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さんぽびより|大歳倫弘さん・カナメストーン零士さん #01

NAOT JAPANが、いま気になるあの方にお話を伺うコーナー「さんぽびより」。
今回は、作家・演出家の大歳倫弘さんと、お笑い芸人・カナメストーンの零士さんにお会いしました。

大歳さんは、ふだん舞台やドラマの脚本を書かれていて、肩の力を抜いて笑える作品を描く奇々怪界のコメディ作家。昨年、初めての書籍も出版されています。

そんな大歳さんが、会ってみたい!と話していたのが、お笑いコンビ・カナメストーンの零士さん。
服がお好きな零士さんとお話しをしに、公演前にお邪魔しました。ネタづくりから、洋服や革靴のことまでお届けします。

(零士さんの相方・山口さんも、一緒に早い時間に来てくださって、後ろで話を聞いてくださっていました)

 


 

散歩は考え事をするためにやっている

 

大歳 僕は普段スニーカーを履くことが多くって。革靴いいなと思いつつなかなか履く機会がなかったんですけど、零士さんはどうですか?

零士 そうですね、革靴も好きなんですけど、スニーカーを履くことも多くて、ニューバランスはよく履いてます。革のローファーとかも履くんですけど、ローファーを履いた日はなぜか毎回漫才中に足が攣るんですよ(笑)。だから足が攣ってもいい日にローファーを履くようにしてます。

大歳 ええっ、舞台上でけっこう動かれているとはいえ、ずっと運動もされてたのに?

零士 そうなんですよ、運動中よりも攣るんです、漫才。なんでだろう(笑)。不思議ですよね。

大歳 40になって、体力的な衰えは感じたりはしますか?

零士 毎朝、ウォーキングに行ってるんです。今日も行ってから来ました。そのタイムが「ちょっと伸びないな」みたいなのはありますね。

大歳 ウォーキングのタイムを測ってるんですか?

零士 そうなんです、いつも測るんですよ。同じところを同じように歩いて、「今日は何分何秒だろう」とやっていて。でもそれがなかなかタイムが伸びなくて、「あれ? あ、夏だからか」とか言い訳したりしちゃってますね。

大歳 タイム測ってるの、ちょっと新鮮です(笑)。僕は、散歩は考え事をするためにやっている節がありますね。

零士 あ、それは僕もめっちゃそうです。たとえばラジオがある日だったら、「今日あの話したいけど、どうやって話せば面白くなんのかな」とかは、ウォーキング中に考えたりしてますね。

大歳 歩いているあいだに考えがまとまったり、しますよね。

零士 マジでそう。お笑いのために歩いてるんです、ホントに。自分も活気づくし、考えごとをする時間にもなりますし。

大歳 自分も作家をやっているので、お芝居やドラマの脚本とかも書くんですけど、なかなか考えがまとまらないこともあって、そういうときによく歩きます。夜中から朝まで歩いたこともありますね。

零士 えー! 何かが出てくるまで?

大歳 そうですね、夜中から、朝5時までとか。

零士 すごい、俺もう寝ちゃいますもん、「もういいや」って。

大歳 それが、最近は寝ちゃうんですよ。もう、がんばれない(笑)。


 

メモする?しない?

 

大歳 漫才は、台本を書いてやるという形ですか?

零士 台本は書かないんです。自分たちには合わないっていうのがわかったので、動画だけです。

大歳 台本は合わないって、いつごろ気がついたんですか?

零士 ええ〜!? 7,8年目とかかなぁ。それまでずっと台本を書いてたんですよ。でも台本があると、追っちゃうんですよね、セリフを。それが全然よくなくて。とくに俺らのタイプには合ってなかった。それをやって、合う芸人もいるんですよ、書いたものを一言一句やるとか、間もいつも通りとか。本当、その芸人のタイプ次第です。

大歳 だからお二人は、台本ではなくて、動画に撮って残す形に?

零士 動画です。でも動画もほぼ見ない。あれ、ここなんだっけ?って思い出すときだけ見て、「あっそうそう、これだ」ってなったら動画はすぐに消して。

大歳 ネタにするときにとっかかりになるようなワードは、日々拾うようにしてますか?

零士 Netflixとか、映画館にも山口と観に行くんですけど、映画を観て「あのシーン面白かったよなぁ」とか、話すんです。たとえば、若さに固執している老婆が、村に迷い込んじゃった若い女の子に嫉妬して、若さが羨ましくて殺しちゃうんですけど、そのあとになぜかバレエを踊る。これ、笑いをとるという意味での面白いシーンではないんです、怖いんですけど、めっちゃ面白かったよなぁ、みたいな話を帰りの電車内とかでする。「次、それをネタにしてみない?」って、メモる前に二人で話し合うんで、お互いがメモというか、話すことがメモになっているという感じです。

大歳 そのときは、なにか記録を回したりするんですか?

