NAOT JAPANが「一緒にお散歩したい!」と思った方と、ぶらぶら街を歩きつつ、話をしつつ、目に留まったものをパシャりと写真におさめていただくこの企画。
第22弾は、ブックデザイナー・アートディレクターとして、数々の本の装丁や、美術館の空間グラフィックなど、幅広く手がけられている祖父江慎さんと、モデル活動にとどまらず、執筆、アパレルブランドとの共同開発などにも取り組まれている小谷実由さんのおふたりに、都庁周辺を歩いていただきました。
7月29日に刊行したばかりの小谷さんの初エッセイ集『隙間時間』は、祖父江さん(with 藤井瑤さん)がブックデザインをご担当。著者とデザイナーのご関係でもあるおふたりの、どんなお話が聞けるのでしょうか。
また、今回はスペシャル企画として、映像作家・写真家の島田大介さんにお散歩の様子を撮影いただきました。夏がはじまる前の爽やかな季節、おふたりのお散歩ショットもお楽しみください。
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ー小谷さんはこのあたり、よく来られるんですか?
小谷:以前、このあたりに住んでいて。
ーでは、お散歩ルートだったんですね。祖父江さんは、普段、お散歩はされますか?
祖父江:僕はなんだか引きこもりなんだよね。
小谷:やばい、連れ出しちゃった(笑)!
祖父江:以前も、著者の人と道でばったり会った時にびっくりされちゃって。「あ!祖父江さんがいる!外で見るの初めて!」って。あんまり外に出ないから馴染みが少ないんですよ。おみゆさんは結構外にいますよね。
小谷:私はお散歩好き。この公園は結構広くて、今はもしかしたらないかもしれないけど、春ごろはいろんなお花が植えられてたりとか。
祖父江:え、今は春は過ぎたということですか?
小谷:もう初夏かもしれないです。
祖父江:しょうか(初夏)〜。
小谷:あっはっは!
ーお二人の出会いを教えてください。
祖父江:出会いはちょっと可愛いやつで。
小谷:可愛いスヌーピーのやつ。祖父江さんが、ディレクションされたスヌーピーミュージアムを案内してもらうっていう企画があって。
祖父江:あれは六本木だったよね?それができた時に、ここはこういう面白いことがあるよとか、そういううんちくを一生懸命言ったり、しょうもないことも言ったり…。
小谷:しょうもなくなかったですよ。
祖父江:そう?ありがとう。そういう係をやらせていただいた。そのときが初めてですかね?何て気持ちのいい方だろうと思って。
小谷:え~~~~~。
祖父江:何かちょうどいいんですよ。おみゆさんってアニキみたいなちょうどよさがあるんですよ。
小谷:私が兄貴?うそ!兄貴感(笑)
祖父江:面倒くささがない、スッスッとしている感じ。こういう方がいらっしゃったとは!って思ったの。何か息が合っちゃって。
小谷:ありがとうございます。そんなふうに言っていただけるなんて。
祖父江:おみゆさんは、小中学校の時って歩き方にこだわったりしたんじゃないですか?
小谷:私、すごくガニ股だったんですよ。
祖父江:うっそ〜〜!
小谷:親にいつも「ガニ股で歩いてる!」って言われて。だから、この仕事をはじめて、レッスンしました。頭から一本で吊るされてるような…。
祖父江:ああ、あるある!天からふっとぶらさがって。足の位置も綱渡りなんでしょ?
小谷:そうですそうです。
祖父江:僕も時々やります。
小谷:え、どうして(笑)!
祖父江:楽しいから!道路に白いラインがあるじゃない?あそこをね、なるべく落ちないように歩くの。落ちたら、ワニがいるの。
小谷:ワニがいる(笑)私は、溶岩があるって言ってました。
祖父江:ようがん!溶岩がいいかも。僕はワニって思ってたけど、溶岩のほうが強い。
小谷:溶岩のほうが危機迫る感じ。
小谷:ここに亀がいっぱいいるんです。
祖父江:え、うっそ〜〜!あ、いた!何これ!いい亀じゃん!いい亀がいる。
これ、ミシシッピアカミミガメですね。
小谷:ここの亀がすごい好きで、ずっと見ちゃうんです。もりもりになっているのがかわいいなと思って。
祖父江:実は、うちの会社の人事、亀なんですよ。
小谷:え!?どういうこと!?
