Column

さんぽびより #U-zhaanさん #能町みね子さん 1/2

 
NAOTスタッフが「一緒にお散歩したい!」と思った方と、ぶらぶら街を歩きつつ、話をしつつ、目に留まったものをパシャりと写真におさめていただくこの企画。
 
第9弾は、小江戸情緒が残る埼玉県・川越の街が舞台。以前、カタログにもご寄稿いただいたことのある、タブラ奏者U-zhaan(ユザーン)さんと、文筆家・自称漫画家として、多数のメディアでご活躍されている能町みね子さんに歩いていただきました。
 
前編は、地元・川越を案内してくださったU-zhaanさんの思い出から、ファンの方ならご存知であろう、あのごぼう専門店も訪ねます。なかなか伺えないお二人の雑談、どうぞお楽しみに!
 


 

OFFICIAL WEB SITE: U-zhaan.com
Twitter: @u_zhaan

 
 

OFFICIAL WEB SITE: 能町みね子のふつうにっき
Twitter: @nmcmnc

 


 

 
ー今日はユザーンさんの地元・川越をおさんぽします。
 
能町:川越は、よく帰ってきてるの?
 
ユザーン:まあ、ちょこちょこかな。
 
ーおふたりがお会いされるのって、いつぶりですか?
 
能町:いつぶりだろうね?3年とか?よく覚えてないね。
 
ユザーン:前に東中野駅の前を通ったら、ちょうど能町さんが居てさ。で、なんかよくわかんないんだけど、知人らしき人たちと円になって手を繋いで、ぐるぐる回ってたの。あれいつだっけ?
 
能町:ああ…(笑)あれは、5年前くらいじゃない?たしか、ポレポレ東中野(ミニシアター)で映画を観た後。
 
ユザーン:駅前で人が手を繋いで回ってるってだけでも異常な光景なのに、よく見たら能町さんだし、え?本当かな?って思って。
 
能町:友達3〜4人と一緒に居たんだけど。そのなかにノリのおかしな人がいて、手を繋いで回ろう!って言われたのに乗っかっただけ(笑)
 
ユザーン:ぐるぐる回ってる友達を見るというのは、なかなかないよ。あれはいい経験だった。
 

 
能町:川越でユザーンおすすめのカレー屋はありますか。
 
ユザーン:昔「ジャワ」っていうカレー屋があって、あそこすごく美味しかったんだよね。「欧風カレー」と「ジャワカレー」って2種類があって、ジャワカレーの方が好きだった。
 
能町:ああ、「ジャワ」!あったよね。「ジャワ」は私も一回行けたんだけど、そのあとすぐなくなっちゃったんだよ。なんでなくなっちゃったんだろう…。めちゃくちゃ繁盛してたよね。
 
ユザーン:うん、かなり流行ってた。僕の父親はあそこのドライカレーのファンだったんだけど、ある日父親が出勤する前に「今日は会社が早く終わるから、昼ごはんはジャワに行くぞ!」って言って出て行ったの。だから、今日の昼飯はジャワなんだなと思って、帰りを家で母親と一緒に待ってたのね。そしたら昼過ぎに帰ってきた父が、「ドライカレー、うまかったぞ!」って言うんだよ。僕ら一緒じゃなかったの!?ってびっくりしてさ。
 
能町:ただひとりで、行く宣言をしてくれてたのね(笑)
 

 
ー時々ユザーンさんのSNSなどにご両親のお話が登場されてますが、お二人ともとっても面白い方のイメージがあります。
 
ユザーン:いや、僕の両親が特別に面白いというわけではないと思いますよ。
きっとどんな家庭にもいろんな面白いことは起きてるはずなんだけど、みんなそんなに意識してないから忘れちゃうんじゃないですかね。僕がしつこく覚えてるってだけで。
 
能町:話をちらちら伺うに、ユザーンのお母さんは、すごい人だと思う。マザーン。
 
ユザーン:実際に会ってみたら、普通に「感じのいい人だな」って思うんじゃないかな。すごくいい人だよ。
 
能町:自分の親を「すごくいい人」って言えるのって、あんまりないよね。
 
ユザーン:自分もいろんな人を見てきたからわかるようになったことだけど、うちの母親はきっと、とっても機嫌のいい人なんだと思う。
 
ー「機嫌がいい」って、簡単そうに聞こえるけれど、実は誰にでもできることじゃないですよね。
 

 
ーこの通り、学生時代はよく通られたんですか?
 
