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フルーツポンチ・村上健志の靴短歌 #4


 
お笑いコンビのフルーツポンチ・村上健志さんによる、短歌とエッセイの連載。
 
「短歌」は五・七・五・七・七 の決まったリズムのなかで、ひとつの場面や心情までも、くっきりと描いてくれます。
 
今まで気がつかなかったような些細なことも、不思議と面白おかしく美しく見えてくる…そんな言葉たちを、「靴」をテーマにお届けします。

 
第4回。靴を履くだけでもう、一歩かな。

 


 




靴は乗り物(レイザーラモンのRGさんが言っていていいなと思った言葉)。長靴は宇宙戦艦の如く前進をする。パイロットさながら少年は勇敢な顔つきをしている。いやゴボンゴボンと荒々しく進む姿は険しい山道を行く4WDか。まあどちらでもいい。宇宙戦艦の方がかっこいい。長靴をはいた少年にとって水たまりはアトラクションいや本当の大冒険なのだろう。
 
しばらく長靴を履いていない。最近ではレインブーツと名を変え随分とおしゃれなものもある。雨が止んだって場違いで無骨な足元を街に晒さずに済む。しかし長靴を履いたからといって水たまりを目指すことはないだろう。そもそも僕の住む東京ではそんなに水たまり自体がないように思える。思いのほか深かった水たまりにゾクっとしたあの恐怖感はたまた安堵感が懐かしい。
 
様々なシチュエーションを乗り越える靴。
 
生まれ変わったらまた男が良いなと6:4で思っている。けれどワンピースとハイヒールは捨て難い。春先にワンピースを着てぐるりと一周。影まで可愛いと言われたい。そしてハイヒール。自信のない自分を変身させて夜のど真ん中を歩いてみたい。サングラスのつるを噛むこともセットにして。
 
空飛ぶ靴があったなら。覆面でもしてヒーローに、、、いやスケボーも10回と乗らずに辞めてしまった僕が乗りこなせるとは思えない。何回やっても頭の重さで逆さになり不恰好に空を這いつくばる姿が目に浮かぶ。下駄箱の奥にある真っ青なハイカットなスニーカーの横に並べその時が来たらと温存させることになりそうだ。
 
どこに行くにもまずは一歩だ。その一歩を進ませる勇気をくれるのが靴かもしれない。なんだか勇気とか一歩とか墨汁で書けばそれなりに見える言葉で着地してしまった。まあでもいい言葉なんだから良しとしよう。今月も書き終わった。甘いものでも買いにコンビニに行こう。冬でも履けるサンダルが欲しい。



△撮影:村上健志
 
 


 


Instagram: @mura_kami_kenji Twitter:@fpmurakami


 

 

★靴は乗り物。いい言葉です。
次回は、3月21日(日)公開予定。
どうぞお楽しみに。
 


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