リトルストーリー
2020.03.19

[インタビュー]NAOTが出会った「はたらくひと」#14 辻祐太郎さん


 
私たちはこれまで NAOTという靴を通じて、多くの方との出会いがありました。
出会った方はミュージシャン、イラストレーターさん、文筆家さん、カフェ店主さん、作家さん等、それはもう様々なお仕事をされている方ばかり。
 
はたらく姿勢。はたらく理由。はたらく道具。はたらく仲間。人の数だけある「はたらく」にまつわるストーリーを聞かせていただきたいと思い、この企画がスタートしました。
 
 
連載 第14弾 はPERFECT MUSIC Inc.に所属し、映像ディレクターとして働いている辻祐太郎さんの「はたらく」について。
 
映像を撮ること自体は中学生の頃から始めたという、辻さん。「映像ディレクター」という肩書きになるまでにも、個人として、neco眠る他、ご友人であるアーティストたちの映像を撮り続けていたそうです。
PERFECT MUSIC Inc.はアーティストマネージメント、音楽及びミュージックビデオの制作・配信など行う、インディーレーベル&プロダクション。そこで映像ディレクターとして働いている辻さんはどんなことを考えながら、どのようにお仕事をされているのでしょうか。
今回はオフィスにお邪魔してお話を伺ってきました。
 
どうぞお楽しみください。
 
 
 
 

 
ーーはじめに、「映像ディレクター」としてどんなお仕事をされているのですか?
 
社内のアーティストのミュージックビデオを撮ったり、ライブ映像の収録をしています。
あとは知り合いのバンドとかミュージシャンで映像を作りたい人がいたら、うちの会社に持ち込んでやってもらうこともあります。
 
勤務時間は決まってなくて、時間の使い方は個人にほとんど任されています。
僕ら(映像ディレクター)は自由で、皆自分で時間を作って休んだり働いたり、っていう感じですかね。デスクで仕事をするという感じではなくて、制作の仕事なのでやはりそのために考え事をしていることが多いです。各々に合ったリサーチやマーケティングの時間に使うこともあります。
 

 
ーー主にはどんな方の映像を撮るんですか?
 
うちの会社に所属しているアーティストはアイドルの方が多いので、最近はアイドルの方の映像を撮ることが多いですね。
入って来た当初は僕自身アイドルに詳しくなくて、アイドルのMVがどういうものなのか、どう撮ればいいのか正直よくわからなかったんですけど(笑)
僕はバンドの友人と以前から一緒に撮影をしていた流れでPERFECT MUSIC Inc.に入社したんですけど、所属するアーティストが増えてきて、友人バンド以外にも色々なアーティストやアイドルの映像作成に参加することになったんです。
 
 
 
長い間飲食店で働きながら映像を撮っていました
 
ーーはじめはご友人の繋がりで映像を撮っていたんですね。会社に所属する前も映像の仕事をしていたんですか?
 
僕は出身が大阪なんですけど、実は上京して2年くらいはインターネットの営業の仕事をしていたんです。当時は朝から晩まで新規のお客様に電話をかけて、自社のSEO対策の商材の契約を取る仕事をしていました。
 
SEOっていうのは、インターネットで検索したときに、検索結果でWebサイトを上位に表示させたり、より多くの人に見てもらうための一連の取り組みのことなんですけど、その仕事をしながら、アーティストの友達の映像を撮ったりしていたんです。
でも独立して映像の仕事しようかなと思って、友達でもあったPERFECT MUSIC Inc.の社長に「一緒に仕事したいです」って声をかけたら、そのまま「うち(PERFECT MUSIC Inc.)に入って」って言われたので入りました。
 
大阪時代にも、映像を撮る仕事はしていました。NAOTさんのWEB企画の「Humming NAOT」に寄稿していたneco眠るっていうバンドの人と仲が良かったんですが、その映像を撮ったりしていました。その時はどこにも所属せず、長い間鉄板料理、ショットバー、イタリアンとか色々な飲食店で働きながら映像を撮っていました。
 

 
「時計じかけのオレンジ」を見て、「自分もやってみたい」と思った
 
ーー昔から映像に興味があったのですか?
 
