Column

さんぽびより #町田康さん #藤原麻里菜さん 2/2

 
NAOT JAPANが「一緒にお散歩したい!」と思った方と、ぶらぶら街を歩きつつ、話をしつつ、目に留まったものをパシャりと写真におさめていただくこの企画。
 
なんだか素敵なあのひとは、どんな景色を見てるんだろう?
どんなことにクスッとして、どんなことを呟くんだろう?
 
第24弾は、パンク歌手、作家、俳優など、幅広い分野で活躍し、現在は執筆を主に活動されている町田康さんと、 「株式会社無駄」の代表で、「無駄づくり」として発明・創作活動を展開されている藤原麻里菜さんのお二人に、中野周辺を歩いていただきました。
 
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町田:使い捨てカメラ、久しぶりに見たなあ。藤原さんは生まれつきデジタルの世代ですよね。
 
藤原:いやいやあ、フィルム…ああでもどうだろう。赤ちゃんの時とかはフィルムでしたね。
 

 
ースマートフォンなどでは写真を撮られますか?
 
町田:どうだろう。家の写真しかない。しかも寝た状態で撮ったやつ。
 
藤原:猫ちゃんの写真とか撮りますかね。私も保護猫飼っているんです。
 
町田:ああ、そうなんですね。
 
藤原:「カニエ」っていう名前なんですけど。
 
町田:カニエ…。
 

 
ーなんて呼んでいらっしゃるんですか?
 
藤原:「カニ」って呼びます。黒猫で長毛の子です。いま三歳くらいで、まだ赤ちゃんですね。
 
町田:黒かあ、黒い猫って写真撮りにくいですよね。
 
藤原:そうなんです。でも、めちゃくちゃ可愛いんですけどね。魅力が写真だと伝わりづらい。
 
町田:難しいですよね。
 
藤原:こう、よく段ボールとかに入るんですけど、目だけ見えるみたいな。
 
町田:そうですよね。
 

 
町田:あれ、なんか作ってるんですかね。中野サンプラザってなくなるんです?
 
藤原:なくなったんですよね。新しくなるみたいです。
 
町田:これ、上はホテル?あれ、違うのかな。
そういえば今思い出したけど、中野駅の北口に、怪獣が現れるっていう小説書いたことあるな…。
 
ー「ギャオスの話」ですかね。
 
町田:ギャオス。忘れてた。最初にギャオスが現れるのが、その辺にあった北口の公園で。たぶんあの公園やったんちゃうかな。
 
ー先ほどおっしゃっていた、家庭の不用品をフリーマーケットで販売されていたというのもこのあたりですか?
 
町田:そうそうそう。
 

 

 
町田:この時計台の子どもがね、なんかええことやってるような顔して楽器演奏してますね。
 
藤原:めっちゃなめらかに笛吹いていますね…。
 
町田:リアル。自然。これ一時間おきとかで出てくるんですかね。
 

 
町田:藤原さんは中野に住んでた時、北口の方にはあんまり来なかった?
 
藤原:そっちの方はあんまり来ていないですかね。
友達がたくさん住んでいたので、たまに飲みに来たなあくらいの感じです。
 
町田:完全な飲み屋街やなあ、その辺りは。
 

 
藤原:私、もともと芸人をやっていたんですけど、芸人の同期とかが中野にたくさん住んでいたので、中野に引っ越したんです。
 
町田:あ、芸人やっていたんですか。お一人で?
 
藤原:一人です。あ、でも本当に数ヶ月だけです。数ヶ月だけ吉本の養成所に入っていました。
 

 
ー藤原さんの著書を拝見した時、「笑ってほしい」という言葉が繰り返されているのが印象的でした。
 
藤原:そうですね。やっぱり「面白いもの作りたいな」というのが一番にあります。でも最近は、虚無とはなんだろうということを考えてますね。
 
町田:虚無ね。顔もいつも虚無的にやられてますもんね。
 
藤原:いつもね、表情筋が死んでるんですよね。
 
町田:あれはいいですよね。まあこのさんぽっていうのも、目的がないから意味のないものですけどね。
 
藤原:そうなんですよね。
 
ー創作をされるとき、徹夜はされますか?
 
藤原:しないですね、滅多に。滅多にっていうか、何年もしていないのかもしれない。町田さんはどうですか?
 

 
町田:いやもう、体力的に無理やと。頭おかしなりますもん。
 
藤原:もう決まった時間だけ執筆するみたいな感じですか?
 
町田:朝起きて書いて、身の回りのことやって、また書いて、また身の回りのことやって、で、夜は本読んでみたいな感じです。
 
藤原:なるほど。
 
町田:徹夜してでもはやく結果を見たいという気持ちも分かる。創作している最中の気持ちか結果を見た時か、どっちが楽しいんですかね、やっぱり作っている最中の方が面白いのかな。
 
藤原:私は作っている途中の方が、「どんなものができるんだろう」っていうワクワク感がありますね。
 
町田:創作の途中で感じる楽しみの方がライブ感がありますよね。終わりに向かってやっているんやけどね。
 

 
ー藤原さんは創作の時間は決まっていますか?
 
