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2020.09.02

#2 長谷川ちえ 猫とのくらし、靴とのあゆみ – 後編 –


 
 

月に1度お届けしている「ねことくつ」にまつわるコラム。
 
ねこも、くつも、一緒にいる時間が長くなるほど、お互い馴染んで、いつの間にか相棒のような存在になっていくもの。
 
器と生活雑貨の店「in-kyo」の店主・長谷川ちえさん。
長谷川さんのお店はもともと東京・蔵前のNAOT TOKYO近くにお店がありました。
福島に移転されてからもそのご縁が続いていて、2017年・2019年にNAOT福島キャラバンを行わせていただきました。
 
今回は後編をお届けいたします。

 
 


 
 
 


猫とのくらし、靴とのあゆみ -後編-
 
 スイとモクが我が家にやってきてまもなく一年が経とうとしている。ごはんもよく食べるようになったし、体もずいぶん大きく成長した。2人と2匹の生活がもう当たり前になっていて、一年も経っていないことが不思議なほど。いわゆる家族だ。
 スイとモクには猫という認識はあるのだろうか?「ニャーニャー」という鳴き声ではなく、最近は訴えかけてくるように何やらムニャムニャと言っている。親バカと言われそうだけれど、「あ!今、ごはんって言ったよね」「言った言った」と鳴き声ひとつで大騒ぎ。これまでも生活は楽しんでいたけれど、二匹がやってきてからの暮らしは小さなギャングたちに翻弄されながら、愛おしさに包まれた日々を送っている。
 
 そんなある休日のこと。春から夏へと季節が移ろい始めた頃だろうか。猫たちも冬毛から夏毛へと衣替え。毎日のブラッシングでも抜け毛はなかなかの量。
「いっそシャンプーでもしてあげた方がいいかな」と夫。さっそくスイとモクを順番にシャンプー、シャワー、タオルで拭き上げてと、二人で分担しながら初めて洗ってあげることにした。
 いつもバスルームに興味津々で覗き込んでいたスイとモク。水を怖がらないだろうか?という私たちの心配をよそに、2匹ともおとなしくされるがままになっていた。おまけにドライヤーの熱風にすら逃げることなく吹かれているではないか。おかげでサッパリ。お風呂好きの猫もいると聞くからスイとモクもそうなのかと思っていたのもつかの間、いきなりスイが聞いたこともない唸り声を上げ始めた。
 
「ウゥゥゥゥーッ。シャーッ!!」
 
 私たちにではない、モクに対しての威嚇だ。モクもきょとんとしていたが、私たちもびっくりした。「今のは何だったの???」普段から仲が良く、甘えん坊のモクは威嚇をされても対抗することもせず何度もスイに近寄っていく。その度に「シャーッ!」と怖い顔をしたスイに追い払われてしまう。動揺したのはモクだけでなく私たちも一緒だ。一体何が起こったのだろう?シャンプーだって嫌がっていなかったというのに。私たちに対してはいつもと変わらない穏やかな態度のスイ。しょんぼりしながら「く〜ん」と甘えた声を出すモクの姿が切なくてたまらない。この状況をどうにかしなければと必死に調べてわかったのは、猫にとって大事な「匂い」がシャンプーによって消えてしまったことが原因じゃないかということだった。スイとモクには同じシャンプーを使ったものの、モクの普段の匂いが一旦消えたことで、スイにとっては「見知らぬ者がテリトリー内にいる」という認識になってしまったようなのだ。そうなるとしばらくは放置して様子を見守るしかないという。あんなに仲が良かったのに、このまま戻らなかったらどうしよう…。心落ち着かない不安な日々が数日続いた。
 
 それがふとした拍子にぎこちなくではあるけれど、お互いが体をすり合わせるような仕草をし始めた。のんびり屋で少し臆病なモクが、スイの威嚇に応戦しなかったことが功を奏したのだろうか。私たちが不在の日中に会話がなされたのだろうか。平和なその様子を見てホッとして、へなへなへなとその場にへたり込んでしまった。とにかく良かった。2匹をギュッと抱きしめた。
 
 私がNAOTの靴で一番最初に選んだのはサボタイプのIRISだ。履き始めた時から足に無理なく馴染んで、とても楽チン。仕事場や普段にも、ハードに履くのでくたびれた姿になってちょっとかわいそう。それでも玄関に置いておくとついスッと足を入れてしまう私にとっては日常的な靴なのだ。いざお手入れをしてみると、思いがけず底が減っていたり、どこかにこすって傷になっていたり、インナーソールも替えどきだろうか?そんな靴からのサインが見えてくる。自分では手に負えず、困った時はNAOTのスタッフの方々にご相談。すぐに懇切丁寧な対応をしてもらえるのも心強い。どんなに足に馴染んでいるからといっても、気に入った靴を長く大事に履くためには手入れはもちろん、休ませたりすることだって必要だ。
 
 スイとモクの仲の良さに私たちが安心しきっていたことも、これに少し似ているのかもしれない。人と人、人と猫、人と靴だって。なんでもいい塩梅というものが必要なんだということをあらためて思い知る。
 おふたりさん、これからもどうぞよろしくね。
 

 



IRIS Matt Black
 
 
 


 
 

 
 
 

 
 
-次回#3は、10月公開予定-

 


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