靴との付き合い方は持ち主によって、その人それぞれ。靴との出会い、履いて行った場所、忘れられない思い出など、NAOTスタッフがそれぞれの言葉でお届けいたします。
今回はOLGA Buffalo Leatherのお話です。
「この靴、なんかいい靴やなあ。」
北海道のゲストハウスの玄関。各地からやって来た靴の中に、ちょこんと佇む私のOLGA。それを見て、オーナーさんがつぶやいた言葉。近くでひっそりと耳にしていた私は、なんだかすごく嬉しかったのを覚えています。
私のはじめてのNAOTは、このOLGAです。大学生の頃に、この靴でひとり旅に出かけました。
就職やこれからの人生のこと、ささいなことでいっぱい悩んでいた日々。それなら一回とことん悩むか。行きたいところもたくさんあるし。と、勢いでいろんな景色を見に行きました。
私はゲストハウスに着くまで、本当にひとりぼっちで旅をしていたものだから、誰かに話したいことも、そっと胸にしまったり写真やノートに残したり。
だからあの言葉を聞いた時、誰も知らないそんな日々が靴から伝わっているように感じて嬉しかったのだと思います。
ふとしたとき、玄関でまじまじと自分の靴を見ると、驚くことがあります。
最初の頃の綺麗な面影はないけれど、幅広の私の足の形に広がった革、どこでついたかわからない傷、かかとを踏んで履いた跡のしわ。ほんと、いい表情をしているんです。
険しい道も、なんてことないいつもの道も、靴は一緒です。靴も人と同じで、育つんだなあ。OLGAはそのことを教えてくれた一足でもあります。
NAOTのいま持っている靴はどれも好き。でも、あの頃旅して、自由に過ごした時間があっての今だから、一緒にいたこの靴はやっぱりかけがえのない一足です。
そろそろ修理にだそうかな。まだまだこれからもこの靴でたくさん出かけたいと思います。よろしくね!
スタッフ五十田
OLGA Buffalo Leather
愛用歴 2年