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足と靴の質問箱/第1回「外反母趾は治るの?」


 
専門家の先生をお迎えし、足・靴にまつわる疑問を解消するコラム「足と靴の質問箱」。
第1回は、「足育研究会」の代表として、そして「済生会川口総合病院」の医師としてご活躍の高山かおる先生の登場です。
 
高山かおる先生には、今後も引き続き、専門家の先生ならではの視点でお話していただく予定です。
ぜひ、みなさまのお役にたてますよう。
 
 

足育研究会:WEBサイト
 
 
 
Q.外反母趾は改善できますか?
 
A.程度にもよりますが、改善できますよ
 
外反母趾は本来はレントゲンで診断しますが、セルフチェックもできます。
外反母趾角=第1中足骨と母趾基節骨の骨軸のなす角(図の①)、または、足の内側の外郭線のなす角(図の②)で代用することもできます。
原則的に、立った状態で計測してください。

 

20度~30度までが軽症、30度~40度までが中等症、40度以上が重症に分類されます。
軽症であればまだまだ改善することができます。
また中等症以上になってしまっても、症状が進まないようにすることや、靴が当たって痛いという症状を改善することはできます。
 

どうして外反母趾になってしまうかということについては諸説あり、
内因的要因として女性であること、
母趾の長さ、関節弛緩性(関節の柔軟性)などの構造的要因、
外因的要素としてハイヒールの着用、加齢(繰り返される刺激)などが言われています。
 
 

では、外反母趾になってしまったらどうすればいいのでしょうか?
方法は大きく分けてふたつあります。
 
 
ひとつめは、歩き方の改善です。
 
外反母趾の方は大抵の場合、体重をかけた時に足が体の内側に倒れやすくなっており、外反母趾は進んでいってしまうとも考えられます。
そのため内側に倒れないようにするのが対策となります。
体重をかけたときに足が内側に入らないようにするためには、膝を内側に入れないことが大切です。
 
歩くときは2本のレールの上をかかとから指先と移動していくのが正しいとされていますが、
このときに指先が外向きにならず、真っすぐにむくことが大切です。

 

 
 

ふたつめは、サポーターの着用や靴の選び方など、足の環境づくりです。
 

靴の中にアーチサポート(足裏からつぶれたアーチを持ち上げて足の変形を矯正してあげるサポーターなど)を付けることをオススメします。
足には3本のアーチ構造があり、全体重を小さな足裏の面積だけで支えるサポートしています。
アーチはばねの役割をはたしており、ぐっとおされるとたわみますが、体重がかからないときはまたもとに戻ります。
 
ところが、外反母趾の方は3本のアーチのうち、横のアーチと内側縦アーチが下に落ち込んでしまいます。
そのため、荷重をかけると余計に内側にたおれます。
 

また横のアーチが落ちることで指が動きにくくなってしまい、その状態で靴を履くと靴はギブスのように足を締め付け、指と指がくっついて靴の先端の形に拘縮(足の関節が硬くなって動きにくい状態)し、外反母趾などの足趾変形が進んでいってしまうのです。
 
これに対する対策として、靴のかかとにカウンターという芯がはいっているものを選ぶこと、またできるだけヒモやベルトで足の甲と靴を固定することなどが挙げられます。
そのうえでアーチサポート(縦アーチを支える)や中足骨サポート(横アーチを支える)をつけると、外反母趾は進みにくくなり、またアーチがつぶれることによっておこる足裏の疲労を軽減することもできます。
膝の内向きも補正できますので、膝痛にもいいといえます。
 

外反母趾のために曲がっている部分があたるからといってゆるい靴を選ぶことは得策ではありません。もし関節がぶつかるならその部分だけ靴の革をストレッチ(伸ばしたり柔らかくする)したり、メッシュ構造やストレッチ素材でできている靴を選ぶとよいと思います。
 
 
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なるほど!外反母趾も、履く靴や歩き方を意識することで改善できるんですね。
先生、ありがとうございます。

 
 

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