おみゆさんことモデルの小谷実由さんによる連載エッセイ。
今回のテーマは「颯爽」時間です。
ちょっと頑張ると、あら、いつもと違う世界が味わえた…
そんな、おみゆさんのすらりとこなしたある日。
どうぞお楽しみください。
こんにちは。GWが終わり、5月がもう半分終わってしまったような気持ちのこちらはまだ朝です。そちらはもう梅雨がやってきている頃でしょうか。最近は、とある事情でこの連載を読み返す作業をしています。自分の書いたことを振り返る行為って照れくさいような、突如俯瞰で自分のことを見れるような気持ちになる。自信をもったり、絶望したり。この作業の最中に頭の中にいろんな自分が出入りして騒がしいです。過去の振り返りが私は好きな方ですが、身近にこの作業が苦手な人がいます。なぜなのか理由を尋ねてみると、過去の自分に満足していないからだそう。なんなの、かっこいいね。そりゃ私だって満足してないですよ。でも、その時々の精一杯やった自分は讃えたいです。まだまだ行くぜ。そんな私は今、初回ぶりにベッドで原稿を書いています。やめるって誓ったはずだけど、今日はベッドに潜りたい理由があるのです。
朝といっても只今11時過ぎ。通常何もない日なら朝ごはんを食べ終えて、さて顔でも洗うかな。なんて時間ですが、今日の私は先を行っている。先を行きすぎている(普段がのんびりぼんやりすぎるとも言う)。なんと朝6時半に起きて、出かける支度をして9時からピラティスに行ってきたのだ。撮影の時は朝がどんなに早くても這い上がれるけど、そうじゃない日の早起きはとても苦手。でも9時からしか予約が取れなかったので気合でやってみることにした。物は試し、そこにしか見えない聞こえない香らないものがあるんじゃないの?という勘が働いたのである。そう奮起したのは予約した2週間前の話で、今日の朝は過去の自分に後悔しまくり。でも一度やると決めたらやるのよ…と自分を心の中でビンタして、それでも起きない頭でバスに乗り込み、電車を乗り換え表参道へ…眠いよ〜と私が嘆きながら登場しても、甘やかしたりしないピラティスの先生(いつも元気、そして早起き)に厳しく優しく励まされながら1時間のトレーニングが終わった。あら不思議、途中までは記憶がないけど気付いたら頭がばっちり冴えている。私、今ならなんでも出来ます。
帰り道、いい匂いに誘われて入ったパン屋さんでベーグルを買う。突然普段買わないものを買ったりするのも私のこのモードの特徴。間違いなく気分が、転換している。その後立ち寄ったのはスーパー。開店したばかりのスーパーで夕飯の買い物をするってなんともいえぬ清々しさですな…店内放送の普段は聞かない「おはようございます!」も新鮮です。そんな時って夕飯のメニューもサクッと決まってしまうんだよね。今日は鮪のお刺身が特売です。まだ車が沢山走ってないからか澄んだ空気と新緑の香りもする。そして再び別のパン屋さんから絶賛焼いてますよというパンの香り。いい匂い祭りで嬉しくて小躍りしそう。駅ではこれから1日が始まろうとしてる人が前から歩いてくる、そこに逆流するもう1日がひと段落してしまっている私。早起きは三文の徳ってもしかしてこれ…?
その後もクリーニングを受け取ったり様々なミッションをこなして華麗に帰宅。時刻は午前11時です。まだこんな時間なのに普段なら一日かかりそうな用事が全部済んでいる、私にとってこれはとんでもなくすごいことだぞ。まだまだ余力があるし今日ぐらいは優雅にベッドで原稿を書こう。そのまま寝ちゃってもいいね。そんな思いで今に至る。
しかし気付いてしまった、今日は夕方からお仕事があることを。それまではまだあと数時間ある、でも私は遅刻を恐れて寝れないのだろうな。そのまま寝ちゃってもいいね。じゃありませんでした。しかし今晩はぐっすり眠れそうです。では、おやすみなさい。
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