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2020.10.04

#3 森田三和 サボを履いた猫 – 前編 –


 
 

月に1度お届けしている「ねことくつ」にまつわるコラム。
 
ねこも、くつも、一緒にいる時間が長くなるほど、お互い馴染んで、いつの間にか相棒のような存在になっていくもの。
 
奈良を代表するパン屋さん「MIA’S BREAD」の森田三和さん。
美味しくてしあわせな気持ちになるパン。
NAOT NARA店の近くにあり、私たちも大好きなパン屋さんです!
 
今回は前編をお届けいたします。


 
 


 
 
 


サボを履いた猫
 


一人暮らしを始めたと同時に初めて猫ちゃんとの暮らしが始まった。かれこれ35年も前の頃である。今のようにスマホもなくて写真も残っていないけど、ぐちゃぐちゃに色が混ざり合った顔の三毛猫だった、その顔が可愛くて賢い子だった。名前は「おちゃまん」猫を飼う知識もなくてダンボールに新聞紙を敷いたトイレ、とりあえず牛乳をあげたら下痢をして、一人でどうしていいか分からずシーツもパジャマもうんこまみれになって一晩中一緒に寝たのを覚えている。
 
3年経って私は体を壊してしまい、無事に大きくなった「おちゃ」と一緒に実家に戻った。すぐに家族とも仲良くなり、彼女のおかげで大人だらけの家族がまた仲良くなった。
その頃事業がうまくいかなくなっていた父の心の友となり、眠れない夜はいつも側に寄り添っていた。そのまま朝を迎え新聞が投函されて一緒に取りに行くのが楽しみだったそうだ。家の向かい側に林があってそこで遊ぶのが好きだった。
 
3月の終わり、いつものように林の中に遊びに行こうとした時に「おちゃ」は車に轢かれて天国へ行ってしまった。自宅で一人いた父が見つけて、抱きしめて散々泣いた後、好きだった林の中に埋めに行ったらしい。私が帰宅した時、「おちゃ」はもう居なくて、父が「見せたくなかった。」とギリギリの声で言った。
その時の父は今の私とちょうど同じ歳なんだと思うと余計切なくなる。今頃は天国で一緒にいるんだろうな。
 
その後、私は再び家を出て結婚をし、家族を持った。それをきっかけに片手間でやっていたパンの仕事を本気でやり出した。自宅兼工房だったので衛生的にも次に猫を飼えるのはお店を辞めるときかなぁとなんとなく思っていた。
 
お店を始めて10年くらい経ってとうとう腰を痛めてしまった。その頃NAOTの靴に出合った。裸足でいるよりもずっと楽だし、履くと足に支えてもらえるせいか腰も幾分楽になった。サボなのに脱げないし、お洒落な洋服にも似合う!試着してすぐに購入!やっと好きな靴に出会えたって思った。1日のうちの半分以上を立って過ごしている私にとって靴は重要だったことが良くわかったと共に、日々の生活が快適にそして確実に楽しみが増えた。
 
ちょうどその年の夏の夕方、東の方から子猫がテクテクと私の足元まで歩いて来て、かすれた声で「にゃぁ」と言った。「お腹ペコペコなんやわ」とミルクをあげたらそのまま家の中に入ってきた。飲食業に猫はどうかと思ったけれど、ストイックにがむしゃらにやって来たから、もう好きにやろうと「にゃぁちゃん」との生活が始まった。あの頃、神様は頑張ってきたご褒美に靴と猫を私にくれたのではないか?まるで長靴、いや、サボを履いた猫だな。それ以来猫とNAOTの靴は私にとって欠かせないものになった。

 
 



IRIS Walnut
 
 
 


 
 

 
 
 

 
 
-次回中編は、11月公開予定-

 


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