Column

さんぽびより #村上健志さん #伊藤紺さん 2/2

 
NAOT JAPANが「一緒にお散歩したい!」と思った方と、ぶらぶら街を歩きつつ、話をしつつ、目に留まったものをパシャりと写真におさめていただくこの企画。
 
第19弾は、バラエティ番組での活躍はもちろん、近年は俳人としても注目を集めているお笑いコンビ「フルーツポンチ」村上健志さんと、短歌の分野のみならず、昨年はファッションビルのリニューアルコピーも手がけた歌人・コピーライターの伊藤紺さんのおふたりに、浅草を歩いていただきました。
 
言葉の世界に身を置くおふたりから、どんなお話が聞けるのでしょうか。
 
▷前編はこちら
 


 

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ー浅草神社の近くまでやってきました。このエリアは様々な方の「句碑」があるようです。
 
村上:石碑とかもあるみたいですよね。あっ、両津勘吉。
 
伊藤:ほんとだ、両さん。句碑ってなんか可愛いですね。
 

 
村上:たしかにこの辺は石碑みたいなのがいっぱいあるな。これもなんとか碑だ。…あれ、僕たち気づいたら句碑にすごい囲まれてますね。
 
伊藤:本当だ(笑)
 

 
ーおふたりとも「言葉」がすごく身近な世界にいらっしゃるのかなと思いますが、こういう句を見に行ったりすることはありますか?
 
村上:句を見に行くためにどこかへ行くってことは…ないですね。あるとしたら、ロケとかで行った所に、そこで句を詠んだ松尾芭蕉の句碑があったり。それだと、「ああ、芭蕉はこの景色を見てこの句を詠んだんだ」っていう感動はありますけどね。
 
伊藤:それはありますね。
 
村上:別に、「おお、これが句碑だよー!」とはなったことはないですね(笑)やっぱり句自体に意味があると思うから。
 

 
伊藤:私も句碑は見に行かないですね。あんまり古典に触れてこなくて。
 
村上:僕もあんまり詳しくはないな。自分が見たもの、経験したものに定型を借りてるだけっていう感覚でやっているので。
 
伊藤:めっちゃわかります。
 
村上:アカデミックな観点だと技術的にうまいとか、いいとかもあるんだろうけど、下手でも人を惹きつけられたらいいじゃんって思いますね。
 

 
村上:わ!きれい。これは何すかね?八朔かな~。
 
伊藤:かわいい~。
 

 
村上:これ大丈夫かな…。全部ボケているように見えちゃうんだけどな。僕の目のせいかも。この小さなレンズで見るっていう感覚、忘れちゃってますね。スマホの画面でやりすぎちゃったな。
 
伊藤:(笑)
 

 
村上:バッチリかなあ…?ピンボケしてそうだけど。いい感じになっているかな。
 
ー大丈夫だと思います!撮れているはずです。
 

 
村上:そっか、ちゃんと撮れていなくても逆にいい雰囲気になるんですね。
 

 
ー突然ですが、おふたりの好きな食べ物ってなんですか?
 
村上:いや~。一番ってなると難しいですけど~。でも鰻かな。伊藤さんは何が好きですか?
 
伊藤:寿司とカレー。
 
村上:あ~。僕のiPhoneの待ち受け画面、寿司です。
 
伊藤:え?ちょっと見せてください。
 
村上:いいですよ。ロック画面は“鰻”で、開いたら“いくら”が出てくるんで。
 

 
伊藤:ほんとだ!(笑)
 

 
村上:いっときウニだったんですけど最近いくらになりましたね。
 
ーもしかして、お寿司、めちゃくちゃ好きですか?
 
村上:めちゃくちゃ好きです。
 
伊藤:これは高級なお寿司ですか?
 
村上:これ、いいやつだと思います。
 
ー伊藤さんの「寿司とカレー」は日本人代表のようなチョイス…!
 
村上:両極端なね!(笑)カレーは全ジャンルですか?欧風からインドスパイスまで?
 
伊藤:全部好きです。蕎麦屋のカレーとかも好きです。
 
村上:僕もカレーは好きですけど、遠くまで食べに行くってほどではないんですよね〜。
 
伊藤:私もそうです。本当に好きな人はめちゃめちゃ行きますよね。村上さんは、鰻とか寿司とかだったら遠くまで食べに行くんですか?
 

 
村上:全然行かないです。
 
伊藤:あ、そうなんですね(笑)
 

 
村上:でも、ラーメンとかすごい食べ歩く人いるじゃないですか。僕、それをチャーハンでやろうと思っているんですよ。東京の有名店に色々行ってみようと。
 
伊藤:わあ、それいいですね!村上さんのレポ、読みたいです。
 
村上:いや、何かに書こうと思っているわけではないんですけどね(笑) チャーハンだったらそんな高級でもないし、はずれもあんまりないかなと思って。
 
伊藤:たしかに、そうかもしれないですね。もう既にどこかに行かれました?
 
