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2020.08.30

[短歌]フルーツポンチ・村上健志の旅短歌 #11


 
お笑いコンビのフルーツポンチ・村上健志さんによる、短歌とエッセイの連載。
 
五・七・五・七・七 の決まったリズムのなかで、ひとつの場面や心情までも、くっきりと描いてくれる「短歌」。
たまの遠出の風景を、あるいは日々に潜むちょっとした冒険や発見を、村上さんに「旅短歌」として切り取っていただきます。
 
さて第11回は、脇役が見たくて見ちゃうドラマみたいな、あの感じ。
あなたは何に乗っている紅しょうががお好きですか。
お腹を空かせながら…どうぞ!
 
 


 
 
 

 


何故だろうか?紅しょうがを買い忘れてしまう。
 
スーパーから帰ってきて、焼きそばを作り、最後の仕上げにと紅しょうがを乗せようとするが、紅しょうががない。スーパーの袋を探す。携帯をなくしてしまった時の様な苛立ちと焦りが込み上げてくる。ない。もしかしたら冷蔵庫に前に買ったやつが!と探すがない。冷蔵庫の扉を乱暴に閉める。押し寄せる絶望感。たかがトッピング。しかし、僕は紅しょうがが食べたくて昼ごはんを焼きそばに決めたのだ。紅しょうが自体に貪りつくほど好きなわけではないが。焼きそばの紅しょうが、うどんのねぎなどトッピングが大好きだ。トッピングは「幸せ」に近づくための行為だと思っている。僕は紅しょうがをスーパーに買いに行ったのだ。それなのに、大切な紅しょうがを買い忘れている。買うつもりの無かった板チョコアイスは買ってきているのに。
 
同じミスをしない様に今回は「紅しょうが、紅しょうが」と小さく声に出しながら真っ先に紅しょうが並べられたコーナーに向かう。紅しょうがが二種類ある。例の真っ赤な奴と国産と書かれ少し高くてあんまり赤くない、もう紅というか薄ピンクの紅しょうが。少し悩んでなんとなく体に良さそうという理由であまり赤くない方を買った。
 
今日は完璧だ。鼻歌まじりで焼きそばを作る。作る途中から、紅しょうがが乗っかった部分の麺が赤くなった焼きそばを思い浮かべる。あの部分旨いんだよな~。だったらやっぱり赤い方の紅しょうがの方が良かったかもしれないな~。でも紅しょうがはあるんだ大した問題ではない。よーし、もうすぐ完成だ。ん!?あげ玉がない。
 
平和だ
 
 
 


△撮影:村上健志
 
 
 


 

Instagram: @mura_kami_kenji Twitter:@fpmurakami


 

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★トッピングを考えている瞬間の幸福で世界が満ちたなら…。
次回は9月27日(日)公開予定。


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