零士 回さないです、だから忘れちゃうときもあるんですよ。このあいだ言ってたあれって、なんだっけ?って(笑)。だから、メモれよ!って毎回思ったりもします。

大歳 僕は、落としたくないからメモをするようにしてはいるんですけど、でもやっぱりポロポロ落としてます。あとで見て何のこっちゃわからんかったり。お二人だと、ラジオとかも、メモがわりというか、記録になっていたりしそうですね。

零士 そうですね、ラジオは本当にそう。一番なにも考えずにしゃべってるんで、一番素が出てますね。
 


 

「衣」に寄りすぎている?

 

大歳 零士さん、めちゃくちゃおしゃれじゃないですか。僕も洋服が好きではあるんですけど、最近すこしサボっているというか、20〜30代前半のときに比べると、だいぶこだわりが減ってきていて。これまで、新しいものやいいものをずっと探してきていたけれど、もう、ちょっと、同じものでよくなってきているというか。

零士 あれじゃないですか、服以外に好きなものがいっぱい増えてきたってことなんじゃないですか?

大歳 えっっ、好きなもの・・・いや、あんま、ないかも・・・?

零士 ものでなくても、飯とか? 俺は衣食住で言ったら「衣」がめっちゃ強いんですよ。次が「食」で、「住」はめっちゃサボってる(笑)。

大歳 「住」をサボって、「衣」のほうには影響はないんですか? 管理方法というか、たとえば、服が虫に喰われたりとか。

零士 あー、たしかに。山口の部屋は、すぐカビがはえます。知らないあいだに虫に喰われたりもしてますね。本当は絶対に、衣食住の3つのバランスをうまいことすべきなんですよ。だけど、お笑いを始めて二人で東京の家に住むようになってから、今の家にしか住んだことがないんで、わからないというか、当たり前になっちゃっているというか。

一度ちゃんとしたところに住んだら、「あそこはなんてヒドい場所だったんだ」って思うかもしれないんですけど、今は「みんなもそうでしょ?」くらいの状態なんで(笑)。愛着がすごいんですよね、今の家には。服に穴があいちゃおうが、虫すらも好きになっちゃったりするんで。ヨーロッパの古書にしかいない虫がいたりね。古着についてきたんじゃないかなって思ってるんですけど。

大歳 紙魚(シミ)ですか? 僕も古本についてきて・・・

零士 えっ、まさかの、紙魚仲間ですか!? あんまいないですよ、まわりに、家に紙魚が出るひと。

大歳 それで古本を全部捨ててしまったくらいです。紙が好きな虫なんですよね、紙を食べちゃう。だから古本が増えると出てくるという。

大歳 零士さんは、本ってお読みになったりするんですか?

零士 うーん、大学生のときは読んでたんです。当時は本当に友達がいなくて。でも山口と一緒に暮らすようになったから、本がいらなくなったんですよ(笑)。大学のときは、一人でいる時間に本読んだり、お笑いのDVDを見たり、テレビも大好きだったんでよく見てました。でも全部あまり読んだり見なくなったなと思ったら、全部山口としゃべってるからなんですよね。
最近なんかもう、SNSもまったく見なくなっちゃいました。M-1で決勝にいったご褒美として、マネージャーさんがSNSの更新をやってくれることになったのもあって。

大歳 それ、めっちゃいいですねぇ。

零士 だから今はもう、ネットまわりのことが本当に何もわからなくて。まわりの芸人がこのことで炎上してるらしいとか、知ってたほうが話についていって面白いことを言えたりもするんでしょうけれど、まったく知らない状態で他の芸人から聞くという感じです。

大歳 自分もそのタイプです。あまり自分でどうこうできなくて、でもまわりが教えてくれたりするんで、知らない状態ではないというか。

零士 SNSって疲れちゃいますよね、ちょっと。僕らも、もう、SNSにむかついちゃって(笑)。だから、いまはもう見ないし、触らないです。

#02につづく

 


 

写真右|零士(れいじ)
1986年茨城県生まれ。2009年に中学校時代からの親友・山口誠とNSC東京校に入学し、2010年カナメストーンを結成。2017年よりマセキ芸能社所属。2025年、結成15年のラストイヤーにM-1グランプリ2025の敗者復活戦を勝ち上がり、初の決勝進出を果たす。Podcast「カナメストーンのカナメちゃん村」(毎週土曜配信)、YouTubeチャンネル「しゃれこめカナメストーン」配信中。

写真左|大歳 倫弘(おおとし・ともひろ)
1985年兵庫県生まれ。劇作家・演出家・構成作家。2005年、ヨーロッパ企画に参加。以後 、作家として、ラジオの構成やドラマ・映画の脚本を数多く手がける。主な脚本作品に、『真夜中にハロー』(テレビ東京)、『愛人転生』(MBS)など。また、舞台の脚本・演出も行っており、2009年から「ヨーロッパ企画イエティ」名義でプロデュース公演を定期的に上演している。著書に『ある日、西の方角が吉と出たので』(ループ舎)。

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