村上:もともと何箇所か行ったことがあるんですけど、去年の年末から始めて、アメ横の有名なところに行きました。めちゃくちゃ美味かったです。
 

 
伊藤:え~いいなあ。そういうのあったら楽しいですね。
 
村上:そうそう。休みの日とかに開店前に並ぶっていうのが趣味としてもいいかなと思って。
 
伊藤:え?開店前から並ぶんですか?
 
村上:有名なところって行列ができるじゃないですか。だから開店前に並ぶのが多分一番早く入れると思うし、その待ち時間に何か読むとか見るとかもいいなと思って。
 
ー待ち時間も込みで趣味になるんですね。
 
村上:そうそう。昼から行動しているっていうのもいいじゃないですか。チャーハンを食べに行くことによって行ったことのない街に行けるっていうのもいいし。
 

 
伊藤:村上さんは昼から飲んだりもされるんですか?
 
村上:いや、行ったことないんです。お酒は好きなんですけど…。みんなよく「昼から飲めるのって一番の贅沢だよ」とか言うじゃないですか。僕も水を差さないようにみんなに合わせてましたけど、本当は僕、昼から全然飲みたくないんですよ。
 

 
ーなぜですか?
 
村上:家で一日中飲んでるのなら昼からでもいいんですけど、どっか出かけた時にお酒飲んだらそこから動きたくなくなっちゃうんですよね。
 
伊藤:そっちのパターンですか。でも、村上さんは飲みたくなかったら「飲みたくない」って言うタイプかと思ってました。
 
村上:いやいや~。昔だったら天下取った感じで、「俺違う考え方持ってます」ってなってたと思いますけど、今は基本的に水差したくないよね…。平穏に暮らしたいです。
 

 
伊藤:そうなんですね…(笑)
 
村上:芸人さん同士だったら意外とそんなことないかもしれないですけどね。結構なんでも言えるんで。
 

 
伊藤:夜だったら、一人で飲みに行くこともありますか?
 
村上:あ、それは行きますよ。 店員さんも一人しかいないような小さな店とかに。
 
伊藤:そうか…。私も行ってみたいなと思って何回かチャレンジしたんですけど、ああいう時って何をしたらいいんですかね?
 
村上:僕の場合は…何してんだろうって自分をぐるぐるさせてるかもしれないです(笑)なんで俺一人なんだろうっていう。
 

 
伊藤:へえ!(笑)その意識はあるんですね。
 
村上:スマホいじるなら家でいいじゃないかとか思うし。でもなんか外で飲みたいという気持ちはあるんですよ。もしかしたらその店に誰か来るかも、とか思いながら。それに、家だと逆に出来ることがありすぎて、没入感が減るんですよね。
 
伊藤:「没入感」。それめっちゃわかります!そういうとき、本読まれたりします?
 
村上:ちょろっとね。でもお酒飲んでるんで小説とかはあんまり入ってこないですけどね。
 
伊藤:読めないですよね(笑)
 
村上:僕はやったことないですけど、歌集とか図鑑とか、1ページごとに完結するような本だといいかもしれないですよね。追っていかなくていいというか。
 
伊藤:なるほど!たしかに、それは良いですね。写真とかもいいかも。
 

 
村上:そうそう。そういうのは逆に家だと見ないから。
 
伊藤:めっちゃわかります…(笑)
 
村上:本屋に行ったらすごく欲しくなるんですけど、家に帰ると「…なんだ?」ってなるんですよね。鑑賞モードに入らないんですよ。
 

 
伊藤:何なんだろう、あれ不思議ですよね。好きで買ったから、家で読んでも同じはずなのに。でもそうなるとわかっていても、欲しくなるんですよね~。本屋さん行くと買っちゃいますか?
 
村上:たくさんじゃないですけど。本屋さん行くのが楽しいんですよね。
 

 
伊藤:差し支えなければ、好きな本屋さん聞いてもいいですか?
 
村上:僕は有名なところしか行かないですけど。伊藤さんの歌集を最初に買ったのは、学芸大学前のサニー…
 
伊藤:”SUNNY BOY BOOKS”ですね。
 
村上:そうそう!あそこは楽しいですよね。
 
伊藤:私も数回しか行ったことないんですけど、いい本がありますよね。
 
村上:そうそう。あと本屋さんにある雑貨とかも好きなんですよね。
 
伊藤:私も好きです!
 
村上:あとは神保町とか行くと、三省堂によく行きますね。伊藤さんはどこか好きな本屋さんあるんですか?
 
伊藤:本屋さん、もっといろいろ知りたいなと思ってるんですけど…。“百年”とか知ってますか?
 
村上:あーはいはい。僕は行ったことないですけど、あそこやっぱり良いんですね。詩歌とかけっこうあるんですか?
 
伊藤:ちょこちょこあります。新刊と古本のバランスが良くて。
 
村上:へえ。行ってみたいんだよなあ。
 

 
ーおふたりは何度も読みかえすくらい好きな本はありますか?
 
