靴を履いて、旅に出る。
旅先だから、聴きたい音楽がある。
「旅で聴きたい曲」をテーマに、音楽関係者がおすすめの4曲をセレクト。
あの人は、どこにどんな音楽を連れていくのでしょう?
第26回目のゲストは、京都を拠点に活動する4人組バンド、ベランダのみなさん。
2018年に初の全国流通盤となる『Anywhere You Like』をリリースし、BAYCAMPやつくばロックフェス、ボロフェスなどのフェスへの出演を果たし、全国の音楽ファンを魅了。
澄んだ歌声で紡がれる歌詞には日常の景色が映り、穏やかだけれど決してそれだけではない私たちの日常を照らしてくれます。
ライブでの躍動感溢れる演奏も強烈な魅力を放ち、見れば必ずその世界観に惹き込まれてしまいます。
そんなベランダのみなさんの「旅に連れて行きたい曲」とは?
ベランダ×靴屋のNAOTがお届けする、オリジナルプレイリスト。
さあ、旅に出かけましょう!
髙島颯心さん(Vo/Gt)SELECTION
artist: Jacob Collier
title: In The Real Early Morning(視聴可)
album: 2016年『In My Room』
旅=逃避だと決めつける他ないほど日々をひもじく感じている私の心にとっては、旅というのはむしろ、対比的に現実を直視せざるを得なくなる営みである。
旅のクライマックスだと思われる瞬間に、こういう(暮らしの惨めさや情けなさをも正当化してしまう、赦しの慈悲を湛えているかのような)音楽を聴きながら悦に浸る。
その時間は自分にとって、馬鹿げてはいるけれど不可欠なものだと思う。
中野鈴子さん(Ba/Cho)SELECTION
artist: Television
title: Careful
album: 1978年『Adventure』
なんだかここ最近ずっとぼんやり、地中海に行きたいと思っている。
ニューシネマパラダイスのオープニング。
カーテンがたなびいて海が光ってる。
乾いた夏ってどんな感じなんだろう。
空港へ向かう電車の中で垂れ流しにして聞きたい、このくらい力の抜けた心持ちで行きたい。
金沢健央(Dr.Cho.) SELECTION
artist: Teenage Fanclub
title: Neil Jung (視聴可)
album: 1995年『Grand Prix』
旅…低所得者で多忙なミュージシャンの僕は「旅行」には随分行ってないような気がしてしまいます。ただ「ツアー」や「遠征」なら話は別。ベランダの月1〜2回の遠征の車内は会話も少なくなり、決してワイワイ楽しむ雰囲気ではないのですが(鈴子はめちゃ喋る)、高速道路からの景色は今でも素敵。写メとか撮っちゃう。
そんな時に聴きたくなるのは、バンドを始めた頃から聴いてた曲たちですね。エバーグリーンってやつやねぇ。
田澤守さん(Gt)SELECTION
artist: よしむらひらく
title: 夜風に吹かれて (視聴可)
album: 2011年 『はじめなかおわり』
消えてしまいたいけど、何か答えを得たいとき、電車に飛び乗って、知らない街で降り、知らない住宅街を歩く。冒頭のイントロのリフに背中が押される。その流れに飛び乗り、目の前を過ぎゆく景色と共に歩きはじめる。
Gt.Vo.髙島颯心
Ba.Cho.中野鈴子
Dr.Cho.金沢健央
Gt 田澤守 *サポートメンバー
京都で結成されたロックバンド。
簡潔でありながら情景がありありと浮かぶ粋な言葉選びと、どこかフォーキーで親しみやすい秀逸なメロディラインは、音楽マニアを唸らせ、ライトな音楽ファンをも一聴して惹きつける魅力を持っている。
時にメロウに、時に荒ぶる絶妙なバンドアンサンブルは、初期のくるりを彷彿とさせるセンスとエネルギーに満ちている。
彼らの音楽に対するピュアな姿勢は、一部で「京都の”良心”」とも噂され、有象無象がひしめく現代の音楽シーンに、一石を投じる存在になりうる可能性を静かに秘めている。
verandah-band.jp/
※vol.27は、2020年1月公開予定です。