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2020.03.29

フルーツポンチ・村上健志の旅短歌 #6


 
お笑いコンビのフルーツポンチ・村上健志さんによる、短歌とエッセイの連載。
 
五・七・五・七・七 の決まったリズムの中で、ひとつの場面や風景を、まるで手に取れるようにくっきりと描くことができる「短歌」。
 
たまの遠出の風景を、あるいは日々の生活に潜むちょっとした冒険や発見を、村上さんの言葉で「旅短歌」として切り取っていただきます。
 
今まで気がつかなかったような些細なことも、不思議と面白おかしく美しく見えてくる…そんな言葉の連載を毎月お届け。
 
第六回。いつのまにか、「よそ行き」になってしまった思考回路について。
そういえば自分も…と思い当たることばかりです。
そんなことを振り返りながら、どうぞ。
 
 


 
 
 

 


「湿り気があった。」「とにかく黒がきれい。」「全然、泣くとこじゃないとこで泣いてた。」「ニンゲンというジャンル。」「映画を見ていたはずなのに、いつの間にか自分と目が合った。」
 
また、やってしまった。これから観る映画の感想を予め考えてしまっている。感受性が豊かと思われるような「ぽい感想」を考えている。分かってる客と思われたい。あわよくば、感想で作品を超えられるんじゃないかとさえ思ってしまっている。映画を観た直後の感想には、考えてきたんじゃなくて思わず出た言葉感があり、「思わず出た感想でそれ言えるって、やっぱ感性が違うね。」となる可能性が高い。そのため映画を観る前から感想を考え始めなければ遅いのだ。
 
馬鹿な事をしていると分かっている。けれど身体が勝手に考えてしまう。感想を言う相手もおらず一人で映画を観ているのに。自分を大きく見せたいという本来の目的を失い、自動的に考えてしまう身体になってしまっている。映画に没入できればそんな考えはなくなるのだが、予め用意した感想の答え合わせのように映画を観てしまい、本当は自分は何を思ったのか分からなくなる事もある。
 
余計な事は考えず、「感動した」と素直に言えば良いのだ。でも待てよ、素直を装って敢えてシンプルな感想を言ってると思われないか?「まあ、観てみてよ」と相手に委ねるのはどうか、これはただの逃げか。あー難しい。
 
とりあえずコーラを飲もう。
 
「えっ、コーラ?好きですよ。コーラが飲みたくて映画館に来ることもあります。観る映画も決めずに。なんかうまいんですよね映画館で飲むコーラって」
 
 
 


△映画館で飲むコーラは、なんか本当にうまい。
(撮影:村上健志)
 
 
 


 

Instagram: @mura_kami_kenji


 

 

★体も心もシンプルに素直でありたいのに!
次回は4月29日(水)公開予定。


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