祖父江:外枯玉雄(そとかれたまお)っていうのが人事と広報の窓口になるんだけど、メールも持ってて、コズフィッシュへの連絡はまず外枯玉雄からなんです。なので、うちのスタッフは、みんな亀が決めているんですよ。
小谷:たまお。
▽Twitterにもご登場されています
祖父江:でもこないだ逃げ出しちゃって。台風で雨が降った時に水位があがってね。今ね、いないんですよ。
おみゆさんは、亀とか飼ってたことあるんですか?
小谷:小学生の頃、飼ってました。親戚のおばさんから受け継いで飼ったんです。
祖父江:そうなんだ〜。ミドリガメかな。そういえば昔、お菓子の景品が亀だったってのがありました。
小谷:え〜!
祖父江:昔ね、生き物が景品って多かったの。世界の小鳥をプレゼント、とかもね。
△祖父江「亀に気持ちをやりながら、目だけは向こうに見えてる円盤に。でも、気持ちは亀。ってやつ!」
小谷:撮れました?
祖父江:ああ、巻き忘れてた!巻き忘れてました〜!
小谷:あはははは!…あ!今、撮った!!
祖父江:え?押しちゃった!?えへへへ!撮れたのかなあ。画角はめちゃくちゃかも。
小谷:アジサイロードだって。看板がある!
祖父江:え〜〜!まさに今日にぴったりっこ。
小谷:この看板どうですか?この文字の色がとってもよくないですか?
祖父江:よきですよね。この色は印刷では出ませんね。な〜んちって。難しい色だよね。ブルーはブルーでもなんかちょっと鮮やか系だよね。粒子が粗い青だね。
祖父江:あ、これ、ガクアジサイみたいな感じね。ぽんぽんぽん。あ、やった、蜘蛛までいる。蜘蛛がいるとつい遊んじゃう。はい、餌がやってきたよ〜。餌がきたよ〜。僕を捕まえて、捕まえて、捕まえて!捕まえて、捕まえて〜!
小谷:あ、もう一回…!私もカメラ巻くの忘れちゃった。
祖父江:捕まえて、捕まえて!え〜い!こっちにも来ましたよ!こっちにも…ああ、落ちちゃった。
なんか一生懸命ね、葉っぱを餌だと思って蜘蛛が頑張るんですよ。これがね、僕の好きな遊びです。
小谷:好きな遊びなんだ(笑)。
祖父江:そう❤︎蜘蛛を見つけたら網に何かを乗せる。
小谷:このアジサイすごい綺麗〜〜。このガクが。かわいい色。
祖父江:ほんとだ。ねえ、がく。ガクってきた。でもこれはガクなのに花びらみたいな顔してるからちょっとずるいよね。ガクってきちゃうよね。ここにカエルが乗っていたら、もっとなかなかなものなのにね。
祖父江:あそこの素敵な青い花で、きちんと撮ろう。「夏満開」って書いてあるね。どっちかっていうと「梅雨満開」にしてほしいよね、アジサイだし。ハッピーバースディ ツユ(梅雨)。
小谷:あっはっは!
小谷:私も祖父江さん撮りたい〜!
祖父江:え〜!いいの?じゃ、いそいで、髪型を神がからせるから、待ってて!
△祖父江「どう?テヘペロリン!」
ー今回、小谷さんの著書『隙間時間』のブックデザインを祖父江さんにお願いしたのは、小谷さんのラブコールからでしたよね。
小谷:スヌーピー展でお会いした時が本当に楽しくて、当時は本を出す予定なんて影も形もなかったけど、いつかそんな未来があったら、ぜっっったい祖父江さんにお願いしたいと思ってて。
祖父江:やった~!
小谷:いざお願いする時は本当にすごく緊張して。祖父江さんに最初に送ったメールは、前の日の夜にめっちゃ下書きしたんです(笑)。
祖父江:ええええーー!そうなの!?
小谷:これでいいかな?って何回も読み返して。次の日の朝も失礼にならない時間って何時くらいだろう?10時半くらいだったらもうお仕事始まってるかな?って思ったり。それであんな長文のメールに…。何が失礼にならないかをすごい考えちゃって。
祖父江:それは申し訳なかったねぇ。
小谷:本当は会ってお願いしたかったんですけど。メールでいいのかな!?手紙書こうかな!?とか…。そうやって緊張しながら送信したら、「イイヨ!」みたいなすごくラフな感じで返してくださって!私、そのお返事をバスの中で見たんですけど、膝から崩れ落ちそうになっちゃって。よかった…よかった…って(笑)
祖父江:よかったよかった(笑)兄貴悪いね~ちゃんとしてたのに。楽な答え方しちゃって。
小谷:全然、それがすごい嬉しかった。
祖父江:私も嬉しかったでございます!!