映像を撮り始めたのは中学生の時にスタンリー・キューブリックの「時計じかけのオレンジ」を見て、「自分もやってみたい」と思ったのがきっかけです。その頃から友達と映像を撮って遊んだりはしていました。友達と書いた脚本をホームビデオで撮影して自宅のpcで編集したり、写ルンですで撮った写真の現像を自分でやろうと思って、色々試したりしていました。
 
音楽を好きになってからは、もっと映像の世界に興味を持つようになりましたね。
漫画「20世紀少年」(ロックが好きな元ミュージシャン志望の主人公が出てくる)が流行っていたり、親が音楽好きでレコードをたくさん持っていたこともあって、どんどん音楽が好きになって。部活帰りに学校の近くのTSUTAYAに寄って100円でいろんなCDを借りていました。
 
中でもとくに銀杏BOYZを好きになったんです。当時ボーカルの峯田くんが映画とかを色々なメディアで紹介していたんですね。それで映画に興味を持って、友達と面白かった映画のDVDを交換しあっていた時に、キューブリックとか北野武の映画を知りました。あとはスペースシャワーTVとかMTVを観て、スパイク・ジョーンズとかクリス・カニンガムの作る映像をすごくいいなと思って観てましたね。彼らの映像は、自分がしたことのない体験をもたらしてくれたり、表現できなかった思いを代わりに表現してくれたり、見ると気づきがあるので惹かれるんだと思います。
 

 
僕は、もともと写真とかフィルムがすごい好きなんです。
今はデジタルで映像を撮っているんですが、正直あんまりいいなとは思わなくて。
 
映像の制作に関してはデジタルで撮る事にある程度は満足しているんですけど、それでもフィルムカメラは全く違った魅力的な品質を持っています。視覚的な感覚を伝えるのはどうしても難しいんですが、ディテールの曖昧さや色の深さ、上品さや儚さがあって、自分が物語を語るのに非常にマッチしているなと感じます。僕は不明瞭なものが好きで、憧れがあります。フィルムカメラはその表現にふさわしいんです。
 

 
ジミヘンの音楽を聴いていると、でっかい太陽が浮かんできます
 
ーー多感な時期に色々なカルチャーに触れられるって、すごく幸せですよね。
 
そうですね、僕の場合は親が音楽を好きだったというのもあるんですけど、親族にももの作りをしている人が多くて。
祖母が陶芸をやっていて、祖母の家に窯があったんです。子供の時には親戚の皆で集まって陶芸をしたりしていましたね。あとはレゴとかも好きでよくやっていました。
 
なので、映像にすごくこだわりがあるというわけではなくて、何であっても作るのは楽しいです。
料理とか好きです。たまに息抜きに山に行ったりもします。
 
ーー私も、アウトドアのサークルに入っていたんです。山にもよく行っていました。
 
そうなんですね、いいですね。山とか行っている人の方が話しやすいです(笑)
音楽聴いていても感じますよ、「あ、この人自然の中で育った人だ」って思います。ギターの音とかでわかります。gateballersとかは聴いていて感じます。
ジミヘンとかも、音源を聴いているとでっかい太陽が浮かんできます。上手に伝えられないですけど、作り手自身が自然を感じているのがなんとなくわかるような気がするんです。
僕が育った大阪の堺市というところは高いビルもなく、少し高台に上がればなんでも見渡せました。田んぼがあって、たくさんの虫と遊んでいたので命が通り過ぎていくことや有限であることを身近に感じていました。人生において、基本的には自然や生命の流れに身を任せたいです。海も好きですよ、海とかで浮かんでると何も考えずに落ち着くので、自然の中に帰りたいのかもしれません。
 
ーー辻さんにとって、何かを作ることや撮ることはどんな意味がありますか?
 
「作ること」に関してはオンオフの切り替えはなく、料理をしたり生活の中で家族や友達の写真を撮ることとあまり変わりないです。僕は、映像を撮ることは、物事を自分の視点で語り直すことだと思っています。
 

 
自分が今引き受けているものを意味あるものにする
 
ーー映像ディレクターのお仕事をされてる中で、大切にしていることなどはありますか?
 
