リトルストーリー
2020.07.02

[ねこコラム]#2 長谷川ちえ 猫とのくらし、靴とのあゆみ – 前編 –


 
 

月に1度お届けしている「ねことくつ」にまつわるコラム。
 
ねこも、くつも、一緒にいる時間が長くなるほど、お互い馴染んで、いつの間にか相棒のような存在になっていくもの。
 
連載第2弾は器と生活雑貨の店「in-kyo」の店主・長谷川ちえさん。
もともと東京・蔵前のNAOT TOKYO近くにお店があり、その頃からお世話になっていて、福島に移転されてからも2017年・2019年にNAOT福島キャラバンを行わせていただきました。
 
今回は「猫とのくらし、靴とのあゆみ」前編をお届けいたします。

 
 


 
 
 


猫とのくらし、靴とのあゆみ -前編-
 
 私が東京から引越しをし、仕事と暮らしの場を福島県の三春町に構えて今年の春で丸4年が経つ。この町で暮らし始めた頃は、ペット不可の団地住まい。でも猫好きの私はいつか団地から引越しをしたら、猫を家族として迎え入れたいとずっと考えていた。
 
 縁とタイミングというものは、いつも予期せぬ時にやって来る。ひょんなことから物件が決まり、団地住まいから現在の平家へと引越しをすることになったのが昨年の今頃。築70年ほどの古い日本家屋を改装し、壁塗りなど自分たちの手でできることは自分たちで作業をすることにしていたので、引越しをしてもまだまだ暮らしながら手を加えなければならないことが山ほどあった。それでもなんとなく日常を支障なく暮らせるようになった頃に、ふと頭に浮かんだのが猫との暮らしのことだった。
 
「そうか、ここで猫と暮らせるんだ!」
 
 山の木々が緑から黄色、そして赤へとグラデショーンを見せる短い秋の入り口。そろそろ猫を迎え入れてもいいよね。そんなことを夫婦で話をしていた。友人から連絡があったのはちょうどその頃だった。
 
「子猫を保護したところで。猫を飼いたいって聞いていたから連絡してみたんだけれど」
 
 これは神様の采配なんじゃないだろうかというタイミングだった。友人が保護した猫は、おそらく生まれて2ヶ月も経っていないという子猫の兄弟が5匹。
「どうしよう。どうしよう。」
動揺しながらも、友人から連絡があった時点でもう飼うことは即決していた。多頭飼いをしたことが無く、さすがに5匹を一度に面倒を見ることはできないけれど、せめて2匹の兄弟を引き取ることができれば。
 
 友人から連絡があった翌日が二人とも仕事が休みの日だったこともあり、早速2匹を迎えに行くことにした。タオルを敷いたダンボール箱を友人家族から受け取ると、中にはミィミィとか細い声で鳴く小さな小さな雉トラの♂と鯖トラの♀猫。その重さはあるかないかと感じるほど頼りない。車で片道1時間余りの帰りの道すがら動物病院へ行き検診を受け、そのままペットショップへも寄り、ゲージ、猫トイレ、ミルク、他にも色々買い揃えた。その間、2匹の名前を何と名付けようかとあーでもない、こーでもないとずっと考えていた。兄弟だから何か関連性がある名前がいい。二人でいくつも挙げてみるものの、どれもピンと来るものがない。うんうんと頭を悩ませていた時に、まさに天から何かが降りてくるかのようにスルリと浮かんだ文字が「水と木」。友人から連絡があったのが水曜日。迎えに行ったのが木曜日。「スイとモク」。漢字も自然から由来している好きな文字だし、この名前が出てからは、他の名前はもう思いつきなどしなかった。
2019年10月3日木曜日。スイとモクが我が家にやって来た。
 
 翌月の11月には2年ぶりの『NAOTキャラバンin三春』をin-kyoで開催した。久しぶりに会う代表の宮川さん、そしてスタッフの三浦さんと滞在中は我が家で一緒に食卓を囲み、人見知りをしないスイとモクもお二人にご挨拶。
 キャラバンで自分のために新調した靴は「DANIELA」のChestnut。サボやサンダルばかり履いていた今までの自分だったら、あまり選ばないタイプのデザインだ。それでも試着をしてみると足がすっぽりと包まれる安心感。歩きやすさはもちろん、紐をキュッと結ぶレースアップのスタイルは、どこかクラシックできちんとした印象を受ける。でも選んだ一番の理由は、玄関先でこの紐にスイとモクがじゃれる様子を想像したからかもしれない。新しい家族と新しい靴を迎え、私たちは古くて新しい家での暮らしを歩み始めた。

 
 



DANIELA Chsetnut
 
 
 


 
 

 
 
 

 
 
-次回中編は、8月公開予定-


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