リトルストーリー
2019.12.07

[エッセイ]小谷実由の漂流時間 vol.1


 
 
おみゆさんことモデルの小谷実由さんによる連載エッセイ。
 
前回までの「偏愛」に引き続き、今年最後のテーマは「漂流」時間です。
 
ある場所へ旅行に行ったおみゆさん。
 
訪れる場所、暮らす空間。
心も体も漂いながら、ゆるやかに日々を感じる彼女の声をお届けします。
 
 


 


今年最後の更新になりました。今年も一年あっという間だったなぁ。みなさん師走、走っていますか?途中休憩もしっかりして2020年へ突き進みましょう。
 
先日久しぶりに旅行へ行きました。行き先はシンガポール。6日間の旅だったんだけど、今思い返すと体感時間は3日くらい。私の頭の中の時空が、歪んでいる…!忙しくばたばた過ごしていたわけでもなく、わりとゆったり思うままに動いていた感じの日々だったけど、ついこないだ到着したかと思えばもう最終日になっていました。楽しい時間はあっという間とよく言うけれど、まさにそれなのでしょう。
 
ここまで読んでお気付きの方もいるかもしれないですが、私はただいま旅行ロス真っ最中です。旅行が終わるといつもやってくる恒例行事「旅行ロス」。ちなみにいまは帰国してから5日目です。これ、いつまで続くんだろう。どの程度かというと、現像したシンガポールで撮ったフィルムの写真を直視すると寂しくなってしまうので直視できないくらい。これはもう失恋と同等の扱いかも
 
今回の旅でよく考えていたのは、「もしもシンガポールに移住したら…?」ということ。別にどこかに移住したい!という気持ちが今現在あるわけじゃないけど、シンガポールに住んでいる友人からリアルな日常生活の話を聞いていたら、ついそんなことを考えました。バスやタクシーから外を眺めて、さてどこに住もうかなとか(妄想しているだけだから金銭面のことは全く考えていない)、ムスタファセンター(インド人街にある24時間営業の莫大な広さのスーパー。なんでもある)を全フロア制覇できるなぁとか、SEPHORA(日本になぜないのかわからない、お化粧品天国なお店です)に毎日行けるなぁとか、でも結局家で作るご飯は和食だろうなぁとか。近い将来、本当にそんなことがないとはいえないかも…?とか。
 
そんなことをふわふわ考えながら過ごした6日間でした。そうそう、今回は6日間の間に1泊だけマレーシアにも行きました。島国日本育ちの私にはバスで知らぬ間に国境を越えたことも、空港以外での出国・入国体験も「え?これでいいの?合ってるの?大丈夫?」が頭の中にいっぱいの緊張体験でした。異国から異国へ、そりゃ頭の中の時空も歪むね(ちなみに日本との時差は1時間です)。
 
旅行って、私にとってはとても非現実な事柄。旅行をしている間の数日間のことを帰ってくると途端に、私はずっと眠っていて夢を見ていただけなんじゃないかと思う。そのくらいあまりにも日常生活の自分とはかけ離れた遠い場所にある時間をいつも過ごしている気がする。みんなはどうやってこの旅行ロスで生まれる日々の溝と折り合いをつけているんだろう。そもそも、旅行ロス、する?
 
そんなこと言ってて、ケロリと「やはり日本がいいよねぇ。」とかこの記事が出るころには思っていたりして。だって、いつも気付かぬうちにロスは消えている。でも、また旅行に行けば繰り返す。旅行ロスは私の頭の中の漂流時間。
 
 

 
 


 

Instagram: @omiyuno
 


 
 

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★旅して、恋して、焦がれて、
そして忘れて、また旅に出る!
 
次回は1月4日(土)公開予定。


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