今までは、失敗して世に出なかったものが結構あったんですよね。
なので、その時の教訓を生かして「それを撮る意味」っていうのをちゃんと考えて、アーティストとしっかりと話し合って出すようにしています。自分がやりたいことをやるっていうよりも、自分が今引き受けているものを意味あるものにするっていう部分が大きいかもしれないですね。
 
映像は納められているものすべてに意味が出てしまうというか。どの場所で撮るか、どの時間のどの太陽の光で撮るか、どんな機材で撮るかとか色々な要素から「意味」が生まれてしまうんですよね。カットのタイミングも少しずらすだけですごく印象が変わるので。
なので、それらすべてを含めて、ちゃんと意図したものになるように心がけています。
 
ーー意図を正しく伝えるにはそこまで綿密に考えて作らないといけないんですね…。それでも頑張れる理由というか、お仕事をする上でのやりがいや原動力って何なんでしょうか。
 
もちろん楽しいんですけどね(笑)
僕は自分の中ですごく波があって。
めちゃめちゃやる気がある時と、何にもできなくなる時があるんです。
何もできなくなる時に立ち直るのには、やっぱり友達の存在が助けになっています。
 
今一緒に働いている同僚も奈良出身の同級生なんですよ。学生の時からの友達を引き抜いたんですけど(笑)
あとはバンドをやっている友達もそうなんですけど、僕に近しい人は、日々の料理や裁縫、庭の剪定なども含め何かしら創作に携わっている人が多いと感じます。友人にも音楽家や写真家、絵描きや料理人が多いですね。
 
こういう交友関係というのもあって、周りの友達が作っているものに影響を受けて、改めて自分が作っているものを見つめ直して、立ち直すっていうことは何回もありました。音楽をやっていたり映画を作っている友達も多いので、「最近どんなの作ってる?」とか言い合いながら、作品を見せ合ったり聞かせあったりしています。そういうことが一番原動力になりますね。
…あと高校の後輩に「ニッポンの社長」っていう二人組のお笑い芸人がいるんですけど、そのネタを見て元気もらってます(笑)
 

 
ーーこれから何か挑戦したいことはありますか?
 
そうですね…。
水野ねじさんの「しおかぜに乗って」というMVで初めて、自分以外の方で、平井侑馬さんというカメラマンにカメラを回してもらいました。
 

 
平井さんは冷静で独創的な目線を持っているので、対話の中からものを作れてめちゃくちゃ楽しいんです。これを機に、自分でもより写真的な画作りをしたくなりました。彼との作業では、作品を語る上で適した画のルック、照明、ワークを解体して組み上げていく作業を丁寧に出来るので、これからその部分にもっと磨きをかけていきたいです。
 
あと、今はアーティストありきな制作がほとんどなので、これからは自主制作をしていきたいですね。今までは少人数でやることも多かったんですが、もう少し色々な分野の人の専門的な力を借りて作ってみたいです。
今実は自分で脚本を書いていて、それをコンペに出して助成金が出れば撮りたいなとは思っているんですけど。
 
ーー最後に、座右の銘はありますか?
 
…思いやりの心を持って人に優しくすること、ですかね。
 
 
 

▲辻祐太郎さん愛用のNAOTはGLACIER Matt Blackカラー。
 
これはNAOT TOKYOで買ってから、2年くらい履いていますね。
知ったきっかけは何なんでしょうね、僕もわからないんですよね(笑)
最初はやっぱり硬いんですけど、だんだん広がってきましたね。
今日撮影されるかもと思って磨いてきました(笑)
 
普段から履いていますし、遠征の時にはほとんど履いています。
スタジオの撮影とか、遠くへ行く時に楽なので。
週の半分くらいは履いていますね。
 
ーーすごくいい感じに育っています。いつも履いてくださっているのが伝わってきます。
今日はありがとうございました。

 

 
辻祐太郎さんのTwitter: @_wairo
手がけてこられた作品が更新されています。
 
 
▼ NAOTが出会った「はたらくひと」 バックナンバー
 
 

 

 

 

 

 


 


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