近頃は、映画事情がたいへん便利になりました。いろんな映画を、家で、ネットで見ることができます。レンタルビデオの頃が懐かしい…。
映画館で一本みる料金より安く、月々、たくさんの本数を鑑賞することができるなんて、ひと昔前では考えられないことでした。
そんなひと昔前、十数年前に観に行った映画を、最近ふと、観よう! と思いたちました。
『かもめ食堂』という映画。フィンランドで食堂を営む、日本人の女性が主人公です。
なんともいえない居心地のよさや、随所にちりばめられたおかしみにやられて、大ファンになった作品。その後、DVDを購入して何度となく家でも観ていました。
家での『かもめ食堂』鑑賞、今回は初めて、あることを同時進行しながら見ることにしました。
それは、「おにぎりを握りながら」です。
映画のなかでは、とっても美味しそうなごはんたちが登場します。ただできあがった料理が並べられるのではなくて、鮭を網でジュワーっと焼いたり、揚げたてのカツレツを包丁でサクサクと切ったり、という調理シーンが満載。観客のお腹をものすごくへらすのです。中でも、おにぎりを握るというシーンが、もう、たまらない。
観ているだけで、絶対にお腹が減るのは目に見えていたので、こちらも一緒におにぎりを握ろう! と思ったのです。ついでにお昼ご飯もかねて…。
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そうと決まれば、ご無沙汰だったDVDボックスからディスクを出して、プレイヤーに差し込んで、本編を再生。
と同時に、お米と水を炊飯器にいれて、スタートスイッチ。
映画が始まりました。一緒に観ていた初鑑賞の子供たちが、もたいまさこさんの登場シーンにウケていて、ツボが同じことに喜び。
程なくして、炊き上がりの音が鳴りました。あっつあつのご飯を握っていきます。
今回は、今までのおにぎり製作からちょっと変えたことがあります。
これまでは、手に米粒がつくのが面倒臭かったりして、ラップを手にのせておにぎりを握っていました。
でも、いやいや、かもめ食堂では、素手で握ってるしな、ということで、そちらを模倣して、ラップはなしで、手で握ることにしました。
そうしたら、なんと、手で握ったほうが抜群に美味しいのなんの、だったのです。塩っけもええ塩梅。握り感というのか、硬さ感というのも、べちゃっとなりすぎず、ぽろぽろなりすぎず、ええのです。
ラップについた米粒を食べるのは、なんか切ないけれど、指についた米粒を食べるのは、なんか可愛いしな。手で握るおにぎりの魅力にようやく気づきました。
子供たち用に少し小さめに握っていくと、20個くらいは握っているのだと思います。
けれど、映画を観ながらなので、どれだけ握ったのかもよくわからず、まったく手間にも思えず、幸せな時間。
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“ハラゴシラエして歩くのだ。”
映画のキャッチコピー、いい言葉ですね。
出発のときは、おにぎり食べて、行きますよ!
編集:服部