩はキリスト教に深く根ざしているのでいつかきちんと理解して、壮絶な人生だった彼女の込めた願いや意図を感じてみたいです。
artist: 荒井由実
title: 瞳を閉じて (視聴可)
album: 1974年 『MISSLIM』
育った場所に小高い丘や海はなかったので、なんとなく旅先のイメージです。赤穂の海辺でこの曲を演奏したことがあって、気持ちよかったです。
ユーミンの曲の中で一番か二番に好きです。
artist: イ・ラン(Lang Lee)
title: ラッキーアパート
album: 2016年 『ヨンヨンスン(Yon Yonson)』
韓国のアパートって高層団地みたいでこれも702号室に住んでるって歌なんですけど、タイトルよいですよね。脳内では日本の二階建てのボロアパート、幸荘みたいなイメージで、切なさあります。これも風が出てくるんですが、色々吹っ切って旅出ちゃおうぜっていう雰囲気がある気がしますね。
ソウルで一緒に歌わせてもらって楽しかった曲です。
artist: Ron Carter
title: Yes,Indeed (視聴可)
album: 1964年 『Where?』
私にとって旅といえば18で一カ月過ごした上海で、夜、和平飯店にオールドジャズバンドを聴きに行ったり、市場で平べったい桃を連日購入したり、スコールにあって市場の桃屋さんのテントで雨宿りさせてもらったり、聴くとそんな思い出がぶわーっと溢れてくるのがそのとき日本からMDに入れて持って行ったこの曲です。
エリック・ドルフィーのフルートがピッコロみたいに弾けてたり最高です。
寺尾紗穂 ・ TERAO Saho
1981年11月7日生まれ。東京出身。
大学時代に結成したバンドThousands Birdies’ Legsでボーカル、作詞作曲を務める傍ら、弾き語りの活動を始める。2007年ピアノ弾き語りによるメジャーデビューアルバム「御身」が各方面で話題になり,坂本龍一や大貫妙子らから賛辞が寄せられる。大林宣彦監督作品「転校生 さよならあなた」、安藤桃子監督作品「0.5ミリ」(安藤サクラ主演)の主題歌を担当した他、 CM、エッセイの分野でも活躍中。2009年よりビッグイシューサポートライブ「りんりんふぇす」を主催。2019年まで10年続けることを目標に取り組んでいる。2017年6月に最新アルバム「たよりないもののために」を発表。同曲のMVは写真家の大森克己が初監督作品として手掛け話題になった。坂口恭平バンドやあだち麗三郎、伊賀航と組んだ3ピースバンド冬にわかれてでも活動中。
著書に「評伝 川島芳子」(文春新書)「愛し、日々」(天然文庫)「原発労働者」(講談社現代文庫)「南洋と私」(リトルモア)「あのころのパラオをさがして 日本統治下の南洋を生きた人々」(集英社)「彗星の孤独」(スタンドブックス)があり、新聞、ウェブ、雑誌などでの連載を多数持つ。
www.sahoterao.com/
プロフィール写真:成重松樹