村上:一番読んでいるのは『スラムダンク』です。定期的に読んでます。
 
ースラムダンク!なぜ何度も読まれるんですか?
 
村上:僕、いろんなものに対してマニア精神とかはないんですけど、スラムダンクは好きな人がいっぱいいるじゃないですか。僕らくらいの世代は特に。だから、好きな人とクイズ大会したときに答えたい(笑)新しい解釈とかはなんにもないんですけどね。それに、何度読み返しても面白いんです。31巻しかないっていうのもいいですよね。
 
ー実は私も大好きで…誰がいちばん好きですか?
 
村上:あのね…。もう、ほんとに今何周もして、結局桜木なんですよ。もちろんミッチーとかも行くんですけど。ああいうのって、自分を重ねられるから感情移入できていいんだろうけど、スラムダンクに関しては、僕は誰にも自分を重ねていなくて。
 
ーそうなんですか?
 
村上:みんな運動できる人たちなんで、誰一人自分とは重なってないんですよ。全員ちゃんと努力しているし、すごい才能あるし。なのになんであんなにドキドキしちゃうんだろうなって思います。今でも好きな人はみんなそうでしょうけど、小・中学生の頃、発売日に本屋さんに買いに行くっていうあの感じ、すごく覚えてるなぁ。出た瞬間に欲しかった。
 

 
ー伊藤さんはなにか読み返す本はありますか?
 
伊藤:あんまり読み返さないんですけど…なんだろう。吉本ばななさんの小説がすごく好きで、折に触れて読みます。
 
ーその中でもどれが好きというのはありますか?
 
伊藤:どれだろう。『みずうみ』ですかね。なんか、いいんです。…こういうとき、説明するのって難しいですよね。
 
村上:口頭で良さを説明するのって意外と難しいですよね。
 
ー普段言葉の世界に身を置くおふたりでも、そう感じるんですね…!
 
伊藤:今1000字で書けって言われたら、わーっと書ける気がしますが、口頭では無理ですね。
 
村上:しかも口頭で言うと、プレゼンテーションにするためにちょっとだけ演出がからないといけないけど、本当に好きな物には演出とかかけたくないじゃないですか、安っぽくなるから。
 

 
伊藤:はい。話題の映画とかならいいんですけどね。
 
村上: そう、そうなんですよ!情報としての良さだったらいいんですけど。すっごい好きな物ってあんまり熱量かけてウザいって思われたくないし、それを知らない人にマニアックなこと言うのもなんか違うし。何やってもダメになるんですよね。
 
伊藤:めっちゃわかります、それ。
 
村上:「なんかいい」としか言いようがないんですよねぇ。気分にもよるし。
 
伊藤:人がそれぞれなにかを「おもしろい」って思うこと自体もおもしろいですよね。
 

 
村上:そうそう。なんでそのことにドキドキするんだろう?って。哲学ってほどでもないんですけど、わからないですもんね。例えば同じ鰻を食べていても、僕の好みの美味しさと伊藤さんの好みの美味しさというのは差があるのかもしれないっていう。
 
伊藤:不思議ですね。よく考えると、好きな食べ物がみんな違うのってやばいなって思っちゃう。なんで?って。
 
村上:そうですよね。「かっこつけで好きって言い始めたんだっけ?」とか、自分の中でもわからなくなったりして。でも、気分がいいからきっと好きなんだろうってことにしてるんです。
 

 
村上:…ん?あの看板は何て書いてあるんだろう。「むぎとろ」…?って、とろろごはんの?
 
伊藤:そのむぎとろじゃないですかね。
 
村上:そんな感じするけれど、立派だなぁ。とろろごはんでこんなに財を築けるなんて…!
 

 
ー言われてみれば…(笑)
 
村上:上はアパートみたいになってるけど、「むぎとろ」の上に住むってなったとき、みんなどうだったのかな。
 

 
ーせっかくなので近くまで見に行ってみましょうか。
 

 
伊藤:本当にとろろごはんだ!美味しそうですね。
 
村上:本当だ、みんなむぎとろ食べてる!「むぎとろバイキング」…これか。最高じゃん!こんな何杯もむぎとろ食べられるなんて。いいなあ。
 
ー謎が解けてよかったです(笑)さて…早いもので、まもなくお散歩の終着地点です。
 
村上:お!じゃあここでせっかくですから写真撮りましょうか。
 
伊藤:そうですね!
 

 
村上:いいですねー。じゃあ僕はちょっと90年代の感じで…。
 

 

 
ー素敵な写真になっていると思います!(笑)ではさいごに、おふたりでのお写真を撮らせてください!
 
村上:あ、ぜひぜひ!
 
ーでは、撮りますよ。はい、チーズ!
 

 
ーバッチリです!はじめからおわりまで、ずっと笑顔の絶えないおふたりの散歩。ありがとうございました!
 

 

左/MALMO Matt Black、右/DIRECTOR Black Madras
 
 
 
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