• Magazine>
  • >
  • それぞれの朝じたく-赤色のときめき-

それぞれの朝じたく-赤色のときめき-


 
 
体がブルっとなって、目が覚めた。ふわふわの毛布を頭からかぶり直して、隙間から窓を見る。
薄暗いグレーから少しだけ白い光が見えた。
あ、この季節がきた、って思った。私の赤色がはじまる季節。
 
 
今日は、もこもこの靴下と、赤色のサボ、それで決まりやね。ってなったら、ちょっとほっとして、ぐるぐる思い出してきた。赤色のこと。
 
 

 

 
赤色は誰かの色。
いつからか、そう思うようになっていた。
 
幼いころ、女の子のトイレは赤色のほうだよ、と教えられて、
ランドセルは自動的に赤色を背負っていて、
当時は、よく赤をまとっていたけれど、それは自分で選んだ「赤」ではなかったように思う。
 
そのうちに、身につけるものはブルーを選び、そして、黒を選ぶようになった。
ボーイッシュだねという言葉も一緒についてまわってきた。
私としては、男の子を目指していたわけでもなく、
単純に、その色が好きで、こころ落ち着く色だっただけ。
 
でも、もしかしたら、「赤」を試すこと自体を遠ざけていたのかもしれないなあ。
 
 
あるとき、靴屋さんで一足の靴に出会った。赤い色のサボ。
なんだろ、ものすごく気になる…!
 
昔、好きだった漫画の主人公がサボを履いていたからなのかも。
いや、隣にあった黒のサボには目がとまらなかったから
間違いなく、赤色にときめいている…!んだわ。
 
いつもなら、履く勇気もなくて、すっと引き返すところだったけれど
お店のお姉さんに「赤ってルンとするんですよね、なぜか」と声をかけられて
(はい、そのとおりです)と見透かされた気持ちで足をいれてみた。
 
足元でピカッと新鮮に映ったその色は、びっくりするほど私に似合っていた。
小さいけど、大きな発見。
 
そのときも、たしか、冬の手前のころ。人恋しくなる季節だったなあ。
 
 

 
 
 
って、やば! もうこんな時間やん!
え、何やったんこの思い出タイム!?
 
靴下履いて、ダダダっと玄関まで一直線。
ルンとする赤色のサボにすっと足をいれて、ふふと笑って、
いってきま〜す!
 
 
 
 

 
 


それぞれの朝じたく 1
それぞれの朝じたく 2
それぞれの朝じたく 3


その他の記事

戻る

pagetop