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#02 この靴を履いている自分が好き

私の初めてのNAOTは、紐靴のDANIELA。私にとっての魔法の靴だ。出会ったのは大学3年生の頃だった。

当時、自分の欠点ばかり気にして悩んでいた。ふと思い立ち、東京から奈良へ一人旅に出た。
偶然辿り着いたNAOT NARAで、店員さんにすすめられたDANIELAを試着。履き心地のよさと、NAOTの靴を愛する店員さんの空気感に癒され、悩みで頭がいっぱいだったはずの私は、鏡の向こうでなんだかとてもいい顔をしていた。

直感で、「ああ、この靴を履いている自分を好きでいたい」と思った。

できないことにばかり目を向けるより、もっと自分が喜ぶことをしていたい。そんな気持ちを東京に帰っても忘れたくなくて、うんと思い切って「履いて帰ります!」と口にした。

DANIELAは、履けば履くほど、履いているだけで嬉しい気持ちにさせてくれた。それに、とにかく履きやすい。DANIELAさえ履いていたら、足元は絶対大丈夫。

この、自分に対して「絶対大丈夫」と思えることがあるというのが、私にとってかなり大きかった。どれだけ自信がなくても、どれだけ緊張していても、DANIELAを履くと思ったら、それだけで楽しみな予定に変わるのだ。

ひとつ「大丈夫」があるだけで、一歩前に進むことができた。

一人旅をきっかけに奈良やNAOTにすっかりハマり、隙を見つけては度々足を運んだ。

実は、新卒での就活中にNAOTの求人にも応募したけれど、その時は不採用だった。

それでも、その後もただ「好き」というだけで、東京の会社で働きながら、何度も通い続けた。そうこうしていたら数年後、「そんなに好きでいてくれてるなら」と声をかけてもらい、NAOTで働かせてもらうことになった。

そういえば、この細かく波打つように刻まれた履きジワ。できた当初はちょっと落ち込んでいたのだけど、いつから気にしなくなったのだろう。

一目見て自分の靴だとわかるこの姿が、今は大好きだ。

たくさん一緒に歩いてきたなあ。
7年前、思い悩んで立ち止まっていた私は、いまはもういない。DANIELAを履く足元にふと目を落とすと、なんだか誇らしげにも見えてくる。

まだまだこれからも、どうぞよろしく!

(上)履き始めてすぐ、猿沢池にて。 (下)履いて7年のDANIELA。

(文/スタッフ 冨田)