台風一過の空の下。待ちきれずに、ずんずん進む。
山を越え
川を越え
やって来たのは静岡。祖母に会いにやって来た。
いつ見ても、帰って来たなぁとホッとする場所。
ただいま。
居間の鬼にも、ただいま。
こいつが怖くて、小さい頃は大泣きしていたらしい。
今では親しみさえ感じている。
台所から夕飯のいい匂い。
そうそう、今回はおばあちゃんに渡したいものがあったんだった。
おたのしみは夕飯のあとで。
風の栖のブラウス。とっても喜んでくれた。
照れて着て見せてはくれなかったけど、それはまた今度。
のんびりごろごろ過ごして、あっという間にお別れの時間。
新幹線が動き出すまでの数分間は、いつも切なさでいっぱいになる。
新幹線を降りて歩きだす。もう秋の風が吹いていた。
編集:廣庭
履いていた靴/CECILIA Buffalo Leatherカラー
ポケットにカメラを。ただいま