藤原:私は午後から仕事があるので、午前中にやっちゃいますね。
 
町田:藤原さんがされている「無駄づくり」とかって、思いついてから形になるまでちょっと時間がかかるんじゃないですか?
 
藤原:すぐ作れる環境にしています。材料もAmazonとかで揃うんですよね。
 
町田:そうですか。たしかに、すぐやらないと冷めちゃいますもんね。
 
藤原:そう、アイデアが冷めるんですよね。
 
町田:「すごく面白いこと思いついた」と思っても、時間が経ったら急に「俺、アホちゃうか?」と思うこともありますね。
 
藤原:「あれ?」ってなっちゃいますよね。アホなことって結局アホだから。
 
町田:ええ、熱があるうちにやらないとね。
 

 
藤原:アイデアを思いついた時は「わあ、天才的なこと思いついた」と思うんですけど、やっぱりもう大人だから、冷めちゃうんですよ。だから、「わー」となっている躁状態の時に一気に作っていかないと、作れないですね。
 
町田:分かります。短編小説がそうですね。
 
藤原:そうなんですか。
 
町田:思いついた時に書かないと、アホらしくなってきますね。つまらんなあって思ってしまう。でもそのままやってみたら、結構面白くなるときもあります。
 
藤原:そうそう。でも、結構自分の想像を超えていかない時の方が多くて…。
「これはすごいものが出来上がるぞ」と思って作ってみたら、全然面白くないものが出来上がって。そういう時はすごく落ち込みます。
 
ーもともとはご自宅にある材料で「無駄づくり」をされていましたよね。
 
藤原:そうですね。最初はダンボールのような素材から作り始めて、だんだん電子工作もするようになっていきました。

 

 
ー藤原さんの制作過程の動画を拝見しましたが、すごく手早くて驚きました。
 
藤原:ほんとに一日とかで作っちゃいますね。
 
町田:それはすごいなあ。これまで作ったものは全部展示しているんですか?
 
藤原:倉庫があって、そこに保管していますね。
 
町田:かなりの量でしょう。
 
藤原:全部だとかなりありますね。バラバラにして違うものに作り変えたりもします。
面白いことやアホなことをやるためには、効率性も必要だなと思っていて。生み出されるものは無駄なものなんですけど、それを生み出すための効率性みたいな。
 

 
町田:めちゃくちゃ効率的にやってるんですね。
 
藤原:効率的にやらないと、自分の中に思い浮かんだものが全部作れないなって思います。だから結構朝早く起きて、効率的に創作します。
 
ー藤原さん自身が創作されるなかで、自分で笑っちゃうことはありますか?
 
藤原:ああ、ありますね。動画よりか、実物の方が面白いので笑っちゃいますね。やっぱりいいなあと思って。
 
町田:僕も、書きながら結構笑いますね。昔は本当に時間がなくて、新幹線で原稿を書くこともあったんです。
いつものようにヘラヘラ笑いながら書いていたけど、ふっと我に返って「これ周りから見たら相当気色悪いやつやな」って思いましたね(笑)
 

 
町田:思いつくこと全てを書いてるわけじゃなくて、書きながら思いついてることの方が多いんです。
思いついた時と書いてる時が同時なんで、だからそのときはもう、読み手と一緒なんですよね。
 
藤原:へえ。
 
町田:執筆の時、全体の設計図の中で計画立てて順々にやってる部分もあるんですけど、そうじゃない部分もあります。
台詞とか、こいつがここでこんなことする、こんなこと言うとか、瞬間的なものですね。自分たちもなんか急に言ったり思いついたりするじゃないですか。そんな感じを活かしたいから、あんまり計画とかは作らずにやっています。
 

 

 
ー最後になりますが、創作をしたいという人にアドバイスなどありましたらぜひ…!
 
藤原:ちゃんとゴールを決めることだと思いますね。着手しても作り上げないことって、初めて何かを始めるときに結構やりがちなことだから。
いいものを作るとかじゃなくて、終わらせる、完成させるっていうことをまず第一の目標にすることですかね。
 
町田:完成させる。なるほどな。
 

 
ー町田さんはいかがですか?
 
町田:自分がどう思われるかっていうことよりも、自分が面白いか面白くないかをまず基準において考えた方がいいんじゃないかな。
自分がおもろいと思うことはやっぱり一番おもろいし、人が見てもおもろい。自分であんまおもんないなと思ってやっていたら、たぶんそれを見てる人もわかるから。
 

 
藤原:本当にそうですよね。
 
町田:全部が全部おもろいことができるわけではないけど、やっぱり自分がおもろいと思ったら、そういうことを一番大事にしなあかんと思います。
こういう賞に合格するなとか、ウケるかな、儲かるかなとかいうのは一回忘れた方がええんちゃうかなと。
そのときの自分の興奮だったり、「これはいけるで」みたいなことを一番に考えたら、うまくいくこともあるかもしれないって思います。
 
 

 
ーお二人の素敵なお話をたくさん伺うことができて、大満足のさんぽでした!
たくさん歩いていただき、ありがとうございました!

 
 
 

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