4月頭に緊急事態宣言が出て、全ての店を閉めることにした。
県外からのスタッフは、突然リモートでの仕事になった。
労働時間も半分になった。売上のことなんて言いたくないけど激減している。
このままじゃ会社は今までのようにやっていくのが難しい。
助成金を受けよう。書類は難しすぎる。
日本だけじゃなくNAOTのあるイスラエルも同じで、工場は全て閉鎖中だ。
ともに生きようと言って、テレビ電話越しにバイバイしたのが最後だ。
靴ももう当分送られてこない。
この出口はどこなんだろう?
いままでの価値はどこにいったのだろう?
そんなもん知らん。テレビのニュースからはそう聞こえる。
家は片付いた。靴はきれいなった。
食パンが焼けるようになった。
この瞬間の幸福度が上がって
その分、未来の不安が増した。
じゃあ、自分はどう生きよう。
難題を突きつけられた心がどこにも置かれないまま、夜中にふと目が覚めた。
そして、真っ暗の中の細く厳しい道の中にきっと光があるのだと気がついた。
それは、浮いたり沈んだりじゃなくて。
ここの場所で、ここの気持ちを今まで通りに形にし、日々呼吸することだった。
何にも変わらない自分たち。
それこそが価値であり、光だということに気がついた。
挨拶しよう。
思いやりの気持ちを持とう。
ありがとうと言おう。
手紙を書こう。
変わらない自分でいたい。
変わらない日常でいたい。
そんな中で、新しい靴のデザインを決めることにした。
きっと素敵だって言って履いてくれる人がいるはず。
そんな思い巡らせ、みんなで考えて決めた。
だって、私たち靴屋さんだから。変わらない日常でいたいから。
新しいこのデザインの靴を、
いつかきっとお客さんに届けたいんだ。
届けるんだ。
宮川
最近はじめたこと:宮川の場合
