おみゆさんことモデルの小谷実由さんによる連載エッセイ。
「漂流」に引き続き、今月からは「閃光」時間がはじまります。
瞬く時間にすぎていく、おみゆさんの愛しい時間。
どうぞお楽しみください!
あっという間の2月です。そろそろもうお正月ムードは抜けましたでしょうか。私はお正月感を今年はあまり感じないままするりと2020年入りしました。ずっと緊張が走っている感じ。武者震いみたいなものなんだろうか、2020年の私は何をするんだろう、ちなみに今年の目標はベタに心身ともに健康です。健康一番。
今回からまたテーマが変わり、閃光時間というものになりました。閃光という言葉は、「瞬間的に明るくきらめく光」(Google先生調べ)という意味。ギラギラはまだちょっと躊躇しちゃうけど、キラキラは最近好きになったもののひとつ。そんな中でハマっているのは、化粧品のキラキラ。今まではどこまでも色が均一!なマットな感じのものが好きだったけど、太陽の光が当たった時の艶めき、瞬きをしたときのまぶたがきらりとする様子が好きになって、この半年はそんな化粧品をたくさん集めている。泣き顔やツンとした顔なのに、ちょっとまぶたがきらりとした女の子がいたらどきどきしてしまうな。アンバランスなようで実はどこかではバランスが取れているみたいなことが私は好きなのかもしれない。
閃光というと、あっという間に過ぎる時間みたいなイメージもある。大人になると常々閃光時間だ。しかもどんどんときらめく間に過ぎる時間が多くなる。時間が過ぎることが惜しいと感じることはまだないけど(そのうち1日が過ぎることすら惜しくなる日がやってくるのかなと思うと気が滅入るけど)、楽しい時間が過ぎることが早すぎることについて切なくなるのは子供のころから。遊園地に行くと、入場と共に帰る時のことを考える現象みたいな。この考えって誰でもそうなのかとずっと思っていたけど、これを話すとみんなに不思議そうな顔をされる(確かにこの思考って損してるよね)。大人になった今はそんな思考は薄れてきたはずだったけど、旅行ロスがそれかも。(漂流時間vol.1参照)
最近の閃光時間は、昨日。喫茶店でちょっと読書をしようかなと思い立ち寄ったとき。ここはジジロアというコーヒー味のババロアが名物メニューの喫茶店。ジジロアはいつも食べているから、今日は久しぶりにババロアを食べようと思いママさんに聞いてみた。その時15時半。残念ながら絶賛製作中らしく、出来上がるのは17時とのこと。今日はそんなに長時間いるつもりがなかったので、諦めることに。静かな店内でたまに聞こえるママさんとマスターの他愛もない会話を耳に挟みつつ、シナモンコーヒーを飲みながら読書をしていると、そこに常連さんがやってきた。そこから始まるママさんと常連さんの日常会話。そんな会話に気を取られながらも読み始めた本も面白くて、本の閉じ時がわからない。ママさんたちのお正月の話、本、ママさんたちの近所の人の話、本…時計を見るとあっという間に16時45分。あと15分待てばババロアが食べられるじゃん!と思ったけど、すっと席を立ってお会計をした。楽しみは後に取っておくタイプです。ババロアを食べるという理由でまたすぐにここに来たいし、閃光の尾を引いて、できるだけ余韻を残しておきたかった。しかし時計を見て、え!となった時間の流れは久しぶりだった。面白い映画をあっという間に観終わってそれが3時間を超える長編だった、ってくらいの驚き。
毎日閃光が走っていたら、あっという間に年月が過ぎるけど、それはそれで思い返したい余韻がたくさんあって楽しいのかもしれないなぁ。楽しい時間はどうやら体感時間が早いと決まっているらしいし(私調べ)、それならばその瞬間を増やすしかないんだろうな。たくさんいろんな楽しみが味わえていいかも。でも、そこからじっくりもう一度味わいたい時間が出てくるんだろうな。人生の最後にそれがもう一度おかわりできるシステムがあったらいいのにな〜
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