祖父江:歩き方もなんかついね。膝から歩きになっちゃいました。あ、これサンダーバード歩きっていいます。
小谷:なんでサンダーバードなの!?
祖父江:操り人形の、足が先に地面につくから。こうですよ、サンダーバード歩き。顔は無表情でもいいんです。
△祖父江さん直伝、サンダーバード歩き
小谷:私が、祖父江さんと一緒に行きたかったオブジェがある場所に行きます。こちらです。「風景の断片」でございます。
祖父江:これが「風景の断片」ですか。
小谷:断片です。
祖父江:なるほど、断片っていう感じがします。
小谷:あ。
祖父江:おみゆさんが何かを撮ってる。
小谷:都庁が。
祖父江:都庁!撮っちょ〜ったの?(撮っちゃったの?)ぜんぜん都庁は見えてなかったよ。
小谷:お花がかわいいと思ってのぞいたら都庁がいたの。
祖父江:えー。♪都庁がでてきてこんにちは、だね。悔しい〜。
小谷:イエ〜〜イ。
△小谷「都庁ってすごい形」
小谷:こないだ私、免許更新に都庁に来て、うかうかしてたら、めっちゃ注意されました。
祖父江:誰に?都庁に?
小谷:のんびりしてたらダメで。ここ行って、次ここ行って、ってね。いつ写真を撮る時間が来るかわからなくて。でも前髪を絶対ちゃんとしたいと思って、櫛をずっと、こうやってにぎしめてたの。冬だからコートとか脱がなきゃいけなかったり。
祖父江:わあ、いそがしい。
小谷:「はい、座って!」って言われて、「え!ああっ!」ってしてると、「はやく!」って言われる。免許のときってなんであんなに急かされるんでしょうね。
祖父江:何ででしょうね。のんきな免許屋があればいいのにね。
△小谷「あんな影はじめてみた。あれ、撮ろ」
祖父江:へえー。僕はもっとすごいところ探すさ。ははーん。みんながアッと驚くタメゴロウよ。ああ、また古いことを言ってしまった。
小谷:アッと驚くタメゴロウ!知ってる。おばあちゃんがよく言ってた。
祖父江:♪あっとおどろくためごろ〜〜
小谷:じょうず〜。こぶしがいいですね。
祖父江:で、最後に「なに」って言うんですけどね。ほんとは。
小谷:え!初めて聞いた、そこまで。
祖父江:もし誰かが言ったら、ちょっと間をおいて、「なに」って言うとね。「お、君、詳しいね」って。ま、詳しいことって何もメリットがないんだけど。
△祖父江「僕は元々頭に血が上りにくいタイプなんだよ」
△祖父江「カメラに名前書けるよ、僕はいつだってペンを持っているからね」
祖父江:古いのが出会うニューだって。筆が古いってこと?
小谷:それって少し語弊がありますね。
祖父江:五平(ごへい)餅だね。あれはユニバースっていう書体だね。ちょこっといじられてるけど。昔の東京オリンピックのあたりの時に日本にやってきたようなシステマチックな書体でございます。
小谷:もしかしてそっちがオールドなのかな?
祖父江:やっぱりユニバースは、本当にシステマチックで有名になった書体だから、ニューがシステマチック、オールドはシステマチックではないってことかな?その逆かな?……僕お散歩してもあまり看板を見ないんだよね。
小谷:えーそれはなんで?気にならないんですか?
祖父江:何か違うところを見ちゃうよね。
小谷:どこを見てるか気になる。
祖父江:足元とか。僕がよくやるのは遊びなんだけどね。下を向いて本を読みながら歩くと楽しいよ。あ、この道はすごい良いよ。
祖父江:つまり、本を固定して、そこに目のピントを合わせて歩くと、足元の道が早いスピードで流れて、そのまわりの遠いところはあまり動かないじゃない?そしたら3段構造のロールプレイングゲームが下にあるような感覚で、もうくらくらって酔っちゃう。三半規管いじめみたいな感じ。
小谷:私すぐ乗り物酔いするからだめかもです。
祖父江:このやり方で本を読むと、本の内容が頭に入らなくて、何かすごいワクワクしちゃって。すぐ具合が悪くなりたい時はしてみたり。
ーそんな時ありますか?(笑)
祖父江:ないかな?
小谷:あるある(笑)
左/WISDOM Black、右/LODOS Black Madras
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