ユザーン:めちゃめちゃ来てましたよ。ここをずっと先へ行ったほうに僕の通っていた高校があったから、この道を通って下校する日もありました。
 
ーユザーンさんは、どんな中高生でしたか?
 
ユザーン:中高生の頃かー。普通の子ですよ。中学の時は学級委員とかやってました。
 
ー学級委員!それって、普通というよりも、結構目立つほうの生徒さんじゃないですか。
 
能町:高校生の頃は?その頃から髪の毛こう?ストレートヘアーのユザーンの想像がつかないんだけど。
 
ユザーン:さすがに高校生でこのパーマはかけてないね。超ストレートだったよ。
 
ーユザーンさんの髪型はずっとお変わりないですよね。対して能町さんは、本当に色んなヘアスタイルをされますよね!興味津々です。
 
能町:こだわりがあるというよりは、私は飽きっぽいから、すぐ変えちゃうんですよね。
 
ユザーン:あ、ほら見て、髪の毛まっすぐ時代の写真。ハタチぐらいのころ。
 

 
能町:えっ…!痩せてる!(笑) 髪型以上に、痩せてることにびっくりするんだけど(笑)これは、イケメン。イケメン俳優と言っても過言ではないよ。
 
ユザーン:いや、全然イケメンじゃないよ。
 
能町:ストレートのユザーン、結構な衝撃だわ(笑)
 

 
能町:スピリチュアルカウンセリング、気になるわあ。うわ、ここ「幸せへの入り口」ですよ。オーラ占い3000円。
 
ーここを開けたら幸せになれるのでしょうか…。
 
能町:ね、でもちょっと気になるね(笑) でもこの建物、上のほうを見ると、かなり古そうだということがわかるんですよね。ほら、このガラスも…絶対古いんですよ。
 
ー本当だ!こういうところを見られているんですね。能町さんは、街歩きを愛してらっしゃるイメージが強いです。
 
能町:街歩き、好きです。めっちゃ好きです。
 
ー好きな街選びのポイントって、ありますか?
 
能町:昔からある街、というところですかね。昔といっても、昭和でいいんです。江戸時代とかは割とどうでも良くて、昭和が好きなんですよ。
 
ー昭和の中でも、戦前・戦後でいうと…?
 
能町:戦後でも全然いいです。十分面白いですね。戦後に栄えた街でも、もうとっくに衰えてしまっている街も多いけど、それもまた好きです。
 
ー川越は、どうですか?
 
能町:川越、好きですよ!駅の東側のほうで、ぶらついたことがありますね。スカラ座っていうすごく古い映画館があって、そこ行きました。上映も行ったんですが、私含めてお客さんの数が2~3人くらいだったということがありました。あれはあれでよかったなー。
 
ユザーン:スカラ座行ってみる?あとで。
 
能町:いいね、行きたいかも。今もなんか上映してんのかな?
 
ユザーン:なんかやってるんじゃない?
 


 
ー能町さんがユザーンさんにオススメしたい街ってありますか?
 
能町:ユザーンにオススメしたい街かあ。ユザーンの趣味ってインドのほうだから…好みがわかんないから難しい。
 
ユザーン:名古屋の円頓寺商店街、すごく好きだったな。能町さんも「あいちトリエンナーレ」のときに行ったんだよね?(先日、ユザーンさんは「あいちトリエンナーレ」のインスタレーションとして「40日間タブラ修行」を決行)
 
能町:ああ~、あそこよかった!
 
