Column

あの人の靴、育てる靴 Vol.8 早川ユミさん


 
私たちはこれまで、NAOTの靴を通じて、たくさんの方に出会ってきました。

「気になるあの人は、普段どんなふうに履いて育てているのだろう?」
そんな興味から、NAOTの靴を愛用してくださっている方にお話を伺いました。
 
第8回は、布作家の早川ユミさん。
高知の山間で、衣服作り、畑、果樹園など、自給自足の暮らしをされている早川さん。
著書『くらしがしごと 土着のフォークロア』 『種まきびとのものつくり』 など、布作家としてはもちろん、執筆活動も盛んに行われています。

 
早川ユミさんプロフィール
 

| 探し求めていた、白い靴
 

ー真っ白のサボ「IRIS」をご愛用いただいているとお伺いしました。
NAOTを知ったきっかけは何だったんでしょうか。

 

 
「イスラエルで作られている靴」っていうのが一番のきっかけです。イスラエルのものってあんまりないじゃないですか。友人にイスラエルの方がいて、すごく行きたいなと思ってたんですね。そんなとき、札幌の展示で偶然にも宮川さん(弊社代表)にお会いして。
 
思いをはせていた矢先に靴と出会ったんで、まず履いてみようって思って。
 
ーどうして白のIRISをお選びになったんですか?
白がすごい好きなんです。お洋服はいろんな色で作っているんだけど。今着ているこの服も麻のガーゼで、白の中にもいろんな色があるんですよね。
白い靴を探してもなかなか良いのがなかったんですけど、このサボってすごい白いから、見つけたっ!て。
 

 
ー靴底まで真っ白ってなかなかないですよね。
それと、やっぱり履きやすい。
冷えとり健康法をしてていっぱい靴下を履くんで、ちょっと大きめを買ったんですけど、冷えとりをしてるとピッタリする靴がなくて。だからひたすら白の靴を探し求めてたところに出会ったんです。
 
ータイミングですね!それでは即決だったんですか?
そうです。もう好きなのは、全然迷わない。
 
ーお好きな靴の形はあるんでしょうか。普段サボを履いていらっしゃるイメージがあります。
他のメーカーのサボとかも履いてるんだけど、あんまり足に合わなくって。NAOTの靴はすごく歩きやすくって、ぴったりフィットしていいですよね。
 

 
ー自分の足で育てていくみたいな感覚で。
そう!履くことでどんどん変わっていく感じがして、なんかちょっとボコボコ感が出てきたのが嬉しい感じ。
 
ー作品を展示する場でこのサボを履いていらっしゃると伺いました。
私の作っているお洋服とぴったり合う手作り感があって、なんかちくちく縫ってある感じとかがすごくいいなって思ったんですね。それとやっぱり、何と言ってもイスラエルですよ!
 
| NAOTの始まりは、キブツ

ー少し前にイスラエルに行かれたんですよね。
旅してますますイスラエルとパレスチナ自治区が好きになって。やっぱりそこの人々の在り様がすごく美しい。
もともとそこで作られたものはそこにいる人たちが消費して、お金になったらそれを等しく分配するっていう集団農場みたいな意味合いの共同体、キブツがあるんですけど。
 
みんなで自分たちの食べ物を作って、もの作りもして、そこにアートも関わっているっていうところがすごく腑に落ちたんです。今私が個人でやってる畑や果樹園、蜂を飼っていることとなんか共通してるなって。それをもっと大きく共同体でやってるっていうところに、とても未来を感じて。
 
ーNAOTの靴もそのキブツで作られたのが始まりなんですよ。
イスラエルで作っている靴っていうので宮川さんにもお会いしてお話を聞きました。
なるべく自分で着るものは自分で作りたいと思って、スパッツとか下着とか、衣服も全部作ってたんですけど。だから靴もできるだけ誰が作ってるか明らかなものを使いたいと思って、NAOTを履いてみようと思ったんです。
 


△展示会場に並んだ、ちくちくと手仕事が見える早川さんの作品

 
| 使うことで、よくなっていく
 
ー早川さんの本で、パートナーの小野哲平さん(陶芸家)がご自身の作品として納得いかず手放したお皿を戻してきて使って「器も育つんだよ」って書かれているのを読んで、靴と同じだなと思いました。
似てるよね!やっぱり使わないと全然愛せないし。
器は最初は焼き立てでつるりんとしてて、釉薬もそのまま。でも何回もご飯の時に使い続けているうちに、自分の手に馴染んでいく。最初のつるりんとした感じが手に吸い付けられる様になって、可愛くなってくるよね。
 

 
布もそう。この服とか10年くらい着ているんですけど、そういう古い服が好きで。大事に丁寧に作ってるものは長い年月着られます。
靴もなんでもそうですけど、使っている時間と一緒にいろんな思いが芽生えて「これでなくちゃね」というものになっていくから、だんだん自分に馴染むものになっていくんじゃないかな。新しいものってやっぱりいいってすぐ思わないんです。
 

 
ーだんだん表情が出てきますよね。
哲平さんがこれダメだって選ぼうとしなかった器も育てて使っていると、自分で作ったものなのに「いいじゃんこれどうしたの」って言うんです。使うことで良くなっていくってことに気がついていないんですよね。
物との時間は、一緒に過ごしてずっといる時間も含まれていっているんじゃないかな。
 
| 民なるひとびとのくつ
 
ー最後に早川さんにとって、NAOTの靴はどんな存在か、一言でお伺いしてもいいでしょうか。
 

 
うーん、今の時代だからね。なんだろう。あ、色鉛筆も。すごいかわいい色だね。
平和と自由、自由と平和かな?
 
うーん。あ、民なる靴にしよっか。
 
ものの作られ方にやっぱり真実があるから、その力がきっとぴかーんって出てるんじゃないかなって思うんですよね、NAOTの靴は。
 

 
 
イスラエルという国は、民なるひとびとイスラエル人のことじゃなく、パレスチナ自治区の、ハマスも民なるパレスチナ人じゃない。
わたしは、民なるひとびとの集団農場キブツのくつをはき、パレスチナのオリーブオイルをつかうことで、いまのガザの戦争がはやくおわることを祈ります。遠くのことじゃない、中東の戦争に思いをはせたい。
集団農場キブツからやってくるくつをはくことで、民なるひとびととつながることになるのではないでしょうか。

 
 
 
 
 



 
早川ユミ/布作家

アジアの手紡ぎ、手織布、藍、黒檀の実、ラックなど草木染め、泥染めの布、山岳少数民族の布、柿渋で染めた布、リトアニア麻布でちくちく手縫いして、衣服をつくり、あちらこちらで展覧会をひらいている。
夫である、陶芸家の小野哲平の薪の窯たきを手伝ったり、種まき、木を植える。
アジアの布を探して、家族で旅する。ときどき、セツローさんとのふたり展をひらく。

 
 
 
履く人の数だけある、靴とのストーリー。
これからも、素敵な方の“NAOTの育て方”をご紹介していきます。
次回もぜひ、お楽しみに!
 

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