月に1度お届けしている「ねことくつ」にまつわるコラム。
ねこも、くつも、一緒にいる時間が長くなるほど、お互い馴染んで、いつの間にか相棒のような存在になっていくもの。
器と生活雑貨の店「in-kyo」の店主・長谷川ちえさん。
長谷川さんのお店はもともと東京・蔵前のNAOT TOKYO近くにお店がありました。
福島に移転されてからもそのご縁が続いていて、2017年・2019年にNAOT福島キャラバンを行わせていただきました。
今回は中編をお届けいたします。

猫とのくらし、靴とのあゆみ -中編-
神様の采配。
そう思えるタイミングで我が家にやってきたスイとモク。保護された時には5匹の兄弟が一緒で、我が家が「水と木」と名付けたことを保護した友人に伝えると、引き取られた1匹は「日(ニチ)」、もう1匹は「月(ツキ)」と名付けられたと後日聞いた。あと1匹は、保護された時点で衰弱がひどく、おまけに骨折までしていて、残念ながら遠い猫の世界へと旅立っていった。生きていれば「火(かぁ)」と名付けられたかもしれないその子のためにも、この子たちを元気に育てなければ。
5匹のうち、スイとモクは体が小さい2匹だったとのこと。特にスイは、母親のおっぱいを飲むことを覚える前に親元を離されたようで、哺乳瓶の吸い方が上手くできず、いつも口のまわりから体までミルクまみれになって甘い香りをさせていた。モクに比べて飲む速度も遅いし、量も少ない。それでも必死になっている姿を見ていると、「この子はこの子なんだ」と2匹を比べても仕方のないことに気づかされる。言葉はわからなくても、小さな命は目一杯の力で大切なことを教えてくれる。しばらくの間は、スイのミルクは獣医さんに頂いたスポイトであげることにした。
数時間おきのミルク。私も夫も仕事がある中で、どちらかが仕事の合間に自宅に帰り、ミルクをあげてまた仕事に戻る。夕方は私がお店を閉めてから急いで帰って、まずはスイとモクにミルクを与えてから自分たちの夕飯の準備に取り掛かるといった具合。次第にスイも哺乳瓶を上手に使えるようになってきて、離乳食のような固形物も食べられるようになっていった。その頃は2匹がちゃんと呼吸をして生きているかどうかが心配で、まだ薄暗い明け方に毎朝目が覚めてしまっていた。そんな私に向かって2匹は無邪気に「ミャ、ミャ、」などとゲージの向こうから朝の挨拶。その声に安堵して再び眠りにつく日が1ヶ月ほど続いた。
あれから数ヶ月が経ち、すっかり大きく成長したスイとモク。小さなうちは私たちが留守にしている間はゲージの中でお留守番をさせていたが、様子を見ながら日中もゲージの外で部屋中を自由に歩き回れるようにした。仲が良く、じゃれあったり一緒に丸まって昼寝をしたりしている姿をみると、2匹で良かったと心底思っている。
スイとモクは全く人見知りをしない。おそらく兄弟以外の猫よりも、人間に会っている機会が多いからだろうか?玄関の引き戸が開く音が聞こえると、まるで犬のように知らない人だとしても「どなたですか〜?」と駆け寄って行く。クローバーが覆う庭で遊ばせてあげたいという思いも頭をよぎるけれど、外には出さないように気をつけている。土が近い玄関には、様々な外の匂いが運び込まれてくるので興味津々。隙あらばサッシをすり抜け、玄関の三和土に降りてクンクン匂いを嗅ぎながらパトロール。
白のGENEVAは2017年の初夏にin-kyoで行われたNAOTキャラバン開催に合わせて選んだもの。それまではサボタイプのIRISしか履いたことがなかったけれど、夏らしいサンダルタイプが目に留まって。ただ、私は足が冷えやすく、夏でも靴下を履いた状態でサンダルを履くことが多いのでデザインも限られる。その点、GENEVAは裸足はもちろん、靴下との相性もいい。白なら靴下の色選びの幅も広がる。
そういえばスイとモクの足先は白く、なんとなく白い靴下?靴?を履いているようにも見える。
ねぇねぇ。パトロール中のお二人さん、私のGENEVAに噛みついたりしないでね。

GENEVA White




-後編は、9月公開予定-