専門家の先生をお迎えし、足や靴にまつわる疑問を解消する「足と靴の質問箱」。
第6回は引き続き「足育研究会」の代表として、そして「済生会川口総合病院」の医師としてご活躍の高山かおる先生の登場です。
ぜひ、みなさまのお役にたてますよう。
足育研究会:WEBサイト
Q.巻き爪は改善できますか?
A.原因に合わせた対策をすることで改善できますよ
巻き爪とは
爪のトラブルにはいろいろあります。爪の側縁が食い込んで炎症を起こす陥入爪(かんにゅうそう)、爪が厚くなった肥厚爪(ひこうそう)、爪の水虫、緑色爪…など原因も形も様々です。
その中で爪が指の上で弯曲した状態や、側縁が四角く折れ曲がった状態を巻き爪といいます。足の指にできることが多いですが、手の指にできることもあります。
特に陥入爪とは間違われることが多いのですが、爪が巻いているために指に食い込んで炎症を起こし、陥入爪となることはあります。
巻き爪のタイプ
大きく分けて二つのタイプの巻き爪があり、それぞれに原因があります。指の上でトランペットのベルの部分のように丸くなるトランペット型と、ホチキスの芯のように角が曲がるステープラー型と呼ばれるタイプです。
△トランペット型
△ステープラー型
巻き爪になる原因
なぜ、巻き爪になるか考えてみたことがあるでしょうか?病気、遺伝、靴の問題などが一般的には考えられているかもしれません。どれも間違いではないのですが、足に関して因果関係があるのは足(特に指)の使い方、つまり歩き方や姿勢と、外反母趾の変形です。
爪は硬い板のように感じるかもしれませんが、実は柔軟性があり、水を含むとさらに柔らかくなります。そもそも少し弯曲をしており、指の下から十分な力がかかると平らになります。この曲がっている形から真っすぐになる過程で大きな力に応対できる構造をしているのです。逆にいうと力がかからないと丸まってしまう構造ということです。
さて、歩くときは、踵からついて小指の付け根、親指の付け根、そして最後に足先にと体重移動するのが理想的な姿勢です。
この歩行をするためには、ある程度の足首の柔軟性と足の指の関節の柔軟性が大切です。ところが、足首が硬かったり、趾が曲がらなかったりすると最後の趾先への体重移動が起こりにくくなります。そうすると爪は巻いてしまいます。
また歩数も大切です。1日に3,000〜5,000歩は最低あるくようにしないと、爪に十分な圧力がかからないため巻いてしまいます。十分に力がかからないときになる変形がトランペット型の巻き爪です。
一方ステープラー型は外反母趾変形があることで起きます。外反母趾は足の母趾が外側に曲がってしまった状態をいいますが、この時母趾はやや回転をします。回転することで地面に設置する部位が爪の側縁になってしまうため、ホチキスの芯ように曲がってしまいます。
巻き爪は改善できる?
巻き爪になってしまったらどうすればいいかということについてです。炎症を起こしている場合には手術をする場合もありますが、かえって術後に変形したりすることもあるため、できるため保存的な方法で直すことをお勧めしています。
巻いてしまった爪は矯正するさまざまな道具で真っすぐにすることが可能です。これは主に病院で、自費診療でうけることができます。弾性ワイヤー(マチワイヤー®多摩メディカル)やクリップ(巻き爪クリップ®ドクターショール)に、爪の両端を巻き上げるタイプ(VHO®バン産商)のもの、バネの中にワイヤーが入っているもの(巻き爪マイスター®マルホ株式会社)などがあります。
街中のネイルサロンやフットケアサロンでも弾力のある板を貼る方法(B/Sスパンゲ®足と靴の研究所、ペディグラス®ペディグラステクノロジー)などでケアしてくれるところもあります。
ほかにもお湯につけて柔らかくした爪を専用の器具で巻き上げてから乾かすことで矯正ができる刺激の少ない方法で、高齢者施設で用いられたり、自宅でもトライすることができる矯正器具(巻き爪ロボ®鹿浜製作所)もあります。
このほかにもたくさんの矯正方法があり、どの方法もある程度の効果が見込めます。ただし、原因のところでお話ししましたように、巻き爪にはそうなってしまった理由があります。矯正するとともに歩き方、歩数、外反母趾への対応などもおこなって行く必要があります。
もちろん爪が圧迫されるような靴を履いていては、爪は巻くだけではなく、厚みを増してきてしまいますから、矯正も効果が少なくなってしまいます。巻き爪に気がついた時には、靴の環境も整えましょう。
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なるほど!ケアをするだけでなく原因を知ることが大事なんですね。
先生、ありがとうございます。