リトルストーリー
2020.04.04

[スタッフコラム]最近はじめたこと:東京店スタッフ大津の場合


 
 
 
2月半ば、実家から30km離れた場所へ引っ越して、はや2ヶ月。
新生活が始まった。
 
最初は寝て、起きて、仕事に行って、帰って新品の棚を組み立てる日々。
夜な夜な行われる棚の組み立ては初めての一人暮らしあるあるなのでは。
 
『役所、皿、ゴミ袋』
脈絡もない、めちゃくちゃなメモは余計に頭を混乱させるし、自分の頼りなさに愕然とする毎日。
ただ生きるってだけじゃ、だめなんだな。と実感。
「一人暮らし、向いてないかもしれない…どうしよう。」と入居初日に姉に電話で泣きつく始末だし、先行き不安で仕方なかった。
 
 

 
 
そんなことを言っているうちに、2ヶ月。
最初の不安な気持ちは嘘のように、「一人って快適かも〜」なんて思えるようになり、最近はだんだんと暮らしの重点が食に移ってきた。
 
いま大切なのは、実家から持ってきたぬか床。
一人暮らしをはじめて、実家にいた頃よりも漬物が楽しくなってきた。
美味しいのはきゅうり、大根、春キャベツ、人参、クリームチーズ!
ぬか床をかき混ぜる時の感触が気持ちよくて、そのあとの手の匂いもいい匂いで、目に見えない菌がたしかにここに育っている!という感じもわくわくする。
一回ぬか床表面に白いカビのようなもの(産膜酵母というらしい)が生えてきて、焦ったこともあったっけ。
 

 
いろんなものを乗り越えたぬか床はもう我が子のよう…。
某フリマサイトで生糠を買って「足し糠」もしてみて、「捨て漬けというものも必要なのか…」と新たに学んだり。
これから先も私だけのぬか床を育てていくのがとても楽しみ。
 
 
…そして「これは靴と同じだ」とふと気付く。
ぬか床も革靴も、自分だけのものに育てるもの。
大げさなことではなく、当たり前の日々の積み重ねで出来上がっていくもの。
やっぱり、時間が積み重ねるものには何にも変えがたいなにかが宿ると思う。
 
 
 
 
NAOTに入りたくて、履歴書を送って返事が来る前に、ふと思い立って奈良店に行ったことを思い出した。
たしか2018年の3月の頭だった。
そこで買ったのがKEDMA。赤茶の色が綺麗で、これしか目に入らなくて「外で見ていいですか?」と光に当ててみたのを覚えている。今ではくたくたで深い色に変わっている。
その時接客してくれた先輩スタッフも覚えているし、「ミヤ『カ』ワさんいらっしゃいますか?」と社長の名前の漢字を読み間違えて聞いてしまったことも覚えている。
 
こんな風に一足の靴に自分だけの記憶と思いが詰まっている。
 
他の靴もそう。SCOTLANDはデザインが好きで、買おう!と思っていたらまさかの廃盤決定、それで慌てて買った。
サンダルのCECILIAは、革が強くて一生懸命調整して馴染ませた。今では吸い込まれるようにつるん、と足が入る。
ストラップ付きのHEIDIは、CECILIAとは対照的で、履き始めたその日から楽に履けて全く締め付けを感じなかった。革って面白い。
 

△左上=HEIDI、中央上=KEDMA、右上=SCOTLAND、左下=CECILIA、右下=IRIS
 
 
お客さんにとっても、買った靴が思い出深いものになったらいいなと思う。
私たちはNAOTの靴を「育てる靴」と呼んでいるけれど、靴を育てることは、自分だけの思い出をものに託すことでもあると思うから。
その思い出が、新しい日々の中のどこかで自分を支えてくれるのだと思う。
 
 
 

編集:大津
 
 

》》》「NAOTスタッフの最近はじめたこと」まとめを見る

 


その他の記事

戻る

カテゴリー

連載

pagetop