ユザーン:円頓寺商店街に1軒だけ小さな本屋があったんだけど、そこが凄くて。中に入ったら、並んでる書籍も含めて、そこにあるものすべての時間が1992年くらいで止まってるの。古本屋じゃなくて普通の書店なのに。
 
能町:うわ~、行けばよかった。たしか広島でもそういう本屋を見つけたことがあったなあ。
 
ユザーン:他にもそういう本屋あるんだね! 名古屋のそこは、経営してたお母さんが亡くなったときに一般書籍の仕入れはやめたんだけど、今でも娘さんが営業を続けてるんだって。青春時代の本屋が突然現れた、みたいな感じだったよ。超タイムスリップ感。
 
能町:いいなー。私も見つけてたらきっと入ってたと思う。
 
ユザーン:せっかくだから一冊だけレジに持って行ったら、なぜか 「100円でいいです」って言われた。新本なのに(笑)
 
能町:雑~。めっちゃ雑(笑) なんの本買ったの?
 
ユザーン:椎名誠さんの対談集。
 

 
ー突然で恐縮なのですが…ユザーンさんに「能町さんをスパイスに例えると?」という質問をさせてください!
 
ユザーン:え、スパイス?そんな質問は初めてですね。
 
能町:わたし、それ言われたとしても、何ひとつピンと来ないよ(笑)
 
ユザーン:能町さんは、そうだなー。カロンジかな。英語だと、ニゲラシードって呼ばれるスパイス。
 
ーどちらも初めて聞きました。どんなスパイスなんですか?
 
ユザーン:クミンやターメリックみたいに主張の強いものではないんだけど、カロンジを入れたカレーは独特な美味しさが出る、という感じかな。
 
能町:おお、なんか嬉しいです。やったー。
 
ーカロンジー。名脇役といったイメージでしょうか! どんな香味なんですか?
 
ユザーン:うーん、なかなか人に説明しにくい味。でも、すごく体に良いらしい。
 
能町:体に良いっていうのは嬉しいな。ピンと来ないけど(笑) カロンジ、調べよう。
 

 
ユザーン:あ、ここ!斎藤牛蒡店。どうも、お久しぶりです。こんにちは。
 
お店の方:あら、どうも!こんにちはー。お久しぶりですね。
 
能町:こんにちは。ここはユザーンのお馴染みなんですね。
 
ユザーン:そうそう。レイ・ハラカミさんと、この店の歌まで作ってるからね。「川越ランデヴー」っていう。
 
能町:ああ!ここがあの曲の。お店に入ると、牛蒡の香りがすごいね。良い香り。調理済みきんぴらごぼう、買っていきたいな。「甘ごぼう」っていうのも美味しそう。
 
お店の方: ファンの方、相変わらずいっぱい来てくださってますよ。北海道からも、九州からも。
 
ユザーン:そうですか、よかったー。
 
ーユザーンさんのファンの方々にとっては、きっとここは象徴的な場所ですよね。
 
ユザーン:いや、ハラカミさんのファンの方がたくさん来てるんじゃないかな。
 

 
ユザーン:ちょっと歩くとあるのが、ここ!居酒屋の「すずのや」さんです。どうもこんにちはー、お久しぶりです!いつもありがとうございます。
 
能町:さっきから、みんなユザーンの知り合いだね。もうユザーンの街だ、川越は。
 
ユザーン:まあ、地元だからね。ここ、「日本酒のおでんの出汁割り」がイチオシで。ちょっと1杯、飲んでいきましょうか。
 
能町:いいんですか?やったー。そうしましょう。
 

左/GLACIER Oily Dune、右/LEVANTO VintageGray(廃盤)
 
 
▷後編はこちら
 
 
< さんぽびより|まとめ >