
いつも、大事なときにやらかしてしまう。
あのときもやらかしてしまった。
ちょうど1年前、大学の卒業式前日だ。
今後の人生には訪れることがないであろう卒業式に向けて、なぜか意気込んでいた。スーツやネクタイはどれにしようか、シャツは何色にしようか。靴はWISDOM Blackと決めていた。
この浮かれ具合がよくないのだと、今は思う。
卒業式前日、熱を出した。
行けなくはないかも、と一瞬思ったけれど、そんな気合いでどうにかなる感じでもなく、普通に動けないくらいはしんどかった。
大学4年生の夏ごろ、卒業後はNAOTで働くことが決まった。
同時に、東京から奈良へ移住することも。
学生時代の友人たちとは、社会人になるとなかなか会えなくなるだろうとは思っていた。物理的距離も加わると、会う機会は本当に少なくなるだろう。
卒業式は引っ越しの2日前。だから、ちゃんと出たかった。
WISDOMを履きたかったのは、NAOTで働くことを暗に示したかったのだと思う。
社会人になる!という節目に、履きたいと思った。
そんな望みは叶わず、熱のつらさと卒業式に行けない虚しさを抱えたまま、引っ越しは目前に迫ってくる。
引っ越しの前日、大学で一番仲のよかった友人から心配の連絡が来た。それと同時に、卒業証書が後日でも受け取れるらしいことを知った。
それなら奈良に行く前にと、引っ越しの当日、大学へ取りに向かうことにした。せっかくなのでスーツを着て、足元にはWISDOMを。
若干の微熱はあったが、ウキウキしていた。
大学のキャンパスに着くと、卒業式ムードはもうなく、とても静かだった。
教務課で卒業証書を受け取り、急遽来てくれた友人と会う。
三脚と一眼カメラを持ってきてくれたので、一緒によく過ごした場所を回っては写真を撮りあい、最後は校門の前で2ショットを撮って、解散した。
式はないし、仲のよかった友人たちもいないし、二次会みたいなものもない。写真を撮っただけだけど、友人が自分のために来てくれたことが嬉しくて、特別な卒業式になった。
解散したあと、そのまま奈良へ向かった。
引っ越しにスーツは似合わなかった。
門出を共にしたWISDOMは、今も活躍している。
奈良にきてからは初めてのことがいっぱいで、気づけば1年が過ぎようとしている。
卒業式のために買ったWISDOMはもう日常の中にあって、スーパーにも履いていくし、もちろん働いているときにも履いている。
去年の夏、祖父の葬儀にも履いていった。私にとって親族の葬儀は初めてで、喪服ももっていなかったから、急いで用意をし、父親の靴と一緒に綺麗にした。
WISDOMはいつもの生活の中にあり、それでいて人生の節目や大事なときにいる。
なんだか、そんな靴になろうとしている気がする。
(文/スタッフ 石田)
